本研究の目的は,認知症高齢者と家族介護者が関わり合う際に生じる困難を軽減する看護介入の開発である.先行研究をもとに,認知症高齢者と家族介護者の「理解と関係を促進する介入プログラム」を作成し,ともに暮らす認知症高齢者6名とその家族介護者6名に実施した.実施状況はビデオ録画,IC録音,フィールドノートで記録し,両者が関わり合う際に生じる困難の変化の分析を通し,プログラムの有用性を検討した.その結果,認知症高齢者に【湧き上がる自然な感情を表現する】,【仲間を意識して気づかう】など自己を表現し,他者と協調する様子がみられ,家族介護者にも【相手に添った関わりをする】や【病前の面影にも注目する】,【気持ちを通わせて相手を知る】など認知症高齢者の行動特性への理解と対応がみられた.このような変化が,両者が関わり合う際に【補う】,【見えにくいことからも相手を理解する】という関係のもち方や理解の仕方を導くことが明らかとなり,認知症高齢者と家族介護者が関わり合う際の困難を軽減する看護介入として,この介入プログラムの有用性が示唆された.
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