日本水文科学会誌
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40 巻 , 2 号
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巻頭言
研究ノート
  • 町田 功, 内田 洋平, 石井 武政
    2010 年 40 巻 2 号 p. 21-46
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/25
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     山形盆地は小規模な盆地であるが,得られる地下水の水質は多様である。乱川扇状地扇端の羽入地区には名水百選の自噴地下水,“どんこ水”が存在し,住民はこれを生活用水や養魚に利用している。一方,寒河江地区からは飲用に適さない高Fe 濃度の地下水,“鉄気水”が得られており,これらは消雪用に散水されるため,鉄水酸化物の沈殿によって道路の表面が赤褐色に変色した地域が認められる。さらに盆地西縁の平塩地区では塩水が地表付近から湧出している。 本研究ではこれらの地下水が存在する水文地質学的な理由を解明するために,従来,水理地質基盤と考えられてきた第三系内を含めた3 次元的な水質分布を,既存データの編集および現地調査から明らかにした。結果は以下の通りまとめられる:
    (1) どんこ水が存在する羽入地区は,地下水流動が極めて速い乱川流域の地下水流出域である。そのため,どんこ水は被圧されていながらも電気伝導度は低く,かつ酸化的な性質を有している。
    (2) 鉄気水は,寒河江地区だけでなく盆地低地部でも得られる。これらの領域では対照的に地下水の滞留時間は長く,地下水の還元が進んだことによってFe が地下水中に溶出したと考えられる。
    (3) 平塩の塩水湧水の酸素・水素安定同位体比は明らかに他の地下水よりも高く,同様の性質を持つ地下水は盆地西部および中央部の深層からも得られた。この塩水は地下深層が起源となっている可能性がある。
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