日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本地質学会第118年学術大会・日本鉱物科学会2011年年会合同学術大会
選択された号の論文の265件中251~265を表示しています
R4:地球表層・環境・生命
  • 藤高 志帆, 小林 祥一, 猶原 順
    セッションID: R4-P06
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    近年地球誕生初期の環境が解明されつつある。そこで、地球初期環境下で地表付近に広く分布する玄武岩質岩の風化変質実験をとおして、地球環境に与えた影響について検討した。当時玄武岩質の岩石は、海洋底はじめ地球表層部に分布していたと考えられており、この風化変質は海洋、大気あるいは地表の化学組成の変遷に関わり合ってきたと考えられる。当時、大気中には大量の二酸化炭素が、また雨水、海水中には硫酸、塩酸など酸性物質が溶解していたと考えられている。そこで、玄武岩を対象とし、pH4の塩酸、硫酸、硝酸および二酸化炭素飽和水および蒸留水を用いた人工風化実験を行い、玄武岩類の風化変質過程を溶脱元素の種類および量比、玄武岩岩石片表面の形態的変化および化学組成から検討した。今回は実験開始後1年目までの結果を報告する。
R5:地球外物質
  • 海田 博司, Goderis Steven, Debaille Vinciane, 小島 秀康, Claeys Philippe
    セッションID: R5-01
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    2011年にベルギー-日本共同南極探査隊によって,南極大陸上のセール・ロンダーネ山地周辺のナンセン氷原において隕石探査がおこなわれた。この結果,エコンドライト2個を含む218個の隕石を採集することに成功した。これらの隕石は「あすか10隕石」と命名される予定である。
  • 高山 亜紀子, 留岡 和重
    セッションID: R5-02
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    最近,複数の炭素質コンドライト中に,コンドリュール/リム単位のクラストが一般的に存在することが報告されている(e.g. Tomeoka & Ohnishi, 2010)。クラストは母岩と異なる変成履歴を持ち,母天体の形成履歴に関する新たな情報を我々に与えてくれる。Tagish Lake隕石は主に二種類の岩相からなると考えられている(Zolensky et al., 2002)が,炭酸塩に乏しい岩相では角礫岩化の痕跡が一切みられないという報告(Greshake et al., 2005)がある一方で,炭酸塩に富む岩相ではコンドリュール/リム単位のクラストが一般的に存在する(Nakamura et al., 2003)という報告がある。我々は,炭酸塩に乏しい岩相の組織、鉱物・化学組成について詳細に調べた結果,この岩相で活発な角礫岩化作用が起こっていたことを示す証拠を見出した。
  • 松本 恵, 留岡 和重, 瀬戸 雄介, 杉田 光弘
    セッションID: R5-03
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    特異な炭素質コンドライトとされるNingqiang隕石中のCAIは、これまでの研究から、大規模なNa交代変成を受けており、多量のネフェリンを含んでいることがわかっている。今回我々は、Ningqiang隕石のNa交代変成過程を明らかにするため、コンドリュールとマトリックスについても詳細な観察、分析を行った。その結果、多くのコンドリュールがネフェリンを含んでおり、それらのネフェリンはメソスタシス中の斜長石を交代して形成していることがわかった。また、マトリックスにもほぼ全体に渡って、微小なオリビン包有物を含むネフェリン粒子がほぼ均質に分布していることがわかった。このように隕石全岩に渡ってネフェリンが分布していることから、CAI、コンドリュール、マトリックス中のネフェリンは、いずれも隕石母天体中での大規模なNa交代変成によって形成されたと考えられる。
  • 今栄 直也, Taylor Susan, 岩田 尚能
    セッションID: R5-04
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    大気圏溶融を免れたとけ残り鉱物として鉄に富むかんらん石と低Ca輝石を含む26個の微隕石を鉱物学的・岩石学的に調べた。イトカワや81P/Wild2からの試料は鉄成分に富む珪酸塩に富むので、本研究はこの相の形成過程に重要である。微隕石試料はとっつき岬とアムンゼン・スコット基地造水槽から採集されたのを用いた。主な結果は、次の通りである。(1) 12個の微隕石は鉄に富むかんらん石のコアにMgに富むリムが成長した逆累帯構造を示す。(2) 7個の微隕石は、鉄にかんらん石が低Ca輝石(1個はMgに富み、6個は鉄に富む)と共存する。(3) 4個は鉄サルファイドを含む。(4) 1個は高Ca輝石を含む。(5) 1個はクロム鉄鉱を含む。化学組成を調べた結果、次のことがわかった。4個は高Mn型で、3個は非平衡Hコンドライトと一致し、1個は衝撃溶融Hコンドライトである。高Mn型は彗星塵候補である。
  • 瀬戸 雄介, 関川 知里, 三宅 亮, 留岡 和重
    セッションID: R5-05
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    本研究では透過型電子顕微鏡および放射光X線回折といった極微観察解析技術を用いて、Efremovka隕石のマトリックスと溶融脈の鉱物学的同定を行った。SEM観察の結果、溶融脈は隕石全体にわたって存在し、特にコンドリュール縁部に集中していることが分かった。溶融脈部は球状の不透明鉱物と微小なカンラン石からなる。SR-XRDおよびTEM-EDX実験の結果、溶融脈中のオリビンはマトリックス中のものと比べてMgに富んでいることが分かった。TEM観察の結果、マトリックスは緻密で空隙が少なく、カンラン石は半自形で高い転位密度を示すのに対し、溶融脈中のカンラン石は自形結晶で転位密度は比較的低い。今回の観察結果は、衝撃に伴う加熱溶融によって化学組成やサイズが分化する過程を示している。このような物質進化過程は太陽系初期において一般的に起こっていたと考えられる。
  • 宮原 正明, 大谷 栄治, 小澤 信, 木村 眞, El Goresy Ahmed, 境 毅, 長瀬 敏郎, 平賀 賢二, 平尾 直久, 大 ...
