本稿は,学生相談の視点から大学生が抱える問題の多様化を論じる.学生相談というと,悩みを抱えたり不適応に陥ったりした学生のためのものとみなされやすいが,決してそうではない.広義の教育の一環として位置付けられている.昨今では,学生相談担当者や担当部署のみならず,キャンパス構成員全体で取り組む課題として学生支援が重視されるようになっている.
最初に学生相談の歴史を概観した後,学生相談という文脈で注目されてきたトピックス:(1)スチューデント・アパシー・(2)ふれあい恐怖心性・(3)発達障害傾向を紹介する.大学生における青年期心性の変化が生じているのかいないのか,学生支援の動向とそこで留意すべきことは何か,について検討する.心性という言葉を用いたのは,思考や感情といった心理的機能や行動特性などを含みつつも,青年自身の志向性,メンタリティ,その時々の心の動きに目を向けていたいという姿勢からである.
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