日本イオン交換学会誌
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20 巻, 3 号
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受賞論文(平成 20 年度進歩賞)
  • 鈴木 達也
    2009 年 20 巻 3 号 p. 110-115
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/08/30
    ジャーナル フリー
    原子力施設から発生する高レベル放射性廃棄物(HLRW)や使用済燃料中元素の核種分離について研究開発を行っている。分離システムはピリジン樹脂によるクロマトグラフィ技術に基づいたものである。ピリジン樹脂は耐放射線性が高く,HLRW からの核種分離のような高放射線場での利用に適している。また,ピリジン基はソフトドナー配位子の機能と弱塩基性陰イオン交換体の機能を兼ね備えており,この二つの機能をうまく利用することにより多様な元素を含む HLRW の核種分離に適用するのに有効である。分離はマイナーアクチニド(MA)と希土類元素(REE)の群分離,MA および REE 中の元素相互分離,Sr, Cs 分離など多岐にわたり研究を行い,分離を確認している。また,MA と REE のピリジンへの吸着機構について塩酸系ではピリジン基はソフトドナー配位子として働き,硝酸系ではイオン交換体として働くことを見出している。
受賞論文(平成 20 年度技術賞)
  • 古本 五郎, 小泉 洋介, 久保田 昇
    2009 年 20 巻 3 号 p. 116-119
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/08/30
    ジャーナル フリー
    超純水中の金属イオンを吸着除去する性能を有する膜およびモジュールを開発した。新しい膜は,PE 基材の表面に放射線グラフトにより高分子鎖を形成し強酸性の陽イオン交換基を導入した焼結体構造を有する。含まれる金属イオンがサブー ppt レベルの濃度まで磨かれた超純水に対しても優れた吸着性能を発揮し,ほぼ 2 桁低い金属イオン濃度の超純水を得ることが可能である。また,TOC 等の溶出量も十分に少なく,装着後実使用までのリードタイムが小さいため,ユースポイントでの実用性能も満足するレベルであった。
一般論文
  • 斉藤 孝行, 松本 幹治, 中村 一穂, 平山 稚子, 新田見 匡, 保田井 美智子, 武田 収功
    2009 年 20 巻 3 号 p. 120-126
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/08/30
    ジャーナル フリー
    自由度のある直鎖ポリエーテルを高分子材料に固定すれば,多種類の金属イオンを配位可能な機能性材料ができる可能性がある。
    オキシエチレン鎖の長さの異なる直鎖ポリエーテルを,4-Chloromethylstyrene(CMS)をグラフト重合したポリエチレン不織布の基材に導入し,多数のオキシエチレン鎖を持つ PE-g-PEGME#1)を合成した。オキシエチレン鎖と有機溶媒に溶ける過塩素酸塩の金属イオンとの相互作用を調べるため,カラム試験による金属イオンの配位量と NMR スペクトル測定による配位強度について検討した。
    その結果,PE-g-PEGME は多種類の金属イオンと配位し,金属イオンに対する選択性が見られた。溶媒が 2-プロパノール(IPA)の場合,選択性の大きい序列は Na+<Mg2+<K<Ca2+ であった。また,誘電率が小さい溶媒で Na イオンと配位し,配位の強さは水<アセトニトリル(ACN)<IPA の順であった。更に PEGME のオキシエチレン鎖が長いほど 1H-NMR のシフト幅が大きく,配位能の小さい Na イオンでも比較的強く配位できることを示した。
    #1) Polyethylene-graft-methylstyrene-poly (ethyleneglycol) monomethyl ether
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