社会言語科学
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17 巻, 1 号
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  • 松本 和子, 高田 三枝子, 松丸 真大
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 1-3
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
  • 生越 直樹
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 4-19
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    本稿は,在日コリアンの言語使用について,話者の属性と使用言語の関係,および属性相互の関係を探ろうとするものである.従来の研究で,在日コリアンだけでなく,他の在日外国人においても,話者の持つ様々な属性が日常の言語使用に影響を与えていることが明らかになっている.しかし,属性相互がどのように関係しているか,場面や相手などによって影響する属性は異なるのか,など詳しい分析はなされていない.本稿では,韓国学校A学校で行ったアンケート調査の結果をもとに,生徒の持つ属性と使用言語の関係を分析してみた.その結果,使用言語に影響する属性として,本人の出生地,親の出生地,来日時期,入学時期,滞日期間があり,それらの属性は本人の出生地を上位として,階層的な関係にあることが明らかになった.さらに,その結果を別の韓国学校B学院での調査と比較したところ,同じ傾向が見られた.ただし,学校というドメインが関係する場面・相手では,本人の出生地より学校の中心言語のほうが生徒の使用言語に大きな影響を与えることがわかった.
  • マーハ ジョン C.
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 20-35
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    存続の危機にある言語を復興させることは,世界的な課題である.この分野で影響力の強いジョシュア・フィッシュマンの理論「Reversing language shift(言語シフトを逆行させるプロセス)」(1991)は,さまざまな問題について「診断」し,同様の状況に置かれている言語の共通点について検討し,解決法を共有しようとする試みである.単独では消滅の危機に瀕した言語であっても,互いを支援しあえることから,(a)現状の把握,(b)共通の問題に取り組むという観点に立った比較研究は有用であると考えられる.本稿では,日本における先住民族の言語であるアイヌ語の近年の動向を,ケルト語派諸言語の動向と比較する.アイヌ語は,母語話者は少ないが話者に関する優れた記録が残っている.危機言語を存続させる方法には,民族の象徴・継承言語として,あるいは観光・ビジネス商品としてといった従来からの在り方に加え,近年ではインターネット上の社会的ネットワークを通じた,音楽(フォーク,ロック,ジャズ,電子),アート,ダンス,映画,ラジオ,言語教室,有能な教師や教材などの広まりといった新しい傾向がみられる.先住民の言語とは,今やクールな存在であり,アイヌに関する諸団体の政治的なアクションを支えるものでもある.フランスや日本では,中央集権的な学校教育制度や地方の自立性の弱さによって,ブルトン語やアイヌ語が消滅の危機に追いやられてきた.これらの国では,ethnolinguistic(民族言語学的)な多様性が未だに歓迎されず,少数言語・危機言語を支える政策も不足したままである.一方,スコットランド,ウェールズ,コーンウォールなど,自治の動きが活発な英国では,スコットランドゲール語,ウェールズ語,コーンウォール語の復興に向けた動きが活気づけられている.
  • 中東 靖恵
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 36-48
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    近年急速に進むグローバル化と国境を超える人々の頻繁な移動により,日本の多言語状況は拡大しつつある.オールドカマーに加え,ニューカマーと呼ばれる南米やアジア諸国からの外国人の増加は1990年代以後顕著となり,多様な言語・文化背景を持った定住外国人の増加は,コミュニケーション問題をはじめ地域社会に様々な課題を生み出した.本稿では,岡山県総社市に集住する南米系ニューカマーであるブラジル人住民を対象に言語生活実態調査を行った結果に基づき,地域で暮らすブラジル人住民の言語生活の実態と日本語学習を行う上での諸問題,その背後にある様々な要因を明らかにした.日常生活におけるブラジル人住民の日本語使用は極めて限定的であり,ブラジル人社会の中でポルトガル語を中心とした言語生活を送り,地域の日本人住民との関係性が希薄であること,話し言葉能力は日常会話程度,書き言葉能力はひらがな・カタカナ程度であること,日本語学習意欲は高く日本語学習の必要性も強く感じながらも,目本語学習を継続して行えない社会生活環境にあることが明らかとなった.ブラジル人住民が抱える問題の解決には日本語能力の向上が重要であるだけでなく,地域の日本人住民との交流と相互理解が不可欠である.地域における日本語学習支援のあり方を考える時,日本語教室を単なる日本語学習の場としてではなく,地域住民同士の交流の場として機能させる必要がある.
  • 尹 テレサ
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 49-60
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    本稿では,第二言語から第一言語への転移という,一般の言語転移とは逆方向に起きる転移,すなわち逆転移について報告する.調査では,日本語の学習歴と日本での滞在歴があるグループ(KJ)と,日本語の学習歴も日本での滞在歴もないグループ(KK)を対象に,日本語の「てもらう」に相当する韓国語の「〓/〓 〓〓〔a/eo batda〕」に対する許容度を調べた.その結果,韓国語として不自然な表現である「〓/〓 〓〓〔a/eo batda〕」に対し,KJの許容度がKKより有意に高く,日本語の学習歴及び日本での滞在歴が彼らの第一言語である韓国語に何らかの影響を与えていることが示された.そして,こうした逆転移とも言える現象が起こった理由として「パラダイムの合理化」を主張した.なお,個々の動詞の許容度の違いからは,「〓/〓 〓〓〔a/eo batda〕」の許容度には,第一言語に元から存在する複合動詞としての解釈可能性が関わっている可能性も指摘した.
