社会言語科学
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13 巻, 2 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 三宅 和子
    原稿種別: 本文
    2011 年 13 巻 2 号 p. 1-3
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
  • 小川 俊輔
    原稿種別: 本文
    2011 年 13 巻 2 号 p. 4-19
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,日本におけるキリスト教用語の歴史を社会との関連で記述することである.1549(天文18)年,ザビエルXavierが来日し,日本キリスト教史は幕を開ける.当初,キリスト教は広く受け入れられたが,やがて禁教時代を迎え,信者は厳しい迫害を受け,信仰を守り続けたキリシタンは長期間にわたる地下信仰を余儀なくされた.近世末,開国とともに再び宣教師が来日するようになると,キリシタンは歴史的な復活を遂げ,教会に戻ることとなった.このような歴史的経緯を背景に,九州西北端の長崎・天草地方では幾度も布教用語(訳語)が変更され,その結果,特異な言語現象が行われるようになった.また政府のキリスト教禁教政策は,人々の間にキリスト教邪教観を醸成し,この邪教意識を背景に,いくつかのキリスト教用語がネガティブな意味を持つ語,差別語として使用されるようになった.戦後,この邪教観が薄れるにつれ,そのような言語使用は次第に行われなくなっていった.近年,日本人にキリスト教が身近なものとなるにつれ,商業主義によるキリスト教用語の積極的な利用や,芸術作品での利用,文化財としての記録・保存活動がみられるようになった.今後,この傾向はいっそう強まるものと考えられる.
  • 坊農 真弓
    原稿種別: 本文
    2011 年 13 巻 2 号 p. 20-31
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,手話を言語として社会に認知させようとする「言語中心的な手話研究から」,手話が日常場面でどのように用いられているかに焦点を当てた「コミュニケーション論的な手話研究」へのパラダイムシフトを試みるものである.本論文では,ろう者に対する言語教育や社会福祉的な問題は議論せず,手話会話とは一体どういったものであるかを明示する.また,ジェスチャー研究のジェスチャー単位の考え方と会話分析のトランスクリプションの考え方を融合させ,手話会話に含まれる視覚的な情報を書き起こす手法を紹介する.この手法を用いることにより,例えば従来観察することが難しかった手話の動きの生成と表情や口の動きの生成のタイミング分析や(ジェスチャー研究の視点),手話の動きの生成開始点を含んだ手話会話のオーバーラップ分析など(会話分析の視点)が可能になると予想される.本論文では,詳細な会話資料のトランスクリプションとアノテーションの方法を説明したのち,順番交替と発話の重複に関わる二つの事例分析を紹介し,手話会話に対するマルチモーダル分析の有用性について議論する.本研究の試みが徐々に世の中に広まることで,日本社会全体の手話に対する理解が深まり,手話を知る・ろう者を知る機会が増えることを期待している.
  • 金子 信子
    原稿種別: 本文
    2011 年 13 巻 2 号 p. 32-45
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    日本語の書き言葉は外国人住民,特に非漢字圏出身者には理解が難しいが,具体的な調査研究はまだ十分進められていない.実態を知るには,生活場面で本人がどう対処しているかを考慮したうえで,どのような場合に問題が顕在化するかをみる必要がある.本論では,外国人住民が生活で書き言葉を受容する際に生じる問題を質的にみるためにインタビュー調査を行った.調査対象者は,常用漢字を習得していない外国人住民22名と,外国人から書き言葉が関わる相談を受けたことのある人物20名(外国人相談所8ヶ所の相談員を含む),計42名である.調査対象となった外国人は日本語のテキストの理解が困難であるが,人(仲介者)に聞く,漢字仮名交じり表記以外の視覚的情報を利用するなどのストラテジー(調整方法)を生活経験を通して身につけ,対処していた.そして,それが適切に行われていれば,テキストの受容問題は表面化していなかった.しかし,仲介者や文字以外の情報が利用できないという状況では問題が顕在化していた.問題の出現を個人による言語管理プロセスの観点から分析すると,理解すべき対象に気づかない,理解する必要性があっても調整を計画しない,調整を計画しても実施できない,調整しても有効ではない,という各段階に分類された.そして,問題の要因には,テキストが使用される社会的文脈の理解,文字以外の視覚的情報や仲介者の利用可能性,場の参加者や仲介者との関係性,説明可能な分量などが関わっていた.
