【目的】本研究では,病床機能別に摂食嚥下障害を有する高齢者への支援体制として,専門職の配置,対応を把握するとともに,これらと研修ニーズとの関係を検討することを目的とした.
【方法】8,270病院の看護管理者宛てに郵送法による無記名自記式質問紙調査を行った.調査期間は2014年2~3月であった.分析は病床機能別に,摂食嚥下障害に対し専門的対応が可能な職種,摂食・嚥下障害看護認定看護師,摂食嚥下障害患者への体制・対応,ならびにこれらと摂食嚥下障害患者への誤嚥予防のための研修ニーズとの関係をχ2検定で検討した.本研究は横浜市立大学倫理審査委員会の承認を受け実施した.
【結果】回収数は合計510件で分析データ数は473件(92.7%)であった.病床機能と摂食嚥下障害患者への体制・対応について「評価できる施設内の専門家」「ケア対応できる施設内の専門家」「胃ろう・経管栄養者の受け入れが積極的」「NST(栄養支援チーム)」「摂食・嚥下を支援するチーム」「VF(ビデオ嚥下造影)による評価」で有意差がみられた(p<0.05).研修ニーズの有無を病床機能別にみると,全体では「摂食・嚥下障害看護認定看護師がいない」「胃ろう・経管栄養者の受け入れが積極的である」,一般病床では対応可能な専門職として「医師,社会福祉士がいない」,医療療養病床では「相談できる施設外の専門家がいない」で,有意に研修を希望していた(p<0.05).
【考察】病院における摂食嚥下障害に対する支援はいまだ十分とはいえず,研修ニーズも高いことから教育提供の充実を図ることが重要である.
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