    セッションID: R5-06
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    火星上での衝突イベントで引き起こされた高温・高圧状態でのオリビンの分解メカニズムを明らかにするために,火星隕石中のオリビンを調べた.TEM観察の結果,同じ圧力条件では,高温部ではオリビンが粒状,低温部ではラメラ状のシリケイトペロブスカイトとマグネシオブスタイトに分解していた.これは,高温・高圧合成実験から回収された試料の観察結果とも一致する.
  • 鹿山 雅裕, 西戸 裕嗣, 関根 利守, 蜷川 清隆
    セッションID: R5-07
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    カソードルミネッセン(CL)分析は構造欠陥を検出することから、高圧鉱物の新たな同定法として期待されている。本研究では合成・天然の高圧鉱物のカソードルミネッセンス分析から発光メカニズムの解明を試みる。 CLスペクトルにおいてcoesiteの合成試料は300と380 nm付近に、stishoviteの合成試料は390 nm付近にピークを有する。同様のピークは火星隕石中のstishoviteにおいても認められる。 sanidineの衝撃試料(40 GPa)やmaskelyniteにおいて330および380 nm付近にピークが認められる。hollanditeは330および380 nmだけでなく550、580、660、710および730 nm付近にもピークも有する。このように、多形鉱物ごとにCL特性が異なることから、CL分析による高圧鉱物の同定ならびに高分解能での空間分布解析が期待できる。
  • 武田 弘, 唐牛 譲, 山口 亮, 長岡 央, 大竹 真紀子, 廣井 孝弘
    セッションID: R5-08
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    輝石の多形(Polymorphism)は月や太陽系の小天体の主要構成物質の形成と進化に関する重要な情報を提供してくれる。月や小天体の試料はアポロ月試料や隕石として得られているので、スペクトルからその多形情報を考え合わせることは出来る。これら小天体の形成と進化に関する情報を輝石の多形より得るためのサーヴェイと月隕石Dhofar 911などの組織につき研究した。
  • 山口 亮, 伊藤 元雄, Barrat Jean-Alix
    セッションID: R5-09
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    小惑星ベスタは、太陽系形成初期に形成した原始惑星の生き残りだとされる。HED隕石の化学的あるいは同位体学的研究から、小惑星ベスタは、集積直後に全球レベルの大溶融を起こし、マグマ大洋に覆われていたとされる。最近の詳細な岩石学的・化学的研究から、マグマ大洋固化後、ベスタは、二次的な火山活動を経験した可能性が高いことがわかった。
  • 三河内 岳, Zolensky Michael, Hoffmann Viktor
    セッションID: R5-10
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    Almahata Sitta隕石(小惑星2008TC3)の31個の破片を観察・分析した結果、18個がユレイライト(典型的な粗粒ユレイライト16個、細粒のモザイク化したユレイライト2個)で、その他に7個のエンスタタイトコンドライト(EL:4個、EH:3個)、3個の普通コンドライト(H:2個、L:1個)、1個の未知種コンドライト、2個の分類不能試料が見られた。Almahata Sittaが多種のユレイライトとコンドライトの小さな破片から成ることから、2008TC3はcmサイズのレキが緩く結合したラブルパイル状の天体だったと考えられる。元々、大きなユレイライト母天体が高温時に衝撃破壊を受け、破片の再集積が起こり、その後の衝突で再集積天体表面上から放出されたのが2008TC3であり、コンドライト破片はユレイライト破片と同時に再集積したか、後に再集積天体の表面に降り注いだかのどちらかと考えられる。
  • 佐竹 渉, Buchanan Paul, 三河内 岳, 宮本 正道
    セッションID: R5-11
