地下水学会誌
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49 巻, 2 号
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  • 李 盛源, 田瀬 則雄
    2007 年 49 巻 2 号 p. 97-114
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    硝酸性窒素汚染地下水の浄化対策として有効であると考えられる生物化学的浄化法を用い,自然浄化(脱窒)が期待できない酸化的条件下である筑波台地のローム層を研究対象地域とし,硝酸性窒素汚染地下水の原位置浄化を試みた.その結果,浄化壁の上流に位置する観測井で37.5mg/Lあった硝酸イオンが浄化壁内部で0.1mg/Lまでに低下した.また,一般的に脱窒反応の条件として,有機物の存在と還元的な環境があげられるが,豊富な有機物が条件として満たされると,有機物の分解に伴う微生物の代謝により還元的な環境が形成されるので,脱窒反応の最も重要な制限要因は電子供与体としての有機物の存在であることが示唆された.
  • 高橋 直人, 瀬川 宏美, 田崎 和江
    2007 年 49 巻 2 号 p. 115-137
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    地すべり地域で施工された水抜きボーリングや集水井の中には,施工後短期間のうちに赤褐色のスケール(バイオマット)が形成され,排水機能に支障が現れているものがある.新潟県中越地方の3ヶ所の地すべり地域において,水抜きボーリング孔に形成されたバイオマットの観察事例を示し,その構成物や地質,地下水の水質との関連やその形成過程について検討を行った.これらのバイオマットは,Toxothrix trichogenesL eptothrix ocheraceaなどの鉄バクテリアによって形成されている.第三紀層地すべり地域の水抜きボーリングにおいて,砂岩優勢の地質状況下では珪藻やシアノバクテリアの繁殖が見られ,粘土優勢の地質状況下において鉄細菌バイオマットの形成が著しいことが明らかになった.鉄細菌バイオマットの形成が見られる地下水の酸化還元電位(Eh)は+165-+244mVと比較的還元的で,かつ溶存酸素(DO)が2.7-7.4mg/Lの微好気的な環境を示していた.また,バイオマットは水抜きボーリングの孔口から約0-15m間程度の付近で多く形成されており,ボーリングの奥部ではあまり形成されていないことが明らかになった.
    本研究の結果から,粘土・泥岩地域の還元的な地下水が大気に触れ,急激に酸化状態になるような環境下においてバイオマットの形成が著しいことが示された.バイオマットの形成は,鉄濃度や溶存酸素,酸化還元電位などの地下水環境の違いにより引き起こされ,それが2次的に溶存酸素や酸化還元電位などをさらに変化させているものと推定された.
    現状におけるバイオマットの目詰まり対策として,高圧水による定期的な洗浄が行われているが,バイオマットの形成速度は速く,数ヶ月-1年程度で洗浄前の状況に戻ってしまうものが多い.
  • 水野 崇, Richard METCALFE, 岩月 輝希, 彌榮 英樹
    2007 年 49 巻 2 号 p. 139-152
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    本稿では,地下水データの品質を定量的に評価するための品質評価手法を確立することを目的とし,EvidenceSupportLogicに基づいた品質評価手法を提案した.当該手法を用いてボーリング孔から取得したpHデータの品質評価を行った結果,全データを深度に対してプロットした場合には,pHが8-11の広い範囲で分布したのに対し,一定の品質を満たしたデータでは8-9のより狭い範囲に分布した.このことから,一定の品質を示したデータは,より正確に各深度のpHを表していると考えられ,本稿で提案した品質評価手法の有効性を示すことができた.
  • 藪崎 志穂, 田瀬 則雄, 辻村 真貴, 林 陽生
    2007 年 49 巻 2 号 p. 153-168
    発行日: 2007/05/31
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
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