含水酸化チタン-ケイ素 (TS) 及び含水酸化チタン-ジルコニウム (TZ) について, イオン交換体としての性質並びに種々放射性元素の固定化性能に関する我々の研究結果を概説した。チタン含量が0.37-0.67のTSは単純な金属含水酸化物の収着容量からは予測できない高い収着性を示すが, TZの収着容量は含有している含水酸化チタンのそれに支配される。これら交換体の典型金属に対する親和性は交換基の酸性度と共に増大するが, 遷移金属の収着反応ではそのような単純な関係が見られず, 遠隔のクーロン相互作用に加えて配位結合形成のようなイオンと交換基との直接の相互作用も選択性を決める因子として重要である。何れの交換体も600℃までは際だった結晶化を起こさず, 極あて優れた耐熱性を有する。高温でか焼した交換体からのSr
2+, Co
2+, Eu
3+及びTh
4+の溶解は何れの交換体においても安定なチタン酸塩の生成により非常に低く押さえられる。TSからのCs
+とUO
22+の侵出率は熱処理温度の上昇につれて著しく減少し, 収着されたイオンは構造が未知の安定なチタンシリケイトに転換されることが示唆された。か焼したTZでは可溶性のCs
2O, α-U
3O
8が生成するために, 熱処理による浸出性の抑制は期待できない。
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