コロジオン膜に炭化フッ素化合物であるパーフルオロデカン酸 (PFDA) を含浸させた膜がキャスト法により作られた。この膜一電解質溶液系において膜電位, 流動電位, 膜伝導度を実験的に求め, その結果に基づきこの膜のイオン交換特性を議論した。即ち, 膜電位から得られる陽イオン輸率が0.95前後であることから膜内でPFDAが充分に解離し, 膜が陽イオン交換膜として機能することが支持された。また膜伝導度についてドナン膜平衡の取り扱いを適用し膜内の有効イオン交換基濃度を求めた。その結果, 膜伝導度が膜と平衡にある電解質濃度のみならず膜内有効イオン基濃度にも強く依存することを示した。流動電位から得られる電気浸透係数と有効イオン交換基濃度との関係を調べたところ, ある含浸物濃度で電気浸透係数の急激な増加を示し, その濃度以上での膜透過物性の変化が示唆された。
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