上海に進出した日系ドラッグストアにおいて、日本式ドラッグストアフォーマットを構成する小売技術が、どのようにそしてどのような理由で移転されたのかを明らかにする目的で、2011年から2012 年に掛けて華東地域に進出した4社のドラッグストアのケースを調査・分析した。
調査方法は、実地調査、インタビュー調査、二次資料による調査である。対象となる日系ドラッグストア4社のマネジメント層に対するインタビューでは、各小売技術の移転の状況を確認した。その他のインタビュー調査、実地調査、二次資料による調査は、マネジメント層に対するインタビュー調査を裏付ける情報として利用し、また、実地調査、ヒアリングおよびインタビューの対象者に対して、メールや対面によるフォローアップ調査を実施した。
その結果、各小売技術の移転戦略が明らかになり、またそこに作用した埋め込み要因が明らかになった。さらに、(1)受入国への埋め込みの影響が強い場合、移転なしかまたは機会主義的戦略を取らざるを得ないということ、(2)多くの小売技術において、本国への埋め込みによる影響は、派遣者を通じて生じているということ、(3)小売技術の「拡張」戦略は、受入国への埋め込みの影響がないあるいは少ない分野で行われるということが明らかになった。
抄録全体を表示