日本在宅医療連合学会誌
Online ISSN : 2435-4007
1 巻, 1 号
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ご挨拶
論文
原著
  • 土井 真喜, 久原 幸, 大友 宣, 五十嵐 究, 有海 秀人, 吉山 友二
    2019 年 1 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/08/07
    ジャーナル フリー

    夜間・休日は医療用麻薬の供給が難しく,保険薬局の緊急体制がとりにくい.そこで診療所医師と保険薬局薬剤師が連携し,在宅療養患者の夜間・休日の薬物供給連携システムを構築・運用した.運用前後で無記名式アンケート調査を行い,連携尺度と困難感尺度について比較検討した.結果,9ヶ月の運用期間中にオピオイド注射薬を投与した患者は 60名,そのうち連携チームの利用は 2件だった.報酬に関する困難感尺度が低下した以外,全ての項目で改善傾向が見られた.本システムを運用した結果,各職種の活動状況や課題の相互理解が進み,在宅緩和ケアを支える多職種の役割分担が明確になった.これにより,緊急訪問頻度も低減できた可能性がある.

  • 東本 恭幸, 長谷川 卓志, 平尾 由美子, 岡田 亜紀子
    2019 年 1 巻 1 号 p. 22-30
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/08/07
    ジャーナル フリー

    在宅医療での食事・栄養支援の現況と課題を明らかにする目的で,千葉県内の訪問看護事業所を対象に質問紙調査を行い339 施設中83 施設(24.5%)から回答を得た.全施設が利用者から食事・栄養相談を受け,週2 回以上食事・栄養相談を受ける施設が39 施設(47.0%)を占めた.その相談にその場で即答できるとしたのは25 施設(30.1%)であった.即答できない場合の対処法は「同僚看護師に相談」41 施設(49.4%),「インターネット検索」35 施設(42.2%),「医師に相談」25 施設(30.1%)であり,「管理栄養士に相談」は15 施設(18.1%)のみであった.即答できなかった相談内容を分析すると,多様化する病態を背景とした個別性の高い専門的な相談の返答に窮しており,管理栄養士の専門性を活かした活動の必要性が示唆された.

  • 榎本 美紀, 竹内 和彦, 河島 恵理子, 山角 美歌, 澤田 健
    2019 年 1 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/08/07
    ジャーナル フリー

    在宅看取りを含めた訪問診療を行う病院は少なく報告も稀である. そこで当院在宅診療部の訪問診療を終了したがん終末期患者42例の転帰や看取りの現状を明らかにし, 病院が担う在宅医療の役割を考察した. 転帰は死亡37例 [ 在宅23例(在宅看取り率62.2%)/院内13例/救急外来1例] , 施設転院5例. 訪問診療期間60.8日, 院内看取りの入院主訴は呼吸困難が最多(46.2%)で8割以上に介護の限界を伴っていた. 在宅看取りを妨げた要因に呼吸困難・副介護者なし・未告知・訪問診療導入時在宅看取り希望なしがあげられた.バックベッドの確約は患者・介護者の精神的負担を軽減させ在宅医療の導入・継続に寄与する可能性があった.

  • 次橋 幸男, 長野 広之, 竜野 真維, 澤田 宗生, 中村 義徳
    2019 年 1 巻 1 号 p. 38-44
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/08/07
    ジャーナル フリー

    我々は奈良県天理市内の在宅医療機関4カ所,訪問看護機関4カ所において2017年1月9日から2月5日までの28日間,時間外連絡の件数,連絡相手とその用件を前向きに調査した.訪問看護の対象者は337名,訪問看護師への時間外連絡は123回で,このうち81%は訪問看護師が単独で対応していた.連絡内容としては患者・家族からの事務的な連絡,疼痛,発熱,不安の相談が上位を占めていた.訪問診療の対象患者は160名,時間外連絡は25回であった.在宅医への連絡は訪問看護師からの連絡が多く,時間外連絡の60%に対して在宅医が往診していた.本研究の結果,在宅医療の時間外対応には訪問看護と在宅医療機関との相互補完的な連携の重要性が示唆された.

  • 鈴木 大真
    2019 年 1 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/08/07
    ジャーナル フリー

    医療的ケア児が増加する一方で在宅医療機関における小児の受け入れは少ない.その理由として小児在宅医療の対象患者は医療依存度が高く病状が変化しやすいために,夜間や休日などの時間外診察が多いことへの不安もあると考えられる.当院では2016年5月~2017年4月までに67例の対象患者に対して1,356件の定期診察を行ない,256件の体調悪化に関する電話連絡に対して166件の訪問と45件の病院紹介を行った.電話連絡や臨時訪問に関して検討を行った結果,低年齢児の診療や看取りを行うのであれば深夜まで対応可能な体制作りが望ましいと考えられた.今後,こうした実践報告の積み重ねを通じてより良い仕組み作りに繋がっていくことが期待される.

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