日本イオン交換学会誌
Online ISSN : 1884-3360
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2 巻, 2 号
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  • 神藤 郁夫
    1991 年 2 巻 2 号 p. 69-82
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    半導体産業向け超純水に関して, 種々の水質項目に対する要求の根拠そして超純水システムの概要を述べ, その中で微粒子, TOC, 抵抗率, 溶存酸素を取り上げイオン交換樹脂がどのように関連しているかを実際のデータを基に説明する。
    微粒子は適切なコンディショニングによりイオン交換樹脂からの発生量の低減が可能である。TOCについてはイオン交換樹脂をいかにして低溶出化するかが現状の大きな目標である。抵抗率を維持するには前処理 (凝集処理) の最適化, RO膜の使用が効果的である。そして, 溶存酸素についてはイオン交換樹脂からの金属の脱離 (溶出) に関して微量レベルでのデータを蓄積する必要がある。
    次世代の超純水製造システムにおいてイオン交換樹脂に望まれることは, TOCを中心としたウルトラクリーン化である。
  • イオン交換場に関する研究-1
    吉田 一男, 小花和 平一郎, 武田 邦彦
    1991 年 2 巻 2 号 p. 83-94
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    陰イオン交換体と吸脱着平衡関係にあるウラニルークロロ錯体を例にとり, イオン交換体内の吸着場について化学量論的に考察した。イオン交換体と電解質溶液との平衡を扱う場合, 従来よりイオン交換体内を1つの均一な電解質と仮定して議論が行われている。イオン交換体内を均一な電解質と仮定して平衡論に基づいてイオン交換体内のウラニルークロロ錯体の組成を求めると, 〔UO2Cl53-や〔UO2Cl54-となるが, これらの化合物はポテンシャルエネルギーから考えると極めて存在しにくい。一方, イオン交換体内の固定解離基付近が, 特異な吸着特性を有すると仮定すると, ウラニルークロロ錯体は〔UO2Cl3-や〔UO2Cl42-として固定解離基周辺に存在するという結果となり, この結果はポテンシャルエネルギー的に妥当といえる。よってイオン交換体内は均一な電解質ではなく, 固定解離基付近が吸着場として働くことが判った。
  • 金里 雅敏, 横山 敏郎, 鈴木 敏重
    1991 年 2 巻 2 号 p. 95-100
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    ランタン (III) を担持した, ジエチレントリアミンポリ (メチレンホスホン酸) を有する架橋ポリスチレン樹脂のフッ化物イオン吸着特性を調べ, 選択的な吸着除去材としての機能を検討した。フッ化物イオンの吸着は, 含フッ素水溶液のpHに大きく依存し, pHが低いほど吸着量, 吸着速度ともに増大し, 吸着除去材としての機能は向上した。しかし, pH3.5未満では, ランタン (III) の樹脂からの脱離が無視できなくなり, 水溶液のpHは3.5付近が最適であった。ランタン (III) を担持したキレート樹脂を充填したカラムによる処理で, 塩化物イオン, 硝酸イオン及び硫酸イオン等, 他の陰イオンの妨害を受けることなく, フッ化物イオンを選択的に吸着除去することが可能であった。フッ化物イオンを飽和吸着した樹脂は, 1mol・dm-3の水酸化ナトリウム水溶液による洗浄で, ランタン (III) を担持させたままフッ化物イオンだけが溶出し, 再生された。
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