日本イオン交換学会誌
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23 巻, 2 号
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特集「原子力高レベル汚染水の処理法におけるイオン交換の役割」第3回
功績賞受賞記念論文
  • 神崎 愷
    2012 年 23 巻 2 号 p. 43-50
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/31
    ジャーナル フリー
    科学が高度に進歩している現在にあっても,水についてはいまだに不思議な水がまかり通っているのが現状である。しかしながらそのようにまか不思議な水が存在しないことはじっくり考えてみれば明らかなことであろう。本研究では生薬(漢方薬)を煎じて薬物有効成分やエキスを抽出するとき,抽出に使った水によってどのように抽出成分が変わってくるかを,多変量解析法を用いて調べた。水については硬度を第一要因と仮定して,できるだけ多くの種類の溶存物質,特にイオン種の濃度などの実測値をベースに多変量解析を行った。生薬としては芍薬,薬物有効成分としてはペオニフロリンを取り上げ,天然水としては市販のペットボトル入りのものを用いた。その結果抽出に関わる因子として,カルシウムイオン(Ca2+)と炭酸水素イオン(HCO3)が負の要因として抽出され,pH も若干の影響があることが分かった。多変量解析により導き出された抽出式(ペオニフロリンの抽出量:Y)は
    Y=28.11−0.71 pH−0.0034[Ca2+]−0.93[HCO3]
    に従うことが明らかにされた。
技術賞受賞論文
  • 瀬古 典明, 玉田 正男
    2012 年 23 巻 2 号 p. 51-58
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/31
    ジャーナル フリー
    放射線の高いエネルギーを利用して高分子材料を加工する技術の一つに放射線グラフト重合技術がある。この技術は,既存の材料の形状や特性を生かしながら,目的とする機能を付与することができる極めて優れた技術である。本技術を駆使して,既存の繊維材料を基材に用いて水処理捕集材料を創製する技術開発を進め,ビル空調用冷温水から鉄を除去する処理材,温泉水中に溶存するスカンジウムを吸着する捕集材に加え,工業化に有効な捕集材製造コストの低減化に寄与でき,環境に配慮した新しいエマルショングラフト重合法,さらに,エマルショングラフト重合により可能にした低線量グラフト重合による天然高分子を基材に利用した環境に優しい捕集材等の開発など,水環境における環境浄化·保全,資源確保の観点で進めた実用化研究の成果について述べる。
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