日本在宅医療連合学会誌
Online ISSN : 2435-4007
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論文
原著
  • 片見 明美, 渡辺 修一郎
    2024 年 5 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー

    基礎疾患ごとの在宅看取りにおける医師と看護師の役割の違いを質的研究により検討した.在宅医16名に,看取りの過程の違い・特徴,看取りの過程で果たす役割を調査した.在宅医5名,訪問看護師3名,専門看護師1名に半構造化インタビューを行った.分析テーマを「在宅看取りを可能にするために」分析焦点者を「在宅看取りに係わる医師および看護師」とし修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにて分析した.看取りの大変さを感じる在宅医は25%であった.全員ががんと非がんで看取りの過程は違うと回答した.医師で共通していた「予後予測が可能」とする認識は,看護師ではあまりなく,終末期に大変さを感じる要因の一つになっていた.

  • 志田 淳子, 宇野 智咲, 相馬 祐也, 大塚 眞理子, 松田 友美
    2024 年 5 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー

    研究目的は,退院支援における在宅の視点のある病棟看護と 多職種連携能力との関連を明らかにすることである.A県内の病棟看護師を対象に,在宅の視点のある病棟看護実践に対する自己評価尺度等からなる質問紙調査を行い,191名より回答(有効回答率22.4%)を得た.共分散構造分析による モデルの適合度は適切であり,「チーム活動のマネジメント」と「院外の多職種との連携頻度」を高めることで在宅の視点のある病棟看護 が直接向上し,さらには「他者の理解と尊重」が深まることが示された.このように,在宅の視点のある病棟看護と多職種連携能力は相互に発展し合う関係にあることが明らかになった.

  • -神奈川県国民健康保険のレセプトデータを用いたコホート研究-
    江頭 勇紀, 渡邊 亮
    2024 年 5 巻 1 号 p. 18-27
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー

    我が国では,病気になっても住み慣れた場所で暮らせるために,在宅医療を推進している.本研究は,診療報酬制度の観点から神奈川県の国民健康保険の6年間の請求データを用いて,在宅死の関連要因を検討した.対象者は65~74歳の末期がん患者とし,アウトカムは死亡場所(在宅または病院)とした.2,748例のうち,2,192例が在宅で死亡し,556例が病院で死亡した.修正ポワソン回帰分析の主な結果として,在宅医療移行前の在宅診療所と病院との連携介入,在宅医による往診の2つの在宅医療サービスと在宅死との正の相関が確認できた.本研究は,これらの在宅医療サービスが在宅医療政策に貢献する可能性を示唆するものである.

  • 今永 光彦
    2024 年 5 巻 1 号 p. 28-35
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー

    目的:在宅医に老衰と死亡診断された患者に,どのような症状や合併症が起こり,どのような治療が行われていたかを明らかにする.

    方法:全国在宅療養支援医協会に加盟している719医療機関に,郵送式質問紙調査による症例集積研究を行った.

    結果:727例の回答があった.急性疾患として感染症,特に肺炎の合併が最多であった.慢性疾患として認知症の合併が最多であった.死亡前1週間にあった症状として食思不振や嚥下障害の頻度が高かった.死亡前1週間で行った医療行為は,「選択肢にある医療行為なし」が最多であった.

    結論:在宅医に老衰と死亡診断された患者における合併症,症状,治療内容の現状が明らかとなった.

  • 真船 太一
    2024 年 5 巻 1 号 p. 36-43
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー

    はじめに:在宅支援診療所の看取りに関連する要因を分析した.

    方法:1年間での当院看取り例と病院看取り例に対し年齢,性別,介入日数,がん・非がん,DNARの有無,自宅・施設,ACPの回数,障害高齢者及び認知症高齢者の日常生活自立度,問い合わせ数,往診数,電話再診数の項目に単変量解析を,またp<0.20の項目に多変量解析を行いp<0.05で有意差ありとした.

    結果:対象44例中当院看取りは26例.単変量解析で当院看取り例にACPの回数が有意に多かった.DNARの有無と自宅・施設の別と合わせた多変量解析でACPの回数のみ有意差がみられた.

    結論:当院での看取りとACPの実施回数の関連性が示唆された.

活動報告
  • 片岡 怜, 篠崎 忠生, 和多田 雅哉
    2024 年 5 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー

    人工呼吸器などの医療機器を使用している医療的ケア児は増加傾向である.しかし,その支援する医療・福祉サービスは高齢者と比べて少なく,医療的ケア児の在宅生活を支える介護者の負担は大きい.そのような背景から,少しでも介護者の負担軽減となるよう,人工呼吸器や生体情報モニタのアラーム発生を検知し,その内容をスマートフォンに通知する製品を発案した.医工連携によるプロジェクトを立ち上げ,臨床工学技士と開発企業,デザイン企業,産学連携コーディネーターが共同した結果,製品化に成功した.本事例のように,医療機器の専門である臨床工学技士が在宅領域に携わることで,将来の在宅医療に貢献できると考えられた.

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