地下水学会誌
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51 巻, 4 号
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巻頭言
論説
  • 中野 政詩
    原稿種別: 論説
    2009 年 51 巻 4 号 p. 285-296
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    現代の地下水学には、土壌圏の水も地下水の一部として認識し、表層の水から深層の水、そして地下水帯の水までを一体のものと見なしてその移行を取り扱い、物質循環の問題に応えることが求められている。その際に必要な知見として水蒸気移行、土壌の体積変化、地下水涵養流、塩分の地表集積、イオン交換(吸着と離脱)の実体やその反応式の選定に関するものが挙げられ、これを取り込んだ解析による変化予測が望まれている。また、土壌水や地下水の領域にのみ注目することなく、土壌圏や地下圏を取り巻くその他の圏域との相互影響にも視線を向け、かつ物質移行に伴って生じる土壌の個性の変質をも組み込んだ解析・未来予測が欲しいと提言している。
  • 宇野 尚雄
    原稿種別: 論説
    2009 年 51 巻 4 号 p. 297-310
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    本文は、依頼に沿って地下水学術賞受賞時の春季講演をベースに学会誌へ改めるもので、新しい研究成果ではなく筆者の主な研究時の思考経過を提示するものである。琵琶湖周辺地下水位変動問題、堺南の高速道路で遮断させない地下水保全涵養工法、岐阜大垣で試作した単純モデルの発想、差分法近似の数値計算への活用、などの話題に触れつつ、これからの研究者への期待に言及する。
論文
  • 酒井 隆太郎, 宗像 雅広, 木村 英雄
    原稿種別: 論文
    2009 年 51 巻 4 号 p. 311-329
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    広域地下水流動に関する評価手法確立のための調査の一環として、千葉県養老川流域の小流域において、河川流量および観測点付近の河川水、湧水、井戸水の水質、水素・酸素同位体比等の分析を行った。水文学的検討により、地下水流動特性と地質・地質構造との関係を把握し、地化学的検討から、流出域の地下水の起源や流動経路を推定を試みた。この結果、高透水性を持つ砂岩優勢互層(大福山を含む高標高部)で涵養された地下水の大部分は、地層の走向の方向に流動した後、Ca-HCO3(SO4)型地下水として下流域において流出するが、一部は深部まで流動し、Na-HCO3型地下水と混合した後に、低透水性の砂泥互層の亀裂等を通じて下流域において流出する可能性が推定された。
  • 中島 誠, 根岸 昌範
    原稿種別: 論文
    2009 年 51 巻 4 号 p. 331-347
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    零価鉄(ZVI)および砕石を充填した透過性地下水浄化壁(PRB)について、設置後約10年間にわたり地下水モニタリングを行い、長期性能を評価した。設置後2619日目(約7.2年目)に地下水中の揮発性有機塩素化合物(CVOCs)濃度の増加が下流側の観測井で観測されたため、3158日目(約8.7年目)にPRB内から採取した反応材の性能評価試験を行い、脱塩素反応速度定数および鉄粉の状態を評価した。PRB内の鉄粉は十分なCVOCs分解能力を維持しており、腐食部分の厚さも5μm未満とわずかで金属部分のほとんどが残っていることが把握され、PRBは地下水環境基準を満たす地下水中のCVOCs濃度に抑えるための機能を保持していると考えられた。
短報
  • 小林 薫, 熊谷 幸樹, 藤間 律子, 近久 博志
    原稿種別: 短報
    2009 年 51 巻 4 号 p. 349-360
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    地下水流動は、降水、気圧や周辺の井戸利用状況による時間変動、沿岸域の潮汐による日変動、融雪期の季節変動ならびに建設工事に伴う地下水流動阻害などにより変化している。現地の正確な地下水流動特性を把握するためには、地下水流動に影響を及ぼす前述の各種外的要因の定量的データや地盤の間隙水圧などとともに、連続的な地下水流向流速の変化を同時に把握できれば有効なデータになる。このことから、筆者らは地下水流動場の流向流速を簡易かつ連続的に計測することができる連続式流向流速計の開発を目指した研究開発を実施している。
    本論文は、内陸域や沿岸域の建設工事などで必要となる地下水流動場の流向流速を連続的に計測できる下端部ヒンジ構造を有する浮きセンサを搭載した連続式流向流速計の概要について述べる。次に、流体シミュレーションの結果を基に、開発中の連続式流向流速計に適した浮きセンサの断面形状と塩水および淡水中における各適用限界流速について明らかにする。
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