目的
本研究は、スコーピングレビューの手法を用いて、ネパール人の食事内容を食材・食事レベルと栄養素レベルの双方から分析することにより、ネパールの伝統食であるダル・バート・タルカリと現代食との栄養バランスの変遷を、健康面(特に糖尿病)への影響を考慮し、明らかにすることを目的とした。
方法
文献検索は、PubMed、医中誌、Science directを用い、ネパールの食事を食材・食事レベルと栄養素レベルで報告をした23件の文献を採用した。食事内容の評価方法としては、ネパールに特化したものが入手できないため、WHOと日本の厚生労働省の報告による健康的な食事の基準を指標とした。
結果
伝統食であるダル・バート・タルカリは豆、米、そしてカレー味の野菜を組み合わせたものである。食材・食事レベルでは、WHOの基準と比較すると、穀類が多く、肉類、豆類、野菜、果物が不足気味であった。栄養素レベルでは、日本の厚生労働省の基準よりも、炭水化物が多く、タンパク質と脂質が少ない。しかし、現代食の消費の増加が加わり、炭水化物と脂質の摂取量が超過傾向となっている。これらの過剰摂取と、季節によっては野菜の摂取が不足することにより、NCDs(非感染性疾患:Non communicable Diseases)のリスクが上昇することが明らかになった。
結論
ダル・バート・タルカリは、炭水化物の比率が常に多い傾向があり、炭水化物の量と質に注意する必要がある。現地の伝統的な食事の全体像をきちんと把握したうえで、タンパク質源となる豆類や肉類の食材、野菜・果物などをうまく組み合わせ、栄養バランスのよい食事を検討することは重要である。
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