日本水文科学会誌
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44 巻 , 4 号
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特集 シンポジウム「水循環に関わる窒素循環―科学的未知に迫る―(2)」
総説
  • 楊 宗興
    2014 年 44 巻 4 号 p. 185-195
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル フリー
    近年,陸域への窒素の負荷に起因した海域の貧酸素水塊形成の問題等から,窒素の流域レベルの動態に関心が持たれている。陸域に負荷される窒素と流出する窒素の間には比例関係が認められている。しかし,後者は前者を一般に大きく下回り,流域には窒素の大きなシンクが存在する。その損失過程としては脱窒や植物・土壌への吸収などが考えられているが,詳細は不明である。平野部のない高原農業地域で集水域ごとの窒素収支を検討すると,負荷窒素と流出窒素の関係はこれまでの研究例と異なりほぼ1 : 1であり,窒素の損失は存在しなかった。台地部–低地部トランゼクトに沿って地下水を分析すると,低地部でNO3-や溶存酸素濃度の減少,相対N2/Ar比の上昇が認められる。さらに,丘陵地谷底部土壌深部でも脱窒を示すさまざまな証拠がある。以上の事実から,流域での窒素の動態において低平地の地下部での脱窒が一般に重要である可能性を提唱する。
研究ノート
  • 中村 高志, 西田 継, 風間 ふたば, 尾坂 兼一, Saroj K. Chapagain
    2014 年 44 巻 4 号 p. 197-206
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル フリー
    ネパール・カトマンズ都市域の浅層地下水中の窒素汚染の起源を推定するために,地下水,河川水ならびに下水の水の水素および酸素安定同位体比,硝酸イオンの窒素および酸素安定同位体比ならびに主要溶存化学成分の測定を行った。地下水試料は15地点の開放井戸と19地点の掘抜き井戸から採水し,河川水資料は対象地域の主要な河川の内,8地点を選定し採水を行った。加えて,カトマンズの市街地における下水の内2地点を選定し採水した。浅層地下水中の窒素汚染は硝酸イオンとアンモニウムイオンが主要な窒素形態であり,最も高い硝酸性窒素とアンモニア性窒素の濃度はそれぞれ63.9 mg/Lならびに36.7 mg/Lであった。硝酸性窒素の安定同位体比から,これらの窒素汚染は下水を起源としていることが推定された。しかしながら,地下水中の溶存無機窒素濃度は下水の窒素濃度に比べ低くい結果が得られた。この溶存無機窒素濃度の低下は降水による希釈や脱窒反応による地下水中の窒素の除去によるものと考えられた。
総説
  • 清水 裕太, 小野寺 真一, 松森 堅治
    2014 年 44 巻 4 号 p. 207-223
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル フリー
    流域の水循環および窒素流出量の推定に水文流出モデルを使用することが増えてきている。本稿では,これらのモデルを用いた流域からの窒素流出量の推定のために,モデル内の窒素動態プロセスの確認とその問題点について明らかにし,今後の課題を整理した。その結果,窒素輸送の駆動力となる降雨–流出モデルの適用方法,地下水,貯水池の扱い及びそこでの脱窒の扱いに改善の必要性が確認された。また,主に欧米で開発されたモデルであることから,水田での水循環プロセスや市街地からの浄化槽放流水等の概念が異なり,我が国の流域へ適用するにあたっては改善が必要であることが確認された。上記の問題点を踏まえると窒素流出における各プロセスの寄与率等の詳細な結果を求める場合には注意が必要であり,適用可能性の検討と共に,独自の改良や外部モデルとの連結が必要であると考えられる。
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