社会言語科学

文化の時代と言語・コミュニケーション研究

井出祥子

原稿種別: 本文
2001 年 3 巻 2 号 p. 1-3
発行日: 2001/03/30
公開日: 2017/04/27

DOIhttps://doi.org/10.19024/jajls.3.2_1

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名古屋方言の使用が話し手の印象に及ぼす影響 : Matched-guise techniqueを用いて

岡本真一郎

原稿種別: 本文
2001 年 3 巻 2 号 p. 4-16
発行日: 2001/03/30
公開日: 2017/04/27

DOIhttps://doi.org/10.19024/jajls.3.2_4

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本研究ではmatched-guise techniqueを用いて,名古屋方言の使用が話し手の評価に及ぼす影響を検討した.実験1では男性話し手については,共通語のはうが方言よりも知的で積極的であり,話し方や外見も優れているとされたが,社交性の評価は方言条件のほうが上回っていた.女性話し手は共通語のほうが方言よりも大半の側面に関して望ましい評価を得た.実験2では話し手(男性)の出身地を愛知県内であると明示した上で,使用言語を共通語,方言に操作した.活動性や見かけでは方言条件のほうが共通語条件より,また話し方や知性に関しては共通語条件のほうが方言条件より望ましく評価された.

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接続助詞ケドによる言いさし表現の談話展開機能

永田良太

原稿種別: 本文
2001 年 3 巻 2 号 p. 17-26
発行日: 2001/03/30
公開日: 2017/04/27

DOIhttps://doi.org/10.19024/jajls.3.2_17

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接続助詞は本来,節と節とをつなぎその関係を表すという機能を持つが,談話場面においては,そのような機能を持つはずの接続助詞が後節を伴わない形で用いられることも多い.本稿においてはそのような接続助詞による言いさし表現のうち「ケド」で終止するものについて,それを「談話」という単位の中でとらえることによって,この表現形式が従来指摘されてきた「やわらげ」などといった表現効果に関わる機能の他に談話展開に関する機能を持つという,言いさしという表現形式について,これまでの研究では言及されることのなかった新しい側面を示した.本稿で明らかにしたのは次の2点である.まず1点目はケドによる言いさしはトピックの展開に関して,提示された発話内容がその後のトピックとなることを明示する機能を持つということである.そして2点目はturn-takingに関して,ケドによる言いさしは従来指摘されるようにturnを譲渡するだけでなく,その後の談話の進め方を完全に相手に委ねてしまうことを示す機能を持つということである.

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日本のあいさつ表現とあいさつ行動の地理言語学的研究

江端義夫

原稿種別: 本文
2001 年 3 巻 2 号 p. 27-38
発行日: 2001/03/30
公開日: 2017/04/27

DOIhttps://doi.org/10.19024/jajls.3.2_27

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本研究は,多様な地方差が見られる日本のあいさつ表現とあいさつ行動を地理言語学的に研究したものである.あいさつの調査票は日常のあいさつ表現について11分野,88項目で構成されている.実地調査は1994年から2000年にかけて,日本の全県で行い,併せて,通信調査を1997年から2000年にかけて,全国約500余地点で実施した.本稿には,二種のサンプル地図がある.一つは,「朝起きた時に家族にどんなあいさつをするか」であり,他の一つは「朝家族を玄関で見送る時のあいさつ行動はどのようであるか」である.研究の結果,次のことが明らかになった.(1)朝起きた時家族に「オハヨーゴザイマス」とあいさつをするのは都市の家族であり,これは地方では聞かれない.都市においてこの表現が頻用されるのは,個室に分割された居住環境に基づく.地方の古い家では,障子や唐紙によって各部屋を仕切っただけの居住環境であり,朝起きた時に他人行儀なあいさつ表現を行わない.しかし,1960年以降の高度経済成長に伴い,この傾向は変化しつつある.ただし,(2)「朝家族を見送る時のあいさつ行動」の地図が明示するように,都市には「イッテラッシャイ=イッテキマス」という行為(建て前)が見える.地方では「無言」(本音)があり,対立は厳然としている.あいさつ表現の言語地図を解釈するためには,社会生活の変化に対応した人間生活の変化とその意識を考慮しながら行う,ダイナミックな見方や感性が必要である.

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大学院のゼミ談話で見られる日本語母語話者の「対話」と「共話」の使い分け

嶺川由季

原稿種別: 本文
2001 年 3 巻 2 号 p. 39-51
発行日: 2001/03/30
公開日: 2017/04/27

DOIhttps://doi.org/10.19024/jajls.3.2_39

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本研究の目的は,留学生の日本語使用の必要性が高いゼミにおいて,日本語母語話者が相手(聞き手)とどのようなインターアクションをとっているのかを明らかにすることにある.日本語母語話者の強い特徴であるとされる「共話」(相手と共同して発話を作り上げようとするインターアクションの方法)と,それに相対する概念である「対話」(話し手が一人で発話を作り上げようとする方法)という視点から,実際のゼミ談話における日本語母語話者のインターアクションのやり方を分析した.分析の結果,日本語母語話者の強い共話傾向は,ゼミ談話でも見られた.しかし,これまで言われていたように共話一辺倒ではなく,対話の使用も全員に見られた.どのような場合に対話になるのかを考察したところ,「共通理解を前提とせず」「見解に関わる話題」で,「その見解が話し手自身のものであり」,さらに「その見解が話し手自身のものであることを主張している」場合にのみ対話になることが分かった.

