自由度のある直鎖ポリエーテルを高分子材料に固定すれば,多種類の金属イオンを配位可能な機能性材料ができる可能性がある。
オキシエチレン鎖の長さの異なる直鎖ポリエーテルを,4-Chloromethylstyrene(CMS)をグラフト重合したポリエチレン不織布の基材に導入し,多数のオキシエチレン鎖を持つ PE-
g-PEGME
#1)を合成した。オキシエチレン鎖と有機溶媒に溶ける過塩素酸塩の金属イオンとの相互作用を調べるため,カラム試験による金属イオンの配位量と NMR スペクトル測定による配位強度について検討した。
その結果,PE-
g-PEGME は多種類の金属イオンと配位し,金属イオンに対する選択性が見られた。溶媒が 2-プロパノール(IPA)の場合,選択性の大きい序列は Na
+<Mg
2+<K
+<Ca
2+ であった。また,誘電率が小さい溶媒で Na
+ イオンと配位し,配位の強さは水<アセトニトリル(ACN)<IPA の順であった。更に PEGME のオキシエチレン鎖が長いほど
1H-NMR のシフト幅が大きく,配位能の小さい Na
+ イオンでも比較的強く配位できることを示した。
#1) Polyethylene-
graft-methylstyrene-poly (ethyleneglycol) monomethyl ether
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