日本イオン交換学会誌
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3 巻, 2 号
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  • 清水 博
    1992 年 3 巻 2 号 p. 40-50
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
  • 比嘉 充
    1992 年 3 巻 2 号 p. 51-60
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    多価多成分イオン-イオン交換膜系におけるイオン透過現象をNemst-Planck式とDonnan平衡に基づく理論式で記述した。種々の電解質系における膜電位と透過係数の膜荷電密度依存性をこの理論式で計算し, またポリビニルアルコールをべースにした膜を用いてこれらの値を測定した。この結果より多価多成分イオン系におけるイオン選択透過性と膜荷電密度との関係について検討した。この系では系内に含まれる最大価数の対イオンが膜内に優先的に取り込まれるためこのイオンが透過現象に重要な役割をする。この最大価数を持つ対イオンの優先的な取り込みにより特定の膜荷電密度領域でこのイオンの膜中濃度勾配は外溶液の濃度勾配と逆向きになりUPHILL輸送が起きる。この現象を用いればイオン交換膜の膜荷電密度を光照射, 温度変化等の外部刺激で変化させ, 多価イオンの透過方向や透過量を制御することが可能である。
  • 安居院 渡, 近藤 正彦, 阿部 正彦, 荻野 圭三
    1992 年 3 巻 2 号 p. 61-68
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    イオン交換樹脂は純水製造において必要不可欠であるが, この樹脂に水中の微量有機物が吸着した場合, イオン交換反応が阻害されることが示唆されている。本報では, アニオン交換樹脂にフミン質をバッチ法で吸着させ, これをカチオン交換樹脂との混床にし, 塩化ナトリウムの希薄溶液を高流速で通液し, 通液前後の塩素イオン濃度を測定した。この測定結果からイオン交換の反応性を示す物質移動係数を算出し, フミン質の樹脂に与える影響を検討した。その結果, フミン質の純水溶出成分の強塩基性イオン交換樹脂上での吸着量は, 水酸化ナトリウム溶出成分の該樹脂上での吸着量より大きくなる。吸着したフミン質の純水溶出成分はイオン交換の反応性にはほとんど影響を与えなかった。ゲル型樹脂はMR型樹脂より高い物質移動係数を与えた。水酸化ナトリウム溶出成分の吸着量が増加すると物質移動係数は顕著に低下することが分かった。水処理において安定した脱塩能力を維持するためには, イオン交換樹脂がイオン性の高分子量有機物に汚染されるのをさけることが重要であることが示唆された。
  • イオン交換場に関する研究-2
    川上 文明, 吉田 一男, 佐藤 優, 武田 邦彦
    1992 年 3 巻 2 号 p. 69-80
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    多孔性陰イオン交換体中における錯イオンのイオン交換挙動を検討するために, その内部のFe3+塩化物錯イオンの配位数およびイオン交換特性の測定を行った。その結果, 吸着している錯イオンは [FeCl4] -であり, 陰イオン交換体内のドナン領域にのみ存在していることが示された。さらに, 吸着している錯イオン種である [FeCl4] -および [UO2Cl4] 2-について, その塩化物イオン (Cl-) を基準とする吸着ポテンシャル△μ0r, を求めた結果, それぞれ14.3および15.8kJ/molと極めて大きな値をもつことが示された。これを熱力学的平衡定数Kを用いて検討した結果, 錯イオン種間の交換反応においては浸透圧項が, また錯イオンとCl-との交換反応においては, 活量係数項の寄与が大きい事が示された。この結果は, 電子交換反応において, 吸着した錯イオンが水溶液中に比べて大きな反応速度をもつ現象と同様に, 吸着した錯イオンの特殊性を示すものと考えられる。
  • 小林 セツ, 今井 よしこ, 佐藤 尚洋, 中塚 朝夫, 鈴木 敏重
    1992 年 3 巻 2 号 p. 81-88
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    レアメタルの分離を目的に開発されたジエチレントリアミンーポリカルボン酸を含むキレート樹脂 (CMA樹脂) を, 光磁気ディスク製造工程から出る廃棄物に0.1wt%含まれているテルビウムの回収に適用した。廃棄物中のテルビウムは, 2mol dm-3の塩酸により完全に溶出し, 36.1wt%に濃縮された。この溶液について, CMA樹脂カラムによる分離を検討した。試料溶液のpHを3.5に調整してカラムに吸着後, 0.2mol dm-3塩酸で溶離することによりテルビウムは70.3wt%に濃縮された。分配係数が類似しているCo (II) およびFe (II) からの完全分離は困難であった。この溶出液にしゅう酸を添加して, 沈澱分離し, 純度99.7%の酸化テルビウム (Tb4O7) を回収することが出来た。キレート樹脂カラムによる分離では, 移動相に塩酸を使用することができ, 溶出液の組成が単純化されるので, その後は簡単な操作でテルビウムの回収が可能となった。
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