日本水文科学会誌
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44 巻 , 2 号
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論文
  • 浅井 和由, 辻村 真貴, FANTONG Wilson Yetoh
    2014 年 44 巻 2 号 p. 67-77
    発行日: 2014/05/31
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    日本の山岳地域における降水の安定同位体比の時間変動特性を明らかにするために,御嶽山の11地点において2003年1月から2005年12月まで月毎に降水の採取と分析を実施した。降水の安定同位体比は,観測期間を通して春季に高く,冬季(積雪期)に低い値を示し,夏から秋は両季節の中間的な値であった。この季節変動は雨量効果や温度効果では説明不可能であり,御嶽山の降水の同位体変動とローカルな気象条件との関係性が低いことが示唆された。春から秋の暖候期の降水の同位体比は,御嶽山の風上にあたる南側の地域の降水量が多いときに低い値となっており,水蒸気団が御嶽山に到達するまでにもたらした雨量の差異がこの時期の同位体比の変動要因であることが示唆された。冬季に観測された積雪の低い同位体比は,風上の北西側に豪雪地帯が分布することから,内陸効果によるものと判断された。このような同位体比の変動は,水蒸気団の起源である海洋から遠く離れた山岳地域の立地を反映したものと考えられる。
総説
  • 田中 正
    2014 年 44 巻 2 号 p. 79-95
    発行日: 2014/05/31
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    日本水文科学会が設立されてから26年が経過し,この四半世紀の間にその研究方向も,また学問に対する社会的要請も大きく変わりつつある。本稿では,日本水文科学会の設立経緯を簡単に振り返るとともに,科学と社会に係わる最近における世界の動向を踏まえ,これから水文科学が目指す方向性について言及した。2013年から2022年までの今後10年間における新たな研究の枠組みとして,ICSUとISSCを中心とした国際学術組織等によって“Future Earth”が立ち上げられ,IAHSはNew Scientific Decade 2013-2022として“Panta Rhei-Everything Flows”を立ち上げた。また,GEFとUNESCO-IHPを中心とした新たな国際プロジェクトである“Groundwater Governance”が進行中である。これらの世界の動向からは,従来の「科学のための科学」から科学-人間・社会系の関係性を重視した「社会のための科学」を確立する必要性があることを読み取ることができる。今,水文科学に求められていることは,これら世界の動向に対処するための「新たな知」の創出とそのための方法論の確立であることを記した。
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