日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本地質学会第118年学術大会・日本鉱物科学会2011年年会合同学術大会
選択された号の論文の265件中151~200を表示しています
R1:鉱物記載・分析評価
  • 石橋 隆, 宮脇 律郎, 重岡 昌子, 松原 聰, 萩原 昭人
    セッションID: R1-P10
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    岐阜県中津川市下野に位置する福岡鉱山の,花崗岩質ペグマタイトに伴う石英脈中より,ユークレース石(Euclase)の産出を確認した.本邦からの産出報告は初である.福岡鉱山産の本鉱物は,脈状ペグマタイトまたはそれに伴う石英脈中の白色粘土に充填された5cm~10cm程度の晶洞より,ごく少量産した.晶洞内壁の石英の結晶面上に,0.3mm以下のa軸方向に伸長した微細な短柱状自形結晶が,多数晶出している.ガンドルフィーカメラを用いたX線粉末回折実験で得られた回折値から単斜晶系(空間群P21/c)の格子定数を求めると, a = 4.7758(15), b = 14.328(4), c = 4.6324(13) Å, β = 100.31(2)°, V = 311.87(16) Å3となる.主なX線粉末回折値[d in Å (I) hkl]は, 7.16(100)020, 3.85(45)021, 3.23(67)–121, 2.78(68)121, 2.55(48) –141, 2.45(52)150である.EPMAでSiとAlの定量分析を行い,BeはSiと化学当量に,Hは100wt%からの差分で算出し, Be1.00Al0.99(Si1.00O4)(OH)0.93の実験式が得られた.
  • 白勢 洋平, 上原 誠一郎
    セッションID: R1-P11
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    福岡県長垂ペグマタイトのLi-tourmalineの分析を行った。肉眼的な色調から桃色,緑色,水色,青色,藍色などのタイプに分けられ,それらがゾーニングをなすこともある。桃色,水色,藍色タイプを分析したところ,elbaite,fluor-elbaite,rossmaniteがあった。桃色タイプは少量のMnを含む。水色タイプは少量のMnとFeを含む。藍色タイプは,1(apfu)程度のFeと少量のMnとZnを含む。また,Fe含有量が大きいほど格子定数は大きくなる。晶出後期にはFeが枯渇し,Li,Alに富み,同時にNaが減り空位が増す傾向にある。ペグマタイト縁辺部から中心部にかけてのこのようなschorl-elbaite-rossmanite置換はLiペグマタイトの一般的な分化過程である。
  • 上原 誠一郎, 今井 裕之, 岡田 敏朗
    セッションID: R1-P12
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    宮崎県大崩花崗岩中にLiペグマタイトの露頭を確認し,我が国初産のhambergite(ハムベルグ石)を見いだした.quartz,K-feldsparを主成分鉱物とし,white mica,少量のtourmaline,microlite,zirconを伴う. hambergiteのEELSおよびEDSスペクトルから,Be, B, O, Fが検出された. Fの定量分析結果はF = 9.7 wt%で,OH/F=1に近い組成を持つと思われる。XRDパターンはPDF01-086-0886によく一致し,格子定数はa = 9.653(1), b = 12.352(2), c = 4.437(1) Åである.tourmalineの化学組成は晶洞部の透明な結晶が,rossmanite成分を1/3程度固溶したelbaite,巨晶部の青色透明結晶がMnを固溶したelbaite,黒色不透明結晶はelbaite組成を固溶した schorlであった。
  • 藤井 勇樹, 上原 誠一郎
    セッションID: R1-P13
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    宮崎県大崩山には中期中新世に形成された花崗岩,花崗閃緑岩が分布する。その一部にはペグマタイトが発達しレアアース鉱物が産するが,詳細な研究例は少ない。本研究では野外調査で採取した試料を用いて,X線粉末回折法やSEM-EDSによりレアアース鉱物の分析,同定を行った。多くのペグマタイトで確認できたallaniteはA2 site の80%以上をレアアースが占有し,Ceが最も多くLa, NdなどLREEが続く。試料間でその含有量が変化するが,それは単結晶内でも確認できる。変化の境界は明瞭だが,形状は複雑である。また,石英中にまれに確認できる黒色針状結晶をなすkobeiteの,X線回折パターンはzirconoliteに近いものであった。16-24wt%のレアアースを含みYを最も多く含む他,Zr,Ti等を主成分とし,zirconolite成分を固溶するkobeiteと考えられる。
  • 福本 辰巳, 皆川 鉄雄
    セッションID: R1-P14
