日本イオン交換学会誌
Online ISSN : 1884-3360
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6 巻, 3 号
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  • 新井 剛, 武田 邦彦, 韋 悦周, 熊谷 幹男, 高島 洋一
    1995 年 6 巻 3 号 p. 90-107
    発行日: 1995/12/31
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    白金族元素の内, ルテニウム (Ru) , ロジウム (Rh) , 及びパラジウム (Pd) を用い, 塩素イオン錯体のイオン交換挙動を調べた。塩酸液中での紫外可視領域の吸収と報告されている錯形成定数から, Ru3+, Rh3+は0.1mol/dm3から9mol/dm3まで塩素イオン濃度の増大と共に錯形成が進行し, Ru (Cl) 3-6, Rh (Cl) 2-4等の高次の錯体の存在の可能性もあるが, Pd2+では1mol/dm3以上の塩酸濃度での可視部の吸収の変化が少なかった。ν-K軌跡交点法によってイオン交換体内の錯イオンの価数を求めたところ, 塩素イオン濃度が0.1mol/dm3~6.0mol/dm3の範囲でRu3+では-1.4~-1.9, Rh3+では-1.4~-1.8, さらにPd2+では-1.6~-1.7であった。Ruは溶液内の錯形成が進むことによって, RuではClに対する選択性が, 1.7から612と増大するのに対して, Rhでは1.2から31になるに過ぎなかった。またPdは溶液内の錯形成が進行していないにもかかわらず選択性は240から360程度と高かった。特にPdに於いて溶液内の平均価数に対してイオン交換体内の平均価数が小さいと言う結果を得た。
    以上の結果からPd-Cl錯イオンのイオン交換では, イオン交換基との錯形成反応を伴う可能性がある。
  • 川原 拓夫, 久我 通代
    1995 年 6 巻 3 号 p. 108-115
    発行日: 1995/12/31
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    イオン交換膜のプロセス実験法について概説した。
    効果的な実験を行うためには, 文献あるいは膜メーカーへの問い合わせなどをしたりして類似の用途を調べておくこと, 実験の目的を明確にしておくこと, あらかじめ概念設計を行い不明箇所を明らかにしておくことが重要である。
    電気透析膜を使ったプロセス実験について, 実際の例をあげて説明した。
  • 谷岡 明彦
    1995 年 6 巻 3 号 p. 116-125
    発行日: 1995/12/31
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    膜電位や透過によって示される膜を介したイオンの輸送現象はネルンストープランクのイオン流束及びドナン平衡の理論によって説明される。これらの値は膜荷電密度, イオン移動度, 溶液濃度の関数として与えられる。膜荷電密度は荷電膜の性質を特徴づける重要なパラメータの一つであり, 固定荷電基の密度即ち膜中の水の単位体積あたりの固定荷電基の数として定義される (膜乾燥重量あたりの電荷の数と定義したときはイオン交換容量) 。これはネルンストープランクのイオン流束式の解に基づいており, そこでは水を含んだ管状の空孔がイオン透過のために膜中に存在すると考えられている。このことから荷電密度は不均一に膜中に分布していると言える。一方ドナン平衡理論を荷電膜に適用したとき固定荷電基は膜中に均一に分布していると仮定している。両者の理論における荷電密度に対する考え方の違いは膜輸送現象の解析における矛盾であるがほとんど大きな注意をはらわれていない。本論文ではこれらの問題点の理解を助けるために膜電位と透過係数に及ぼす固定荷電密度の影響を基礎的な点から論じた。このことはさらに進んだイオン交換膜を開発する上で重要と考えられる。
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