ランタン (III) を担持した, ジエチレントリアミンポリ (メチレンホスホン酸) を有する架橋ポリスチレン樹脂のフッ化物イオン吸着特性を調べ, 選択的な吸着除去材としての機能を検討した。フッ化物イオンの吸着は, 含フッ素水溶液のpHに大きく依存し, pHが低いほど吸着量, 吸着速度ともに増大し, 吸着除去材としての機能は向上した。しかし, pH3.5未満では, ランタン (III) の樹脂からの脱離が無視できなくなり, 水溶液のpHは3.5付近が最適であった。ランタン (III) を担持したキレート樹脂を充填したカラムによる処理で, 塩化物イオン, 硝酸イオン及び硫酸イオン等, 他の陰イオンの妨害を受けることなく, フッ化物イオンを選択的に吸着除去することが可能であった。フッ化物イオンを飽和吸着した樹脂は, 1mol・dm
-3の水酸化ナトリウム水溶液による洗浄で, ランタン (III) を担持させたままフッ化物イオンだけが溶出し, 再生された。
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