本研究の目的は,動脈硬化健診を受診した後期高齢者の主観的健康度と孤独感,社会関連性の実態を把握し,主観的健康度に関連する要因を明らかにすることとした.また,その結果から,主観的健康度の維持増進の支援について検討する資料を得ることを研究意義とした.受診者156名を対象に,主観的健康度と孤独感,社会関連性との関係について分析した結果,以下の知見が得られた.女性が60.3%,平均年齢は80.1±3.3歳,家族構成は「夫婦のみの世帯」がいちばん多く,収入が厳しい者は23.7%で, 90.4%の者が疾患もっていた.運動習慣のない者は44.9%であった.身体的健康度は精神的健康度,社会関連性指標の合計とその下位3領域の得点と有意な正の相関を認めたが,一方で,孤独感得点と有意な負の相関を認めた.重回帰分析の結果,身体的健康度の関連要因として,運動習慣,社会への関心,他者とのかかわり,孤独感が挙げられた.以上のことから,主観的な身体的健康度を維持増進するために,身体的・精神的健康度が相互作用できるよう,運動習慣の維持や仕事を継続することで地域とのつながりをもつことが必要であると示唆された.
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