目的
非感染性疾患(NCDs)は、低中所得国(LMICs)において 有病率が上昇しており、特に2型糖尿病は社会経済的にも負担が大きいことから、予防、早期発見・治療が求められる。LMICsでは、正規の医学系学位をもつ者に代わってコミュニティ・ヘルス・ワーカー(CHW)が2型糖尿病を予防・管理するケースが報告されているが、その内容については検討の余地がある。本研究では、リソースの限られた地域における2型糖尿予防・管理プログラムに関するCHWの有効的な起用・活用のための示唆を得ることを目的とし、LMICsにおいて2型糖尿病の予防・管理のためにCHWが行っているアプローチを類型化する。
方法
PubMedおよびWeb of Science のデータベースにて、2018年から2023年7月9日までの過去5年の英文原著論文を検索した。以下「diabetes」、「community health worker(s)」、「“国/地域名(LMICs全54ヵ国/地域)」全てをタイトルまたは要約に含む論文を抽出した。介入対象が地域住民でないもの、CHWの介入内容及び結果が未記述のもの、1型糖尿病や妊娠中の糖代謝異常について記述したもの、医療経済学の文脈、レビュー文献を除外した。
結果
抽出された71編から上記基準で選別した結果、11ヵ国、20編を対象文献とした。CHWによる2型糖尿病予防・管理のアプローチはリクルートメント、スクリーニング、リファラル(紹介)、フォローアップ、その他、に大別された。全てのカテゴリにおいて、アプローチ形式としては「訪問」が最多で、他にも公衆の場で呼びかけたり、既存のつながりを活用したりするなど、CHWが対象者のもとに直接出向くアプローチ形式がとられていた。
結論
LMICsのCHWは、地元コミュニティの知識と信頼関係を強みとして、地域住民の2型糖尿病の予防・管理へのアクセスを改善していた。CHWの多様なアプローチが特定され、特に一次・二次予防において重要な役割を担っていた。その役割は、医療従事者が不足しているLMICsの2型糖尿病の予防・管理に欠かせないものであり、正規の医療従事者の業務を分担・代行し、2型糖尿病予防・管理の質向上に貢献していた。
Objective
This literature review aimed to explore the factors associated with prolonged grief among bereaved individuals who had lost a close person during the COVID-19 pandemic.
Methods
Two databases were searched for relevant studies. Articles linked to the factors of prolonged grief disorder or complicated grief among individuals who had lost a close person during the COVID-19 pandemic were extracted. The factors analyzed and discussed in the retrieved studies were categorized based on their similarities.
Results
Nine articles were extracted from 163 articles identified in the searches. Prolonged grief was observed among bereaved individuals during the pandemic irrespective of whether the loss was caused by COVID-19. Bereaved individuals who were unable to bid farewell to the deceased after the death or could virtually bid farewell before the death, and those who lost a first-degree family member in a close relationship were more likely to develop prolonged or severe grief. Attendance of in-person rituals was not significantly related to the level of prolonged grief symptoms. Bereaved persons who wished to receive psychosocial support showed more symptoms of prolonged grief disorder.
Conclusion
For bereaved individuals who lost a close person during the pandemic, whether they bid farewell to the deceased in a way that allowed them to accept the loss may be related to the level of severe grief reactions, regardless of the cause of death. Healthcare workers should consider the potential risk of prolonged grief disorder among bereaved individuals in the aftermath of a public health emergency, and grief support should be offered to individuals in need.
目的
本研究では、ケニア人母親のヘルスリテラシーを検討するための予備的研究として、ヘルスリテラシーの側面を組み入れた子育てにかかわる認識を明らかにし、あわせてケニア人母親のヘルスリテラシーの特性を考察することを目的とした。
方法
ケニアで子育て経験のある日本在住のケニア人母親を対象に、ヘルスリテラシーの3つのレベルを組み入れた半構造化インタビューを行い、帰納的アプローチで分析した。本研究は日本赤十字看護大学の倫理審査と承認を受けて実施した。
結果
ケニア人母親の子育てに関わる認識としては、【強力な母親への子育てサポート】、【ケニアの習慣的な子育て実践を強く勧められる】、【子育て実践における母親の意思決定】、【家族やコミュニティ以外の情報源】、【伝統的な子育て実践に抱く違和感】、【子どもは健康で普通に成長して欲しい】、【10代の妊娠に対する両親の失望と受容】、【子育てにおける信念】という8つのパターンが示された。本研究の結果をNutbeamのヘルスリテラシーの3つのレベルで考察した。機能的ヘルスリテラシーとしては、研究参加者からは識字に関連する発言はなかったが、SNSの活用や医療従事関係者からの情報収集及び理解も可能であり、基本的な機能的ヘルスリテラシーが備わっていると考えられた。相互作用的ヘルスリテラシーでは、周囲の年長女性たちとのコミュニケーションやサポート獲得の能力が示され、批判的ヘルスリテラシーとしては、コミュニティでの知識の共有、伝統的実践に対する認識、情報の取捨選択による意思決定能力が提示されていると考えた。加えて、本研究で示された文化的信念や価値観が母親のヘルスリテラシーに影響を与えてた可能性も示唆されている。
結論
ケニア人母親の育児に関する認識から、ヘルスリテラシーを検討した結果、機能的、相互作用的、批判的ヘルスリテラシーの特性が示された。