本稿の目的は,1960年から現在に亘る文部科学省と日本私立学校振興・共済事業団の財務上の統計資料を利用して,私立大学の借入金を巡る動向とを振り返り,借入金に関する問題点と意義を分析することである.
日本の私立大学は,二度に亘る学生急増期と減少期を経過する中で,借入金を活用して施設設備を取得して,大学の規模の拡大を図ってきた.
借入金の比重が増大したが,その後,学生数が増加するとともに,財政上の改善が進み,自己資金が増加して借入金の返済が可能となった.
しかし,近年,私立大学の拡張が止まり,財政が再び悪化している.学生数の長期的な減少が予測されており,私立大学が安定的な経営を持続するための借入金のあり方と課題を検証する.
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