  • 名塩 征史, 水島 梨紗
    原稿種別: 本文
    2011 年 13 巻 2 号 p. 46-58
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    語用論の中核を成す伝統的理論としての発話行為理論は,言語が何かを陳述するだけでなく,「行為としての効力」を持つものであるとする(Austin, 1962).当該の理論に対しては,後世の研究により様々な批評が加えられてきたが,中でもしきりに議論の的とされてきたのは,語用論における旧套の理論が発語行為動詞のような言語形式と語用論的意味や効力との関連づけに深く傾倒し,相互行為の流れを含む社会的なコンテクストから切り離した形で発話を捉えてきたことの問題点である.本論の着目するMey (2001)は,旧来の理論が実際の言語使用の場から離れ,ほどよく純粋化されたレベルで論じられていることに疑問を呈し,状況的コンテクストから自立した参与者が効力を持った言葉を受け渡すという着想そのものを批判した.そして,個々人の発話はすべてその場のコンテクストに状況づけられたものであることから,「発話行為は,それがその一部であるような活動を取り巻く状況全体の中で」考えられるべきであると主張した(小山訳p.147).本稿は,そのような視野の拡張を行ったMey (2001)の立場を基本的に支持しながらも,「社会」と「参与者」との関係性をめぐる議論に関しては再考・補足の余地を見出し,構成論的アプローチに基づく相互行為分析的視点からの検証を試みる.
  • 吉田 理加
    原稿種別: 本文
    2011 年 13 巻 2 号 p. 59-71
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,現代言語人類学の枠組みに依拠し,スペイン語通訳を介した裁判員裁判のやりとりを傍聴席から筆記したデータを次の観点から考察する.まず,1)証言の信用性を判断する鍵を握る「一貫性」などの要素は客観的で絶対的なものではなく,談話実践においてメタ語用過程を通して構築される「文化的な」ものであること,2)法廷規範的意識(法廷語用イデオロギー)では法廷談話に影響を与えるべきではない存在とみなされている通訳人も,実際には詩的談話構造の構築過程に参与する存在であること,すなわち,訳出された証言の「一貫性」,あるいは「非一貫性」の構築に深く関与していること,3)法廷談話実践は,言語使用者の意識に比較的のぼりやすい「言われたこと」(言及指示テクスト)と意識にのぼりにくく前提的に指標される「常識」などの文化的ステレオタイプ(Putnam, 1975)や語用・文化イデオロギーなどを介したメタ語用作用によって織り成されるテクストであることを示す.以上により,「市民感覚」が導入された裁判員裁判は,日本的な「常識」に強く依拠した制度的談話の場となり,外国語話者の被告人にとって談話的「異文化」の差異が訳出されることなく拡大している場となっている点を指摘し,法廷通訳人の役割を多層的な談話実践から再考する必要性を示唆する.
  • 中東 靖恵
    原稿種別: 本文
    2011 年 13 巻 2 号 p. 72-87
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    日本国内では,戦後,全国共通語化をはじめとする言語変化が顕著となったが,日本から遠く離れた海外日系移民社会ではどのように日本語が継承され変容しているのか.本研究は,かつて筆者が行った広島市および山陽地方におけるアクセントの世代的地理的動態に関する一連の調査研究に基づき,パラグアイの日系社会に暮らす広島県人家族を対象に調査を行い,日本語のアクセントの継承と変容の実態と,それに関わる諸要因を明らかにするものである.本稿では,2拍名詞,3拍名詞,4拍名詞,外来語,3拍形容詞を取り上げ,アクセントの世代的動態を中心に考察を行った.調査の結果,移民1世の持つ広島方言の伝統的アクセントは,2世・3世にもよく継承されている一方で,変容も認められた.特に世代的変動が顕著である語の多くが,広島方言で見られる共通語化と同じアクセント変動であり,パラグアイ日系社会の日本語に,日本の日本語と同様な言語変化が認められることは特筆すべき事実である.1980年代以降に始まる日系移住地のインフラ整備や日本との人的交流の活発化,日本語教育環境の充実,メディアを通じての日本の日本語との日常的接触は,移住地における日本語の維持・継承と新しいアクセントの獲得に寄与したものと考えられるが,一方で,アクセントの曖昧化・アクセント型の消失傾向も認められ,この傾向は,今後,スペイン語への言語シフトとともに,進行していくと思われる.
