老年看護学
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総説
  • 山田 正己
    2026 年31 巻1 号 p. 30-39
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/08
    ジャーナル フリー

     死に至るプロセスにある高齢者の死亡前1か月以内に生じる身体的徴候や状態変化について明らかにすることを目的に文献レビューを行った.PRISMA-ScRを参考にMEDLINE,CINAHL,医中誌Webを用いて検索し,選定基準に沿って採択された17件の観察研究をレビューした.その結果,死亡前1か月から死に至る期間には疼痛,倦怠感,呼吸困難などの自覚症状に加え,他覚的な身体徴候や状態変化,生活状況の変化が段階的に生じることが明らかになった.具体的には死亡前1か月には食事摂取量が低下し,3~10日前には経口摂取困難となり意識レベルの低下がみられた.2~3日前には刺激への反応や尿量が減少し,1~2日前には死前喘鳴や末梢チアノーゼが生じ,死前特有の下顎呼吸などを呈して死に至ることが示された.死に至るプロセスにおける苦痛や不快を軽減するためには,段階的に生じる身体的徴候や状態変化に応じた適切なケア方法および評価指標を開発し,検討する必要がある.

原著
  • 森藤 梢, 深山 つかさ, 征矢野 あや子
    2026 年31 巻1 号 p. 40-49
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/08
    ジャーナル フリー

    目的:経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)を受けた後期高齢者の手術決断に至る意思決定プロセスを明らかにし,意思決定支援における看護の示唆を得ること.

    研究方法:TAVIを受けた75歳以上の男女12人に半構造化面接を実施し,M-GTAを用いて分析した.

    結果:意思決定プロセスの中核には,《望む逝(生)き方》《TAVIを受ける利益の合理的理解》《他者との関係性のなかでの生の見いだし》の3要素からなる【人生における価値観と治療の意味との照合】がとらえられた.また,診断時の【不安・恐怖心の体験】や,【自分の思いだけでは決められない】も意思決定に影響を与えており,後期高齢者の発達課題や死生観,老年的超越性,情報処理の傾向,医師や家族との相互作用等の特徴が明らかとなった.

    結論:看護支援としては,診断初期からかかわり,後期高齢者の感情や理解を支えながら意思形成・意思表明を支援するとともに,意思実現に向けて医療機関内外の多職種と連携した包括的な支援体制を構築することが重要である.

資料
  • 社会貢献への支援における要介護高齢者と看護師の関わり合いから
    砂川 ゆかり, 大湾 明美, 田場 由紀, 山口 初代
    2026 年31 巻1 号 p. 50-60
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/08
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,要介護高齢者の社会貢献への支援を行い,その支援における要介護高齢者と看護師関わり合いから,要介護高齢者の社会に関与する自発性を引き出す看護実践において重要となる要素を明らかにすることである.要介護高齢者4人への関わり合いの意味から,看護実践の要素を導き,質的帰納的に分析した.その結果,社会に関与する自発性を引き出す看護実践の要素は,【老いと障害による苦悩を生きる高齢者とその苦悩に寄り添い共揺れする】【老いと障害による内的体験を鵜呑みにせず真のニーズをとらえる感受性を研ぎ澄まし実践する】【患者-看護師関係を超えて取り巻く人々の力を借りその人らしさを見いだす実践を継続する】【当事者の他者に関与する力を信頼し,共に育ち合い喜び協奏者として看護実践を磨く】であった.苦悩に共揺れしつつ感受性を磨いて個別性を導くという援助関係を形成する力に加え,関係者を巻き込み,要介護高齢者の他者に関与する力を信頼して協奏者となる態度を基盤に,要介護高齢者が社会に関与できる主体として再び立ち現れるプロセスを共に創造していくことが重要である.

  • 細井 あゆみ, 北 素子
    2026 年31 巻1 号 p. 61-69
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/08
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,内科外来看護師の認知症看護における困難感と対処の実態を明らかにすることである.急性期病院の内科外来看護師5人を対象に,半構造的面接を行い,質的記述的に分析した.

     内科外来看護師の認知症看護における困難感として,【認知機能の低下を見落とさないこと】【認知症高齢者が検査や治療を確実に安全に行えるよう支援すること】【認知症高齢者の入院治療にかかわる意思決定支援】【認知症高齢者の在宅療養継続を支えること】【認知症高齢者の介護で困っている家族への対応】【地域の支援を導入すること】【院内看護師間で認知症高齢者の支援をつなげること】の7カテゴリーが明らかとなった.またこれらの困難感に対する対処として28サブカテゴリーが抽出された.外来での認知症看護の力を高めるために,認知症の知識の向上,認知症高齢者の生活を短時間で情報収集する仕組みづくり,重要な情報を途切れることなく伝達する連携体制整備が必要であると考えられた.

  • 立原 怜, 加藤 真紀, 原 祥子
    2026 年31 巻1 号 p. 70-79
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/08
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,急性期病院における認知症高齢者への退院調整看護師の実践を明らかにすることである.認知症高齢者への実践を蓄積している退院調整看護師11人に半構成的面接法によるデータ収集を行い,質的記述的に分析した.その結果,急性期病院における認知症高齢者への退院調整看護師の実践として【入院前後の本人の認知機能障害や生活状況を早期に把握し支援の必要性を判断する】【とらえづらい本人の意思を多方面からどうにか知ろうとする】【本人の入院生活が安定し退院の目標に向かえるよう院内多職種の歩調を合わせる】【本人の生活の可能性と安全性を踏まえて支援内容や退院先を見積もる】【本人と家族の思いを受け止め互いが納得できる退院に向けて意向をすり合わせる】【多職種と連携して不安定になりやすい本人の退院後の生活に備える】の6カテゴリーが抽出された.認知症高齢者の安定した療養生活のために,病院内外の多職種と緊密に連携する重要性が示唆された.

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