日本水文科学会誌
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43 巻 , 1 号
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論文
  • 岩波 秀晃, 和田 知之, 坂本 和佳, 工藤 勲, 知北 和久
    2013 年 43 巻 1 号 p. 3-24
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/16
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    北海道十勝川水系の支川(利別川・札内川・音更川・然別川・猿別川)において,2004 ~ 2006 年に河川水の栄養塩濃度を求めた。また,各河川における栄養塩濃度の季節変動を解析するため,タンクモデルを用いて雨水・融雪水の流出過程(表面,中間,基底)を推定した。解析には,河川流量,降水量,気温,湿度,気圧,風速と日射量のデータを用いた。また,流域からの栄養塩の供給源を理解するため,流域の土地利用形態・地質・土壌の分布を考慮した。結果として,冬期の低流量時には,流出成分として基底流出と中間流出が全流量の 80%以上を占めた。 3月から 6月の雪解けによる急激な流量増加期は,表面流出の寄与が全流量の 50%以上まで増加した。有効雨量と表面流出率の間に強い正の相関が存在し,これは降雨イベント後に表面流出としてすみやかに流量に反映されることを示唆している。利別川については,低流量時のケイ酸濃度は全河川における最高値を示し,春の融雪期にはケイ酸濃度は減少した。また,ケイ酸濃度と表面流出率との間に有意な負の相関が存在した。このことは,利別川のケイ酸濃度は高濃度の地下水からの基底流出と低濃度の表面流出との混合度合いによって規定されることを示唆している。しかし,流域に火山性土壌が多い利別,音更,然別川では,1 年を通してケイ酸濃度が高い傾向(200- 600 μmol l-1)が存在し,他方,札内,猿川ではケイ酸は低濃度であった(10- 300 μmol l-1)。硝酸塩は,流出経路の違いによる濃度変化はほとんど認められなかったが,河川ごとの濃度が大きく異なり,猿別川で高く( 300- 400 μmol l-1),利別川で低濃度(20- 50 μmol l-1)であった。 河川の硝酸塩濃度は,各河川の流域における農地の割合との間に正の相関があり,これは農地および酪農地からの未利用の余剰肥料および家畜排泄物が河川への主要な起源であることを示唆する。以上から,十勝川水系の河川水中の栄養塩濃度の変動は,流出経路の違いよりも各河川の流域における土地利用形態や地質の影響をより強く受けていることが明らかとなった。
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