日本在宅医療連合学会誌
Online ISSN : 2435-4007
2 巻, 1 号
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論文
原著
  • 垣内 康宏, 内藤 春顕
    2021 年 2 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    背景:自宅死割合の,在宅医療普及度の評価指標としての妥当性を検証するとともに,在宅医療に関する主な指標との関連を検討する.

    方法:神奈川県の人口動態統計及び死体検案数に基づき,検案死と看取り死の実数を死亡の場所別に算出した.また,自宅看取り死割合と在宅医療に関する主な指標との関連を分析した.

    結果:県全体の自宅死割合は 15.7%,看取り死割合は 6.9%であった.また,単変量解析の結果,看取り死割合と在宅療養支援診療所以外で訪問診療を実施する一般診療所数の間に,非常に強い正の相関がみられた.

    結論:在宅医療に特化してない一般診療所が,地域の在宅医療推進について大きな役割を果たしている可能性がある.

  • 奥村 圭子, 古屋 聡, 森 亮太
    2021 年 2 巻 1 号 p. 14-22
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    災害公営住宅居住者の栄養障害リスクへ影響する関連要因の検討を目的に研究を行った. 居住者 255 人に平成 30 年 6 月~ 7 月栄養アンケート調査を実施した. 栄養障害リスクと調査項目に対しカイ二乗検定を行い有意な項目を二項ロジスティック回帰分析で評価した. 栄養障害リスクは低栄養 26 人(23.6%),肥満 30(27.3%),体重減少 14 人(12.7%),食欲低下 56 人(50.9%)で栄養障害リスクに影響を与えた要因は,口渇感あり,独居,食事量減少あり,日常生活活動低下,主観的健康感の低下であった. 栄養障害リスクに影響を及ぼす複数の関連要因とリロケーションで生じた生活習慣の関連性を更に検討する必要がある.

  • 松田 友美, 櫻田 香, 佐藤 慎哉, 石田 陽子, 宇野 智咲, 三枝 真, 大竹 まり子, 齋藤 貴史, 井上 栄子, 嘉山 孝正
    2021 年 2 巻 1 号 p. 23-34
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究は訪問看護師教育に寄与すべく,A 県の訪問看護利用の現況と利用者の傷病別に必要な看護内容を明らかにする目的で 68 事業所の利用者について看護師に質問紙調査した.利用者に多い傷病は順に脳血管疾患,循環器疾患,悪性新生物だった.神経難病,脳血管疾患,悪性新生物は必要な看護内容が有意に多かった.利用者への看護で最多は与薬と管理,次は生活状況の把握と療養維持支援で多職種連携や身体状況の判断だった.併存疾患がある認知症は尿量測定,精神疾患は生活援助や褥瘡・廃用症候群ケアが有意に多かった.本研究により,訪問看護利用者の傷病別に必要となる看護内容の特徴および訪問看護師教育に寄与する情報が明らかとなった.

  • 熊谷 琴美, 伊藤 勇貴, 岡田 希和子
    2021 年 2 巻 1 号 p. 35-44
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    診療所外来の疾病治療中高齢者に対し,筋力低下の現状を明らかにすることを目的とした.診療所外来へ通院中の 65 歳以上の高齢者 103 名を対象に,男女別で握力低下に及ぼす特徴を身体計測値,血液検査値,栄養状態,食事調査等,筋量(下腿周囲長)を含め検討した.男性握力低値群と握力・筋量低下群で,鉄,葉酸,カリウム,ビタミン B2,ビタミン K で有意差を認め,たんぱく質や野菜の摂取量が少ない傾向であった.握力・筋量の比較では上腕筋量や MNA®-SF で有意差が認められたが,血清アルブミンは有意な差は認められなかった.握力,筋量,栄養状態の測定と食事摂取量を把握する必要性が示唆された.

活動報告
  • 大友 宣, 岸田 直樹, 矢崎 一雄, 松家 治道
    2021 年 2 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    札幌市では 2020 年 4 月中旬から新型コロナウイルス感染症第 2 波の流行があり,介護老人保健施設で集団感染が発生した.札幌市保健所の要請のもと診療支援医師を派遣した.混乱期には人員の不足に対して,人材確保,診療指針の策定を行った.試行錯誤期には搬送のための情報収集の補助,搬送の目安を検討,服薬の減量を行った.現地対策本部が設置され 30 名の入居者の病院への搬送により施設内の状況は落ち着き,集団感染の収束に向かった.在宅医が介入しアドバイスすることは一定の効果がある.現地対策本部設置,介護崩壊対策は今後必要である.行政のみに頼ることなく「自助」「互助」「共助」「公助」の対策を行うことが重要である.

症例報告
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