地下水学会誌
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巻頭言
特集「地下環境の利用とそれに関わる地下水・地下流体挙動」
技術報告
  • 谷川 晋一, 岩原 達也
    2022 年 64 巻 1 号 p. 5-20
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/05/22
    ジャーナル フリー

    石油や石油ガスの水封式地下岩盤備蓄では,岩盤貯槽中の貯蔵物を地下水の水圧で封じ込める水封機能を維持するため,貯槽周辺の間隙水圧の低下を抑制する必要がある。倉敷国家石油ガス備蓄基地では,貯槽上部に人工水封システム(水封トンネル及び水封ボーリング)を設置し,人工水封水を安定供給することで,間隙水圧の維持に寄与している。水封トンネル及び水封ボーリングの目詰まりによる水封水供給量の減少を抑制するため,基地建設時に地下水の水質モニタリング及び水封水の通水性能確認試験を実施し,供給量維持に必要な人工水封水の水質管理方法の策定を行った。得られた管理手法により,水封水供給量を維持することができた。

  • ~地震動と岩盤タンク湧水量増加~
    渡部 啓示, 城代 邦宏, 宮下 国一郎, 大野 圭佑, 山本 順也, 廣岡 知, 片岡 俊一
    2022 年 64 巻 1 号 p. 21-34
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/05/22
    ジャーナル フリー

    日本の地下石油備蓄基地は,岩手県久慈市,愛媛県今治市菊間町及び鹿児島県いちき串木野市の3箇所の地下に建設され,合計約500万m3の原油を常圧で貯蔵している。原油を貯蔵する地下空洞(岩盤タンク)は,堅硬な岩盤内に構築し,自然の地下水と人工の水封水で液密・気密を確保しつつ,タンク内に湧出した水を排水する水封システムを採用している。操業開始から約30年,モニタリングと適切な処置をしながら安全安定操業を行ってきており,本技術報告では,3基地がこれまで経験したいくつかの地震の影響について示すとともに,地震と岩盤タンク湧水量の関係を検討した結果について紹介する。

  • 山下 貢, 塰泊 健, 平井 智樹, 坊野 裕人, 末永 弘
    2022 年 64 巻 1 号 p. 35-48
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/05/22
    ジャーナル フリー

    水封方式による地下石油備蓄基地では,岩盤タンクの周辺に安定した地下水の存在が要求されることから,地下水位は重要な監視項目である。串木野国家石油備蓄基地において,水位観測孔の1孔で地下水位が大きく変化したため,原因調査を行った。水位観測孔には,孔を保護するための塩化ビニル製の有孔管が設置され,有孔管の中には水位計等の監視機器がある。このため孔内環境を乱さない状態で調査が可能な光ファイバを用いた温度検層を実施した。その結果,地下水の流入・流出箇所および水位変化の主たる要因を推定することができ,他の調査結果と整合的であったことから,光ファイバ温度検層は有効な手段であることが分かった。

論説
  • 宮﨑 淳
    2022 年 64 巻 1 号 p. 49-89
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/05/22
    ジャーナル フリー

    水循環基本法の一部を改正する法律は,地下水の適正な保全及び利用に関する施策が水循環に関する施策に含まれることを明記するとともに,地下水の適正な保全及び利用を図るために必要な措置を講ずるよう努める規定を追加するものである。法改正には,3つの意義が見出せる。第一に,地下水に関する施策について同法に明示することによって,地下水マネジメントの法的根拠を明らかにした点である。第二に,国とともに地方公共団体に対しても必要な措置を講ずる努力義務を課すことにより,地下水マネジメントの各地方公共団体への展開を基礎づけた点である。第三に,ガバナンスの基盤形成を視野に入れた地下水マネジメントの要点を示したところである。

論文
  • 中川 啓, 藤井 秀道
    2022 年 64 巻 1 号 p. 91-100
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/05/22
    ジャーナル フリー

    島原半島における地下水の硝酸性窒素汚染は,依然として深刻な状況が続いている。長崎県では2006年には島原半島窒素負荷低減計画を策定し,対策が講じられてきた。本研究では,これまでに発行された計画書に付属するオープンデータや自治体が公開しているデータを活用して窒素負荷ポテンシャル,つまり汚染源から地下水への窒素供給量の要因分解解析を実施し,どのような要因によって窒素供給量が変化してきているかについて検討を加えた。すなわち,農業由来,畜産業由来,家庭生活由来の窒素供給量の変化を,(1)窒素強度要因,(2)構造変化要因,(3)規模要因に分解し,各要因の影響を定量的に明らかにした。その結果,2013年度から2019年度における3部門の合計は,窒素供給量について若干の低下傾向が見られたが,それは畜産業の構造変化要因,農業の作付面積要因によることが明らかになった。つまり,この期間の窒素供給量のわずかな減少は,主に畜産業における窒素供給量の小さい家畜への変換が進んだことと,農業における作付面積が減少していることによるものである。

短報
  • 愛知 正温
    2022 年 64 巻 1 号 p. 101-114
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/05/22
    ジャーナル フリー

    干渉合成開口レーダーにより得られた面的な広域地表面変位観測データは,地盤沈下解析モデルのキャリブレーションに有効と考えられる。しかし,観測データには,テクトニックな変動など地盤沈下解析モデルで考慮していないプロセスに起因する変動成分が含まれることがあるため,モデルによって適切に再現できなかったり,逆解析の結果として誤ったパラメータを推定したりする可能性がある。本研究では,地盤沈下解析モデルを用いて計算した地下水流動起因の地表面変位と観測データの残差そのものを最小化する代わりに,残差分布の回転エネルギーに関するエントロピーを最小化することで,地盤沈下解析モデルのパラメータを逆解析する手法を提案する。数値実験により,提案した手法によって地盤沈下解析モデルで考慮していない広域的変動成分を分離しながら適切にモデルパラメータを推定しうることが示唆された。

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