地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
2 巻 , 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 菅野 峰明
    2009 年 2 巻 2 号 p. 79-98
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
     本稿は1960 年代後半からの経済成長と人口増加というサンベルト現象を経験した南部がその後どのように変化したかを経済,人口,都市,生活の側面から検討したものである。1960 年代から合衆国南部と南西部はサンベルトと呼ばれ,その後の成長が約束されたかのようであった。南部の製造業は躍進し,就業者は増加し,人口流入が続き,まさに太陽の輝いている地域であった。ところが,南部農村部のもっていた低賃金という相対的有利性が崩れ,労働集約的製造業の分工場が閉鎖され,製造業の重要性は低下した。しかし,所得水準の上昇と増加した人口に対応してサービス産業が成長し,サービス産業が集中した都市圏は発展を続けた。また,高齢者人口の増加とリタイアメント・コミュニティの開発によって,医療・社会支援部門の雇用が増加し,南部の産業構成も変化した。
  • 丸山 浩明, 仁平 尊明, コジマ A. Y.
    2009 年 2 巻 2 号 p. 99-132
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
     ブラジル南パンタナールのバイアボニータ農場では,天然草地の放牧地に依存した,肥育用の仔ウシ生産を目的とする仔取り繁殖経営が中心に営まれている。ここでは,季節的な河川の水位変化に起因して発現する多様な天然草地の状況に合わせて牛群を管理したり,火入れや伐採・巻き枯らしにより草地の森林化を抑制したりするなど,農場間の相互扶助システムとともに,パンタナールで培われてきた牧畜経営のワイズユース(wise use)が現在も継承されている。しかし,農場規模が小さいうえに,労働力不足,ウシの受胎率の低さ,生産性や品質の低さといった諸課題に直面して,伝統的な牧畜経営の維持・発展は困難な状況にある。こうした現状を打開して経営の安定化を実現するためには,繁殖・出荷カレンダーを作成してウシの繁殖時期を特定化し管理作業の効率化を図ることや,質の高い種牡ウシや牝ウシを導入して,より厳格な牧区規制の下で両者の頭数管理や繁殖を効果的に実施することなどが必要である。
  • 淡野 寧彦
    2009 年 2 巻 2 号 p. 133-151
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
     本稿では,鹿児島県における黒豚のブランド化に着目し,豚肉供給産地の存続のために,ブランド化を進める産地がどのような性格を持つのかを明らかにする。鹿児島県では,1960 年代まで黒豚を飼養する複合零細経営が広く行われていた。しかし1970 ~ 80 年代になると,生産効率の良い白豚が飼養され,さらに飼料供給,生産,加工等の一連の過程を結合した生産グループが形成された。これらによって鹿児島県は,日本最大の豚肉供給産地となった。ところが1990 年代以降,豚飼養頭数が停滞する一方で,鹿児島県では黒豚生産が急速に復興し,黒豚のブランド化が進められた。黒豚のブランド化は,生産グループによる組織的な安定供給と,黒豚の定義や品質管理が産地全体で取り組まれることによって進められた。大消費地に近接する茨城県の有力な豚肉供給産地では,生産者が個々に収益の拡大やリスクの軽減を図った経営を展開する一方で,ブランド化が産地の存続に十分に機能していない。これに対して鹿児島県の豚肉供給産地においては,高い生産効率や安定供給の体制を継続しながら,産地全体で黒豚のブランド化に取り組み,それによって強い情報発信力を生み出すことで,産地の存続が図られている。
  • Enver Erdinc DINCSOY, Fumikazu ICHIMINAMI
    2009 年 2 巻 2 号 p. 152-174
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    In integration of Turkey to the EU, the scope of regional programs has been transformed to reach the basic regional socio-economic standards of the Union. In this way, new cooperative regional programs have been applied in Turkey by the EU and Turkey. Therefore, some regional programs in Nomenclature of Territorial Units for Statistics (NUTS) level-2 regions have been examined in this study. In this point, the data of regional GDP per capita by sectors has been used to analyze sectoral disparities in terms of Gini index. To discuss and evaluate the future of the programs on regional disparities, related sector parameters of GDP per capita have been calculated by regression analysis through( balanced) panel data. The findings showed that there is a remarkable sectoral disparity among program regions, and the sector priorities of the programs are not sufficient to bring any long-term solution for the regional disparities. Finally, Turkey from regional and/or multiregional perspectives needs to reconsider the regional programs for decreasing the disparities as much as development of the regions.
  • 青木 茂治
    2009 年 2 巻 2 号 p. 175-188
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
     本稿では,これまで研究事例として取り上げられなかった地方都市とその周縁地域における落書きの実態と特徴について提示することを目的とし,茨城県北部のトンネル内にみられる落書きの観察と分析を試みた。それにより,落書きはその描写内容から,表現型・記念型・イタズラ型・縄張り型に分類され,これらのうち,表現型と縄張り型の落書きが最も多くみられることが明らかとなった。表現型の落書きでは,監視性が高い大都市ではあまりみることのできない形態のものがみられることがわかった。落書きの描かれる場所や位置の検討から,落書きは「暗闇の空間」に対する行為者の意識の違いによって弁別的な分布を呈することが示された。落書きの発生はトンネルの構造的要因や周囲の環境などによって左右されることについても言及した。さらに,類似性を有する落書きが広範囲にわたってみられることから,行為者の移動性の高さをうかがうことができた。
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