本研究の目的は,在宅虚弱高齢者である二次予防事業参加者の疼痛有症率と疼痛の状況が健康関連QOLに及ぼす影響について明らかにすることである.対象者は495人,平均年齢は, 84.7 (±5.4)歳であった.過去1か月間の疼痛有症率は73.1%,もっとも多い疼痛部位は腰部,疼痛部位数の平均数は1.9 (±1.0)か所であった. SF-8は, PCS(身体的QOLサマリースコア)が非疼痛有症群52.1 (±4.0)点,疼痛有症群44.3(±5.7)点で有意に疼痛有症群が低く, MCS(精神的QOLサマリースコア)は,非疼痛有症群51.0 (±5.7)点,疼痛有症群51.9(±6.2)点で有意な差はみられなかった.疼痛有症群におけるSF-8のPCSとMCSを目的変数として重回帰分析を行った結果, PCSを抑制するものは,もっとも強い疼痛の程度,疼痛による歩行能力への支障,疼痛による対人関係への支障,神経障害性疼痛スクリーニング得点,疼痛による生活を楽しむことへの支障であった. MCSを有意に抑制するものは,疼痛による気分・情緒への支障と疼痛による対人関係への支障であった.
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