本研究は,訪日外国人スキーヤーの日本国内における観光流動に着目し,訪問パターンに基づく類型化を通じて各類型の特徴を明らかにすることを目的とする。分析には,観光庁の 2015-2023 年の訪日外国人(インバウンド)消費動向調査(N=6,262)を用い,潜在クラス分析によって訪問都道府県の組み合わせから観光訪問パターンを抽出した。その結果,訪日外国人スキーヤーは異なる訪問パターンを示す 10 の小類型に分類され,それぞれに特異的な旅行特性や属性が確認された。更にそれらは,東京・千葉の国際空港をゲートウェイとして北海道・長野・新潟などのスキー適地へ直行する「リゾート滞在型(30.1%)」に加え,ゴールデンルートや特定地域を周遊する旅程の一部としてスキーを組み込む「複合周遊型(53.5%)」の二つの大類型に大別された。従来の訪日外国人の観光流動研究は,訪日客全体や特定国籍(とりわけ中国)の動向を対象とするものが主流であった。しかし本研究は,対象をスキー観光客に絞ることにより,従来研究とは異なる訪問パターンを明らかにし,出発国・地域といった地理的属性のみに依拠するのではなく,個人の行動に着目する重要性を示した。今後,観光目的別の訪問パターンを分析することで,訪日観光の多層的な構造をより理解できるだろう。
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