京都大学の「共同研究センター」として2001年に設置された国際融合創造センターは「融合部門」「創造部門」の2部門から成る.そのうち,産学連携窓口の機能を果たしているのが融合部門である.京都大学全体の産学連携に比べると同センターが取り扱う案件はわずかで,その真の役割は産学連携の新しいパターンを実践的につきとめ,モデル化することと考えられる.
産学連携をめぐるコンフリクトは「〈産のシステム〉としての大学」「〈学のシステム〉としての大学」という2つの大学モデルの衝突で説明できる.産学双方が大学を〈産のシステム〉と見る場合は研究管理型,双方が〈学のシステム〉と見る場合は学術研究型の産学連携が成り立つが,不一致の場合には品質管理問題や知財権者問題が生ずる.大学がどこまで「産」たることを追求するか,あるいは追求しつつも「学」たりうるかは,それ自体が産学連携の課題である.
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