  • 山下 里香
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 61-76
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    継承語は移民コミュニティの民族アイデンティティの要のひとつ,またコミュニティの団結の資源とされることが多い.特に,第二世代以降には,コミュニティ内でのフォーマルな場面や,上の世代との会話に使われると言われる(生越,1982, 1983, 2005; Li, 1994).また,語用論的には,言語選択や言語の切り替えは,コンテクスト化の手がかり(contextualization cues)という,談話の機能を持つとも言われる(Gumperz, 1982).日本語と継承語が流ちょうに話せる子どもたちは,移民コミュニティにおいて実際にどのように複数の言語を使用しているのだろうか.本研究では,コミュニティでの参与観察をふまえて,在日パキスタン人バイリンガル児童のモスクコミュニティの教室での自然談話を質的に分析した.児童らの発話の多くは標準日本語のものであったが,ウルドゥー語や英語の単語,上の世代が使用する日本語の第二言語変種(接触変種)に言語を切り替えることがあることがわかった.児童らは,こうした日本語以外の言語・変種を,上の世代の言語運用能力に合わせて使用していたのではなく,談話の調整や,時には上の世代に理解されることを前提としない意味を加えることで自分たちの世代と上の世代との差異を確認し強めながら,世代間の会話の資源として利用していることがわかった.
  • 谷口 ジョイ
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 77-84
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    本稿では,海外生活により第二言語(英語)を習得した6名の児童(3組の兄弟姉妹)を対象とし,帰国後のリテラシー能力の保持状況を調査した.先行研究によりこうした児童の第二言語能力は急速に失われることが明らかになっており,渡航時の年齢要因や海外在住期間といった個人的要因が議論の対象となってきた.一方で,子どもたちを取り巻く社会的要因については精査されることがなかった.本研究では子どもたちの第二言語による物語構成能力の保持及び伸長は,彼らが日常的に行うリテラシー活動や,第二言語を用いた友好関係の維持,及びそれを支援する家庭環境と密接に結びついていることが示唆された.
  • 打浪(古賀) 文子
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 85-97
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    情報化社会が発展するにつれ,障害者の情報アクセスをいかに保障するかが課題となりつつある.特に知的障害者は直接アクセスできる情報源がほとんどないため,情報格差の最下層に取り残されている.本稿では,これまで国内にごくわずかしか研究蓄積のない知的障害者への「わかりやすい」情報提供について,学術的課題の検討を行った.また,国内での「わかりやすい」情報提供の先駆的な実践である,知的障害者向けの定期刊行物「みんながわかる新聞『ステージ』」の編集担当職員への聞き取りによる実態調査,及び「ステージ」編集会議の録音調査から,知的障害者への「わかりやすい」情報提供の普及のための実践的課題の考察を行った.学術的課題の整理から,先行研究における当事者的視点の不足が指摘された.また「ステージ」編集担当職員への聞き取り調査から,「ステージ」の詳細及び意義と課題が明らかとなった.さらに「ステージ」編集会議への録音調査から,「わかりやすさ」「わかりにくさ」に関する当事者視点からの示唆が得られた.今後,当事者視点からの検証に基づいた研究蓄積を一層増やしていく必要がある.また,「ステージ」のような試みが既存の領域や障害枠を超えて共有されるような展開を検討すること,他分野との連携を模索することが課題である.
  • 張 承姫
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 98-113
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    日常会話の中でほめが行われるとき,ほめが向けられた側(以下,聞き手とする)はほめに同意することによる自画自賛を回避するため,様々な方法を用いて応答する.本稿で着目するのは,聞き手が自画自賛を回避するため,話し手によってなされたポジティブな評価の焦点を対象の別の側面にずらして応答するというやり方である(以下,焦点ずらしの応答とする).本稿の目的は,この聞き手の焦点ずらしの応答がどのように行われるのか,さらに,ほめが向けられる評価対象のタイプによって,この聞き手の焦点のずらし方がどのように異なっていくのかを,会話分析の手法を用いて記述・分析することである.従来の研究では,相手に対するポジティブな評価はすべて同じほめという前提のもとでほめの応答の分析がなされてきた.本稿は,ほめを行う発話の詳細な分析に基づき,評価対象のタイプを「聞き手自身」と「聞き手が属する場所」とに区別した.そして,聞き手の「不同意」や「部分的な同意」といった応答が,直前のほめの発話の評価対象のタイプと密接にかかわっていることを明らかにした.
  • 京野 千穂
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 114-127
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    対話における文末のノダ文及び非ノダ文に対し,母語話者印象評定を実施し量的分析を行った.ノダ文の複数の用法の中から,類似しない「やわらげ」,「強調」及び「説明」を取り上げ,それらに共通した母語話者の印象を検証した.その結果,ノダ文に共通していたのは,間き手との距離の近さ,親しみ,熱心さ及び感情を重視した伝達態度であった,一方,非ノダ文は,正確さを重視し,礼儀正しい印象を与えるが,親しみがなく,冷静で距離感があることが一貫していた.更に,日本語の非ノダ文は,聞き手と距離を保ち情報の正確さを優先する伝達態度が非常に強いことが明らかになった.非ノダ文の強い独話的特徴により,対話ではノダ文が選択される傾向があることを論じた.一方,ノダ文が認識強要を迫る場面では,非ノダ文に強い好感を持つことが明らかになった.非ノダ文は聞き手との距離感を示すが,聞き手の私的領域の侵害を回避するものでもあることを論じた.
  • 榎本 剛士
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 128-130
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
  • 松木 啓子
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 131-133
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
  • 平本 毅, 城 綾実, 戸江 哲理, 増田 将伸, 横森 大輔, 西阪 仰
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 134-141
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
  • 庵 功雄, あべ やすし, 岩田 一成, 田中 英輝, 田中 牧郎, オストハイダ テーヤ, 松尾 慎
    原稿種別: 本文
    2014 年 17 巻 1 号 p. 142-148
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
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