  • 李 善雅
    原稿種別: 本文
    2011 年 13 巻 2 号 p. 88-96
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,日本語と韓国語の同時バイリンガル幼児の言語習得過程を紹介し,二言語の混合と干渉について考察する.まず,観察対象となる幼児S児の二言語同時習得過程を言語環境と優勢な言語との関係に重点を置き,第1期から第7期に分けて紹介する.それから,二つの言語の混合と干渉について,その出現時期の優勢言語と関連付けて考察する.
  • 森 篤嗣
    原稿種別: 本文
    2011 年 13 巻 2 号 p. 97-106
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    本稿は,「生活のための日本語:全国調査」において収集した1,662の回答から,職種別に見た滞日年数と言語能力の相関についての調査報告である.言語能力に関しては,「読むこと」「書くこと」「聞くこと」「話すこと」の4技能別に6段階で回答した「日本語能力自己評価」と,105の言語行動に関する質問について「日本語でできる」と回答した項目を個人別に集計した「言語行動可能項目数」の二つを指標とした.その結果,滞日年数と日本語能力自己評価の相関から,「聞くこと」「話すこと」は全体に相関が高めであるが,「読むこと」「書くこと」については,「製造業,建設業」「農林水産業」「サービス業」や「主婦」の相関が低いことから,自然習得が困難であることが示唆された.また,滞日年数と言語行動可能項目数の相関については,「主婦」の値が高めで,就労者の中でも「専門職」の値が低めであった.これは言語能力というより,むしろ当該の言語行動をおこなう機会の多寡による影響が大きいと思われる.
  • 勝谷 紀子, 岡 隆, 坂本 真士, 朝川 明男, 山本 真菜
    原稿種別: 本文
    2011 年 13 巻 2 号 p. 107-115
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,日本の大学生が「うつ」に対してどのような素朴な概念(しろうと理論)をもっているかについて,自由記述データに対するテキストマイニングおよびKJ法で検討した.首都圏の313名の大学生が調査に回答した.「うつ」という主語を用いて,文章完成法による自由記述を求めた.305名分の自由記述の内容について3名の評定者によるKJ法を用いた内容整理,および形態素レベルに分割してテキストマイニングを用いた内容分析をおこなった.その結果,うつの一般的な特徴,うつの人々へのイメージ,うつの特徴,うつの原因,うつの治療法についての記述がみられた.うつのしろうと理論を検討することの理論的示唆について考察した.
  • 糟屋 美千子
    原稿種別: 本文
    2011 年 13 巻 2 号 p. 116-127
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    本稿は,クリティカル・ディスコース・アナリシス(CDA)を用いて言語・コミュニケーションの教育を行う意義を,環境に配慮した社会を構築するためのコミュニケーションである「環境コミュニケーション」の授業活動での実践例をもとに考察する.言語・コミュニケーション教育にCDAを導入する目的は,学生がディスコースのメッセージを表面的な印象だけで受け取るのではなく,情報や語句の選択,文の構造,文と文とのつながりなどの言語的要素を批判的視点から分析することで,ディスコースがどのような考え方の枠組みや価値観を構築しているかを根拠に基づいて解明できるように支援することである.実際に,二つの題材を取り上げ活動を行ったところ,学生は表面的な読み方では気づかなかった様々な考え方がディスコースに内在していることに気づき,改めてそうした考え方の枠組みを検討することができた.さらに,自分たち自身が物事の解釈の前提としてそうした考え方を通常問い直すことなく使っていることに気づき,そのことを検討する契機となった.CDAの手法を取り入れたコミュニケーション教育を行うことにより,学生は批判的視点を身につけ,今後遭遇するであろう様々なディスコースを分析し,そこに内在する考え方を検討し,その考え方の根拠や意義を明確に意識した上で行動していこうとする姿勢をもつようになることが期待される.
  • 岡本 能里子, 佐藤 彰, 設樂 馨, 白井 宏美, 門倉 正美
    原稿種別: 本文
    2011 年 13 巻 2 号 p. 128-132
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
  • 松尾 慎, ハインリッヒ パトリック, 岡 典栄, 下地 理則, オストハイダ テーヤ, 浜田 麻里, 岩田 一成, 布尾 勝一郎
    原稿種別: 本文
    2011 年 13 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
  • 沖 裕子, 姜 錫祐, 趙 華敏, 西尾 純二
    原稿種別: 本文
    2011 年 13 巻 2 号 p. 138-143
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
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