日本水文科学会誌
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46 巻 , 1 号
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紙碑
特集 シンポジウム 「海外学術研究および国際貢献における水文科学の役割」
総説
  • Halda A. BELGAMAN, 一柳 錦平, 田上 雅浩, Rusmawan SUWARMAN
    2016 年 46 巻 1 号 p. 7-28
    発行日: 2016/03/28
    公開日: 2016/04/05
    ジャーナル フリー
    インドネシア海大陸(IMC)は熱帯地方にあって,多数の島と海から構成されている。この多数の陸と海の配置は,独特の天気や気候特徴を形成している。IMCでは,降水の安定同位体の変動を調べる様々な水文気象学的な研究が行われている。降水の安定同位体比(δ18O, δD)は,大気過程(例えば,降水量,気温,水循環)に関する情報を得るために使われる。国際原子力機構による全球降水同位体観測網は,1961年より世界的に月単位の降水同位体の観測を行っており,海洋研究開発機構ではIMCの降水同位体の変動をさらに理解するために,2001年より観測を開始した。降水の安定同位体の季節変動には,降水量と同位体比によって3つのタイプ,半年周期,反モンスーン,モンスーンがある。降水量と同位体比の月平均値には,負の相関(降水量効果)が認められた。降水の安定同位体比の経年変動ではエルニーニョ南方振動による影響,季節内変動ではマッデン・ジュリアン振動による影響が認められた。また,短期変動には雲タイプや凝結後のプロセスによる影響が認められた。
研究ノート
  • 山田 誠, 小路 淳, 寺本 瞬, 大沢 信二, 三島 壮智, 杉本 亮, 本田 尚美, 谷口 真人
    2016 年 46 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2016/03/28
    公開日: 2016/04/05
    ジャーナル フリー
    海底湧水が湧出している沿岸域で,赤外線サーモグラフィを搭載したドローンを用いて海水面温度を観測することにより,海底湧水の探査におけるドローンの有効性と問題点について検証を行った。温度計を用いて直接測定したところ,浅い場所で湧出している海底湧水の湧出場所の海水面温度と,周辺の海水面温度との差は3℃程度であった。ドローンを用いて空中撮影した海水面温度画像はその温度差を明瞭に捉えており,本調査法では,水深2 m程度の海底で湧出している海底湧水を発見することが可能であることを明らかにした。また,海底湧水が海水面温度に及ぼす影響の範囲は数m四方程度であることを確認できた。一方で,水深4~5 mの場所で湧出している海底湧水は,海水面温度画像からは確認することが出来ず,本調査法での海底湧水探査は,海底湧水の水温の影響が海水面に表れるような沿岸域の極浅い場所での適用に限定されることが示された。
論文
  • 宮本 拓人, 知北 和久, 阪田 義隆, 落合 泰大, ホサイン  エムディ モタレブ, 大八木 英夫, 工藤 勲
    2016 年 46 巻 1 号 p. 39-57
    発行日: 2016/03/28
    公開日: 2016/04/05
    ジャーナル フリー
    本研究では,北海道・十勝地方沿岸域にある生花苗川(おいかまないがわ)流域(面積 62.47 km2)を対象とし,淡水の電導度モニタリングに基づく解析を行っている。生花苗川流域の土地利用被覆率は,森林88.3%,農用地10.6%でほとんどが森林である。森林土壌は,30–40 cm深に1667年樽前山噴火によるテフラTa-b層,さらに深部には約40,000年前の支笏火山大噴火によるテフラSpfa-1層と角レキ層が基盤の上に分布している。これらの層は極めて透水性が高く,側方浸透流の流出経路の役割をもつ。また,レゴリス下の地質基盤は大部分が新第三紀中新世の海成層で透水性の高い砂岩・レキ岩を含み,これには日高造山運動によってできた断層も分布している。今回は,試水の化学分析から河川水の主要無機イオンMg2+, Ca2+, Na, SO42-, HCO3の濃度(mg/L)と25℃電気伝導度(EC25と表記)との間に相関の高い線形関係を見出した。他方,2013年の降雨期に生花苗川で水位・電気伝導度をモニタリングし,溶存イオン濃度とEC25との関係を用いて,上記五種のイオン濃度およびその負荷量の時系列を得た。本研究では,得られた流量と主要無機イオン負荷量の時系列にタンクモデルとベキ関数を適用し,河川への各種イオン物質の流出経路について解析を行った。流出解析の結果,2013年は表面流出と中間流出で流出全体の74.2%を占め,流域外への地下水漏出は16.8%を占めた。また,イオン物質負荷量に対するモデル解析から,全負荷量に対する表面流出,中間流出,地下水流出,河川流出による負荷量の寄与が求められた。結果として,五つのイオン種全てで中間流出による寄与が40.0~70.0%と最大であった。これは,中間流出に対応する基盤上の角レキ層と支笏テフラ層での側方浸透流による溶出が卓越していることを示唆している。
報告
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