地下水学会誌
Online ISSN : 2185-5943
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59 巻, 2 号
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巻頭言
論説
  • 榊原 厚一, 辻村 真貴, 浅井 和由
    2017 年 59 巻 2 号 p. 87-103
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー

    水資源の質・量評価や持続的開発を行う上で,地下水の滞留時間情報は重要である。我が国における浅層地下水の平均滞留時間は数年から数十年とされ,その推定には六フッ化硫黄(SF6)をトレーサーとして用いる手法が最も有効である。本稿では,SF6を用いた地下水の滞留時間推定法に関し,原理,問題点,制限要因等を概説する。さらに代表的な研究事例を紹介しながら今後の研究課題を展望する。SF6の大気中濃度は将来においても単調に増加すると予測され,水文科学における本手法の有するポテンシャルは継続的に高まっていくと考えられる。我が国における地下水中のSF6濃度に関し,様々な場の条件下での観測を継続し,着実に蓄積することが重要である。

論文
  • 地質区分のクリギング推定と逐次パラメータ決定法
    阪田 義隆, 葛 隆生, 長野 克則, 丸井 敦尚
    2017 年 59 巻 2 号 p. 105-123
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー

    本論文では,コアボーリングデータが乏しくなる深度100m付近までを対象に,井戸データベースを用いた地盤情報推定システムにおいて,その基幹となる地質区分の推定手法を示す。地質区分の推定にはインディケータクリギングを用い,各推定点で最大分布確率となる地質区分をグリッド推定することで三次元情報とする。その際,井戸データの探索半径とバリオグラムのレンジの異方性比をパラメータとし,地形分類,地層分類,探索半径に応じたデータ数をカテゴリとする交差検証法にて,地質区分の平均再現率が最大となるパラメータを逐次設定する。豊平川扇状地の例では高い平均再現率を保ったまま,ほぼ全域での地質区分の推定が可能であった。

技術報告
  • -福井県大野盆地における事例-
    西村 宗倫, 川﨑 将生, 斉藤 泰久, 橋本 健志
    2017 年 59 巻 2 号 p. 125-158
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー

    水循環基本法の制定等を踏まえて,水循環解析の社会的実装の促進が求められる。そこで,国土交通省国土技術政策総合研究所では2016年3月に地方公共団体等向けの手引き書として,水循環解析の手順や必要な資料等を「水循環解析の技術資料」にとりまとめた。これを補足するものとして,本報告は,福井県大野盆地において実施した水循環解析について,モデルの設定手法や再現性の検証手法について詳述したものである。特に,水循環解析の再現性について地下水位に着目した検討を行った結果から,構築したモデルの高い再現性を示した。本報告は,持続可能な地下水の利用と保全に水循環解析を活用することの一助になると考えられる。

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