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    本研究では、鉱物学的特徴の異なるユークライトに含まれる斜長石中の鉄の酸化状態を調べ、ベスタの内部に酸化的な部分が存在した可能性がないか、ALH76005、EETA87520、Petersburg、Piplia Kalanの4個のユークライトを用いて考察を行った。放射光マイクロXANES分析(高エネ研PF BL-4A)による斜長石中のFe3+とFe2+の割合の測定(ビーム径:約5 μm)を行ったところ、ALH76005、Petersburg、Piplia Kalanからは還元的な環境下で形成されたことを示唆するFe3+/ΣFe の低い値が得られたが、EETA87520は明らかに高いFe3+/ΣFe 比が得られた。 分析したEETA87520中の斜長石は結晶サイズが大きく、風化の影響が見られないため、地球での風化により高いFe3+/ΣFe 比を持つようになったとは考えにくい。EETA87520は今回分析した試料の中では、最も深いマグマ溜まりで形成したと考えられることから、ベスタの地殻深部には部分的に酸化的な場所が存在した可能性が考えられる。
  • 松影 香子, 長與 陽子
    セッションID: R5-12
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    圧力1.0-4.5 GPaにおいてDWマントル(Dreibus and Wanke (1984)によるモデル火星マントル)の部分融解実験を行い、DW火星マントルが玄武岩質の火星隕石、シャゴッタイトの起源になりうるかを検討した。さらに火星マントルの融解条件を推定した。実験の出発物質には、SiO2、TiO2、Al2O3、Cr2O3、FeO、MgO、CaO、Na2Oの8成分で試薬合成物を用いた。DWマントルの部分融解液の化学組成は強い圧力依存性があり、圧力の上昇に伴いFeO成分に富み、Al2O3成分に著しく乏しくなる。またCaO/Al2O3比が高くなる。シャゴッタイトの全岩化学組成と実験による部分融解液の組成を比較したところ、QUE94201、EETA-B、NWA5990の三つがDWマントルの部分融解液に主要5成分で一致することがわかった。もし、火星のマントルがDW組成であるならば、これらのシャゴッタイトの生成条件が、火星マントルの融解条件と考えることが可能である。その条件はQUE94201、EETA-Bから1GPa, 1350℃、NWA5990から 2.5GPa, 1420℃と推定される。
  • 金子 詳平, 大谷 栄治, 宮原 正明, 境 毅, 鹿山 雅裕, 西戸 裕嗣, 大石 泰生, 平尾 直久
    セッションID: R5-P01
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    これまで月には鉱物の高圧相は存在しないと考えられてきたが,最近になって月隕石からシリカ高圧相が発見された.今回我々は月隕石NWA 4734の高圧相をFE-SEM,ラマン分光法,CL及びXRD測定(SPring-8)を用いて調べ,CoesiteとStishoviteに加え,α-PbO2型シリカ高圧相(Seifertite)を発見した.Seifertiteはこれまで火星隕石のみで発見されており,月隕石においては、カソードルミネッセンス(CL)に基づいてSeifertiteの存在の可能性が指摘されていた[2]が,X線にもとづいて結晶学的に確認されたのはこれが初めてである.Seifertiteは衝撃脈近傍のシリカ粒子に卓越しStishoviteは衝撃脈から離れたシリカ粒子で卓越する.Coesiteは衝撃脈内部に取り込まれたシリカ粒子にのみ確認された.また,衝撃脈内部からは輝石ガラスに相当するラマンスペクトルが得られ,これは,一旦ケイ酸塩ペロブスカイトが高温・高圧で生成し,それが脱圧時の後退変成作用でガラス化したものと推測される.これらの高圧相の組み合わせから,NWA 4734は少なくとも40 GPaの衝撃圧力を経験したと推定される.
  • 市村 隼, 留岡 和重, 瀬戸 雄介
    セッションID: R5-P02
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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     我々は、隕石中のネフェリン生成条件・プロセスの解明を目的として、CAIおよびコンドリュール中のネフェリンの典型的な前駆物質であるメリライトおよび斜長石について、Na溶液との反応でどのように変化するかを調べる熱水変成実験を行った。変成実験の結果、メリライトと斜長石は、強いアルカリ条件下で、それぞれネフェリン・ハイドレートおよびアナルサイムというネフェリン形成過程における中間の含水鉱物に変成された。変成生成物の違い、変成の進行程度は、pHおよび溶液/試料の体積比に依存する傾向があることがわかった。
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