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愛媛県東宇和郡西部におけるアクセントの世代差について

清水誠治

原稿種別: 本文
2001 年 3 巻 2 号 p. 52-62
発行日: 2001/03/30
公開日: 2017/04/27

DOIhttps://doi.org/10.19024/jajls.3.2_52

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愛媛県東宇和郡西部地域におけるアクセントの実態を,高年層,壮年層,若年層という三つの世代差に着目して見て行く.まず,この地域には,高年層に,a.伝統的な方言アクセントと,b.その方言アクセントの区別が実現型の上だけに現われて型意識の上には現われない(型の対立が知覚されない)もの,そして,C.無アクセントの3タイプが見られる.次に,各世代間を比較すると,高年層と壮年層の間では,無アクセント化の度合いが,一方,壮年層と若年層の間では,共通語アクセント化の度合いが,それぞれ変化の指標になることがわかる.そして,その変化の進度には,上の世代の体系からの影響があり,壮年層での無アクセント化は,高年層で対立の要素の少ない部分(品詞・拍数)から進み,若年層での共通語アクセント化は,壮年層で対立のない部分で進みにくいという傾向がある.また,若年層では,共通語化が,実現型の上には見られるが,型意識の上には現われていないことがある.このことと,高年層の実態を合わせて見ると,型の意識と実現型との間に,型の対立の消失の変化においては型意識が実現型に先行してなくなり,一方,型の獲得の変化においては型意識より実現型が先行して獲得されるという傾向があると考えられる.

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中国の社会言語学とその関連領域

彭国躍

原稿種別: 本文
2001 年 3 巻 2 号 p. 63-76
発行日: 2001/03/30
公開日: 2017/04/27

DOIhttps://doi.org/10.19024/jajls.3.2_63

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本稿は主に二つの側面から中国社会言語学の研究状況を展望する.一つは80年代以降現れたことばと社会に関する三つの研究分野:社会言語学,文化言語学,民族言語学について概説し,その領域形成の歴史回顧と著書の解題をおこなう.もう一つは次の4つの部分に分けて社会言語学に関する具体的な研究テーマについて概述する.(1)言語併用と言語接触,(2)言語変異と言語意識,(3)言語規範と言語政策,(4)命名論と敬語論.最後に中国の社会言語学に見られる次のような特徴を指摘する.(1)少数民族言語や言語併用問題の研究に著しい成果が現れている,(2)歴史的,文化論的な視点による考察が目立つ,(3)数量化による実証研究より記述的研究が多い,(4)消滅の危機に瀕する言語への対応が今後急がれるべき課題として残っている.

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社会言語学と国語位相論の連携をめざして, 田中章夫(著), 1999, 日本語の位相と位相差, 明治書院

渋谷勝己

原稿種別: 本文
2001 年 3 巻 2 号 p. 77-83
発行日: 2001/03/30
公開日: 2017/04/27

DOIhttps://doi.org/10.19024/jajls.3.2_77

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コミュニケーション科学への「最初の一歩」, 深田博巳(編著), 1999, コミュニケーション心理学-心理学的コミュニケーション論への招待

橋元良明

原稿種別: 本文
2001 年 3 巻 2 号 p. 84-86
発行日: 2001/03/30
公開日: 2017/04/27

DOIhttps://doi.org/10.19024/jajls.3.2_84

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実験社会心理学への誘い, 岡本真一郎(著), 2001, ことばの社会心理学第二版, ナカニシヤ出版

日比谷潤子

原稿種別: 本文
2001 年 3 巻 2 号 p. 87-89
発行日: 2001/03/30
公開日: 2017/04/27

DOIhttps://doi.org/10.19024/jajls.3.2_87

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第5回研究大会シンポジウム : 発達する子どもの心と会話

西澤弘行

原稿種別: 本文
2001 年 3 巻 2 号 p. 90-95
発行日: 2001/03/30
公開日: 2017/04/27

DOIhttps://doi.org/10.19024/jajls.3.2_90

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第6回研究大会シンポジウム : 滞日ニューカマーの言語習得と日本語学習

西原鈴子

原稿種別: 本文
2001 年 3 巻 2 号 p. 96-98
発行日: 2001/03/30
公開日: 2017/04/27

DOIhttps://doi.org/10.19024/jajls.3.2_96

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第6回研究大会ワークショップ : 社会・文化的認知と談話分析の新たな視界

片岡邦好

原稿種別: 本文
2001 年 3 巻 2 号 p. 99-101
発行日: 2001/03/30
公開日: 2017/04/27

DOIhttps://doi.org/10.19024/jajls.3.2_99

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第6回研究大会ワークショップ : コーパスにもとづく言語科学 : 現状と将来

伝康晴

原稿種別: 本文
2001 年 3 巻 2 号 p. 102-104
発行日: 2001/03/30
公開日: 2017/04/27

DOIhttps://doi.org/10.19024/jajls.3.2_102

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社会言語科学会夏のワークショップ2000開催記録

原稿種別: 付録等
2001 年 3 巻 2 号 p. 105-
発行日: 2001/03/30
公開日: 2017/04/27

DOIhttps://doi.org/10.19024/jajls.3.2_105

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