国際保健医療
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原著
  • 錦織 愛, 岩下 華子, 杉下 智彦
    2022 年 37 巻 3 号 p. 87-99
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/06
    ジャーナル フリー

    目的

      本研究は、スコーピングレビューの手法を用いて、ネパール人の食事内容を食材・食事レベルと栄養素レベルの双方から分析することにより、ネパールの伝統食であるダル・バート・タルカリと現代食との栄養バランスの変遷を、健康面(特に糖尿病)への影響を考慮し、明らかにすることを目的とした。

    方法

      文献検索は、PubMed、医中誌、Science directを用い、ネパールの食事を食材・食事レベルと栄養素レベルで報告をした23件の文献を採用した。食事内容の評価方法としては、ネパールに特化したものが入手できないため、WHOと日本の厚生労働省の報告による健康的な食事の基準を指標とした。

    結果

      伝統食であるダル・バート・タルカリは豆、米、そしてカレー味の野菜を組み合わせたものである。食材・食事レベルでは、WHOの基準と比較すると、穀類が多く、肉類、豆類、野菜、果物が不足気味であった。栄養素レベルでは、日本の厚生労働省の基準よりも、炭水化物が多く、タンパク質と脂質が少ない。しかし、現代食の消費の増加が加わり、炭水化物と脂質の摂取量が超過傾向となっている。これらの過剰摂取と、季節によっては野菜の摂取が不足することにより、NCDs(非感染性疾患:Non communicable Diseases)のリスクが上昇することが明らかになった。

    結論

      ダル・バート・タルカリは、炭水化物の比率が常に多い傾向があり、炭水化物の量と質に注意する必要がある。現地の伝統的な食事の全体像をきちんと把握したうえで、タンパク質源となる豆類や肉類の食材、野菜・果物などをうまく組み合わせ、栄養バランスのよい食事を検討することは重要である。

活動報告
  • 齋藤 昭子, 巣内 秀太郎
    2022 年 37 巻 3 号 p. 101-112
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/06
    ジャーナル フリー

      HIV感染に対するMen who have sex with men (MSM)の脆弱性は、広く知られるようになったが、社会的立場の弱さから必要なサービスへのアクセスが制限されている。そこで、青年海外協力隊(当時)2名で、MSMを対象とした性感染症予防のためのコンドーム使用を促進するワークショップを立案した。ヘルスビリーフモデルを参考に、コンドーム使用のメリット(感染予防)がデメリットを上回れるよう、性感染症の脅威やコンドーム使用の有効性を認識し、正しい使用方法の習得を促す内容とした。肛門性交などMSMの性行動を考慮した内容にし、ファシリテータはMSMの自助グループのメンバーが担った。

      ケニア共和国キリフィ郡で2013年11月から2014年2月にかけて、2時間の1回完結型のワークショップを全13回実施した。会場は、MSM自助グループの活動拠点である公立病院を使用した。スノ—ボールサンプリング法でリクルートし、合計170名が参加した。介入前後で実施した自記式の質問紙調査の結果(有効回答数139)、参加者の平均年齢は26.6歳(SD±6.69)、性自認は男性133名、女性6名で、性指向はゲイ33名、バイセクシャル90名、その他15名、未回答が1名だった。ワークショップの実施前後で、対象者の自尊心、安全な性行為への意思と知識の各平均点が、それぞれ0.83点(p=0.0123)、0.75点(p=0.0006)、0.33点(p=0.0024)上昇した。参加者の感想からは、単に研修内容が身になった、知識を得たというものばかりでなく、MSM向けに用意されたワークショップであることを理解し、「私たち」のコミュニティにとって利益のあるものと受け取った参加者も確認できた。

      今回の介入では、170名と多くのMSM参加者を得ることができ、参加者の自尊心・安全な性行為の意思・知識を高めることができた。本介入で多くの参加者を得るために行った工夫は、1)MSMにとって安心安全な環境づくりをすること、2)ピアファシリテータの協力を得ること、3)MSM同士で声を掛け合うスノーボールサンプリング法で参加者をリクルートすること、4)参加日程の選択肢を多く作ること、そして5)MSMの特徴的な性行動(肛門性交など)を踏まえた内容にすること、である。本介入で得られた知見が、他地域においても参加者獲得の一助になると考える。

[委員会報告]「移民の健康」委員会西日本地方会シンポジウム
第36回日本国際保健医療学会学術大会 英文抄録
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