日本イオン交換学会誌
Online ISSN : 1884-3360
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24 巻, 1 号
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学会賞受賞論文
  • 島津 省吾
    2013 年 24 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/01/19
    ジャーナル フリー
    層状構造を持つ無機イオン交換体を触媒担体として用いることで,活性種を層間へ均一に導入することができる1)。この方法を用いてわれわれが合成した様々な「層間触媒」は “Intercalation Catalysts” として国際的にも認識されるようになった2)。これらの無機化合物の結晶構造や化学的性質を効果的に利用することで,(1)触媒活性種の均一分散と触媒活性の向上,(2)反応空間制御と分子認識性の発現,(3)活性種の立体構造制御と分子認識性の向上,(4)触媒反応補助機能,(5)活性種の安定化などの特長を見いだしてきた。本論文では,われわれが合成して調べた触媒挙動の具体例を取り上げて,層間触媒の特徴を説明する。
一般論文
  • 岡村 雄介, 藤原 邦夫, 飯島 直樹, 正田 哲也, 鈴木 晃一, 須郷 高信, 清水 威, 板垣 龍人, 高橋 淳, 小野 孝之, 菊池 ...
    2013 年 24 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/01/19
    ジャーナル フリー
    さまざまな接触方式で海水から放射性セシウムを高速除去できる不溶性フェロシアン化コバルト担持繊維を作製した。まず,アニオン交換基をもつビニルモノマー,ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を,γ線を予め照射した 6-ナイロン繊維にグラフト重合した。つぎに,フェロシアン化物イオンを DMAEMA グラフト繊維に吸着させた。さらに,コバルトイオンとフェロシアン化物イオンとの沈殿反応によって繊維上に不溶性フェロシアン化コバルト(K2Co[Fe(CN)6]) を担持した。パイロット規模の反応器を使って,ワインド型のセシウム吸着繊維を 1 回で約 100 kg を製造した。繊維に対する海水の重量比を 100 にして,回分の接触方式によって,初期濃度 10 mg-Cs/L が 30 分後に検出限界(0.2 mg-Cs/L)以下に減った。また,吸着等温式は Langmuir 型の式に整理でき,海水中のセシウム濃度 1 mg-Cs/L のときの濃縮係数は 21000 であった。さらに,不溶性フェロシアン化コバルト担持繊維を,空気中,500°C で,シアン化水素を発生させることなく焼却でき,減容可能であった。
  • 染谷 孝明, 岡村 雄介, 和田 剛, 霜田 祐一, 梅野 太輔, 斎藤 恭一, 篠原 直志, 久保田 昇
    2013 年 24 巻 1 号 p. 14-20
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/01/19
    ジャーナル フリー
    放射線グラフト重合法によって,基材として平均粒径 60 μm のポリエチレン粒子を用いてカチオン交換ポリマーブラシ搭載粒子(カチオン交換粒子)を作製した。モデルタンパク質として chymotrypsinogen A, cytochrome C,および lysozyme を,カチオン交換ポリマーブラシ搭載粒子充填カラム(断面積 0.20 cm2,充填高さ 1.5 cm)に負荷し,リン酸緩衝液および 1.0 M NaCl 溶液を用いて勾配溶出をおこなった。同一のカラム圧力損失となるように充填したカチオン交換粒子および市販のカチオン交換ビーズ(SOURCE 30S, GE Healthcare(株)製)の充填カラムを使って分離性能を比較した。カチオン交換粒子充填カラムは SOURCE 30S 充填カラムに比べて,高い線速度および高いタンパク質総負荷量でも,chymotripsinogen A/cytochrome C および cytochrome C/lysozyme の組み合わせで分離度が高かった。
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