日本イオン交換学会誌
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10 巻, 3 号
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  • Rifaid M. NUR, 相田 昌男, 金 相鎬, 藤井 靖彦, 野上 雅伸
    1999 年 10 巻 3 号 p. 89-96
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    メタノール・塩酸混合溶媒系において, 三級ピリジン型陰イオン樹脂を用い, 高レベル放射性廃棄物中に存在が予測される幾つかの金属イオンについて, 分配係数を測定した。その結果, メタノール・塩酸混合溶媒系で得られた分配係数の値は塩酸系での値と比べ, Co (II) やZr (IV) の場合には非常に高い値を示した。また, この系を用いれば, 核分裂生成元素のうち, アルカリ金属, アルカリ土類金属, 希土類金属は多くの遷移金属, ウランや超ウラン元素から容易に分離されることが明らかとなった。
  • 上松 敬禧
    1999 年 10 巻 3 号 p. 97-113
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    種々のイオン交換体を用いた触媒設計に関する我々の研究をまとめた。1) 酸性イオン交換樹脂を固体酸触媒のモデルとして研究した。その結果, H型スルホン酸樹脂での誘起不均一性, プロトン-金属イオン間の協同効果による酸強度の増大, 酸触媒活性の金属イオンの電気陰性度依存性, オレフィン異性化の反応中間体としてπ-アリル型を配位するルイス酸型サイトの実証をした。2) 金属担持や金属錯体担持用担体としてのキレート型樹脂の有効性を示した。3) 粘土鉱物やリン酸ジルコニウム等の無機層状ホストについて種々の修飾法を開拓した。すなわち, チューニングゲストを活用して金属や金属錯体を層間にインターカレートし, 層間のホスト・ゲスト化学を制御して分子認識機能の設計を行った。その結果, 形状選択のみならず, エナンチオ識別, 化学環境認識等の選択性をもつ各種の分子認識触媒を開発した。
  • 出尾 隆志, 中島 政明, 立野 誠司, 松村 伸明
    1999 年 10 巻 3 号 p. 114-122
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    電着塗装用の電極室は, 平膜のイオン交換膜を箱型のフレームに挟み込んだ電極室が主流である。この電極室は重量が重い, あるいは塗膜の厚みを更により均一に, また塗膜品質をさらに向上させたい等のニーズがあり, そこでこの用途向けの新イオン交換膜と電極室の開発に取り組んだ。種々の開発トライの結果, 押出し成形による管状イオン交換膜の開発に成功した。
    これは従来の平膜のイオン交換膜に比較して, 管状としての形状に自己支持性があり, 電着塗装用電極隔膜に要求される機械的強度を十分に満足し, かつ電気化学的性質においても平膜のイオン交換膜と同等以上の性質を持つものである。次いでこの管状イオン交換膜を用いた電着塗装用管状イオン交換膜電極室を開発した。この電極室は従来の箱型電極室と比較すると, 重量が格段に軽くなりまた十分な強度があることから, 取り付け, メンテナンス時の扱いが飛躍的に向上した。また塗膜の平滑性に影響するブツの発生が箱型では避けられないが, 管状イオン交換膜電極室では完全に解消した。また管状イオン交換膜電極室の密閉浸漬型を用いることで塗装膜の厚みをより均等にすることができ, かつこれは塗料の使用量の削減と電力の削減という経済的効果が出ることが確認された。
  • ―生体高分子物質の分析・分離精製用担体を中心として―
    森山 弘之
    1999 年 10 巻 3 号 p. 123-127
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    液体クロマトグラフィー (LC) は分析・分取精製手段の1つとして, 幅広い分野で利用されている。その中でも, イオン交換樹脂の歴史は長く, その利用方法, 対象物質は多岐にわたっており, 医薬, 臨床, 食品など様々な幅広い分野で利用されている。イオン交換樹脂は, 近年のバイオ, テクノロジーの急速な進展を支えるツールの1つとして, 特にタンパク質などの生体高分子物質の分析・分取に重要な役割を果たしている。LCでは, 分離目的により求められる物性は異なり, その物性と分離特性は密接な関係がある。タンパク質などの生体高分子物質分離用担体としてのイオン交換樹脂に求められる物性, 特に1) 粒子径, 2) 細孔径, 3) イオン交換基, 4) 分離基材について, 分離性能との関係について概説する。
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