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    Allanite [CaREEAl2FeSi3O12(OH)] は熱水によりsynchisite-(Ce) [CaCe(CO3)2F] やbastnäsite-(Ce) [Ce(CO3)F] を主とした含フッ素希土類炭酸塩鉱物を形成することが知られている。領家花崗岩に少量伴われるallaniteは熱水の影響を被り、これらの炭酸塩鉱物と思われる二次鉱物が脈状、皮膜状、あるいはallaniteの仮晶をとして認められる。風化した花崗岩類における希土類元素は資源となりうるため、このような熱水変質作用による希土類元素の挙動は重要である。しかしながら、水酸基、炭酸基を含んでいることや、allaniteとのコンタミなどの問題があり、これまでにallaniteとその二次鉱物について検討した例はほとんどない。本研究では領家花崗岩に少量伴われるallaniteおよびその二次鉱物の化学組成、および両者の共生関係を詳細に検討した。その結果Ce2O3-La2O3比やCe2O3-Nd2O3比が変化していないことがわかった。このことから含フッ素希土類炭酸塩鉱物が形成される過程ではREE分配はホストとなる鉱物に依存している可能性が示された。
  • 國枝 拓司, 皆川 鉄雄, 大越 悠数
    セッションID: R1-P15
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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     アガード石はミクサ石グループのアガード石系列に属する銅の砒酸塩鉱物であり、一般にREEを主成分とする唯一の銅の二次鉱物である。手島産アガード石は肉眼的には鮮やかな緑黄色~アップルグリーンの細脈をなし珪質ホルンフェルス中に細脈をなす。YとDyに富み、分析からDy rich agardite-(Y)に同定される。
  • 浜根 大輔, 大越 悠数, 皆川 鉄雄
    セッションID: R1-P16
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    YTaO4鉱物の記載は混乱気味であるが,我々は愛媛県高縄山産YTaO4鉱物の再検討を行い,興味深い結果を得た。高縄山産YTaO4鉱物は常温・加熱後それぞれでFergusonite-(Y),β-fergusonite-(Y)のTa置換体に相当すると考えられる。一方で,これまでのYTaO4鉱物の情報は不明瞭な部分があり,YTaO4鉱物全体の整理・再検討は必須であろう。
  • 大越 悠数, 皆川 鉄雄
    セッションID: R1-P17
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    愛媛県弓削島にはTh鉱物による放射性ハロを受けた紫色fluorite結晶の集合体が生じた交代性スカルンが稀に認められる(大越・皆川, 2009)。この交代性スカルンよりilmenite、titaniteと密接に共生するoxycalciobetafite[Ca2Ti2O6O]およびkobeite-(Y)[河辺石:Y(Zr,Nb)(Ti,Fe3+)2O7]が見出された。弓削島産oxycalciobetafiteはY+REE成分および□成分(空位)と連続固溶体を形成し、弓削島産kobeite-(Y)はzirconoliteと連続固溶体を形成する。本邦からBetafite group鉱物は報告されておらず、kobeite-(Y)のzirconolite共生およびスカルン中からのkobeite-(Y)は初報告である。
  • 高井 康宏, 上原 誠一郎
    セッションID: R1-P18
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    東松浦玄武岩は佐賀県東松浦半島に分布する新第三紀のアルカリ玄武岩である。その玄武岩からkimuraiteなどの希土類鉱物が報告されている(e.g. Nagashima et al., 1986)。今回はこれまで本学会で未知鉱物として報告してきた2つの鉱物が,IMAより新鉱物として認定されたのでそれを報告する。hizenite-(Y)の理想化学組成はCa2Y6(CO3)11•14H2Oで,非常に薄い板状結晶が集合して産する。斜方晶系で格子定数はa = 6.295 (1) Å,b = 9.089 (2) Å,c = 63.49 (1) Åである。rhabdophane-(Y)の理想化学組成はYPO4•H2Oで,六角柱状結晶が放射状に集合して産する。六方晶系で格子定数はa = 6.959 (2) Å,c = 6.384 (2) Åである。
  • 冨田 宣光, 皆川 鉄雄, 豊 遙秋
    セッションID: R1-P19
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    四国の秩父帯北帯に分布する高いREE含有量を持つ鉄・マンガン鉱床からLa, Ce, Nd, and Y type全ての Wakefieldite group鉱物が確認された。これらはカリオピライト脈中に数10ミクロン以下の片状集合体をなす。REEの特徴はLa, Ndに富、Ce, Y成分にやや欠乏している。 MonaziteもCe, La比がほぼ同じであり、Ceに欠乏している。
  • 宮脇 律郎, 門馬 綱一, 横山 一己, 重岡 昌子, 松原 聰, 伊藤 美久, 中井 泉, Kristiansen Roy
    セッションID: R1-P20
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    ノルウェイの花こう岩ペグマタイトからマンガンに富むヘランド石を見いだした。本鉱物の特徴は、3価のマンガンが鉄を置き換えるのではなく、2価のマンガンがカルシウムを置き換えていることである。
  • 星野 美保子, 守山 武, 渡辺 寧, 宮脇 律郎, 平野 英雄, 恒松 麻衣子
    セッションID: R1-P21
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    サウジアラビアのジャバルタウラの石英に富む花崗岩質岩石から、イットリウムフッ化鉱物(YF3)が見いだされた。この鉱物は、斜方晶系で空間群がPnma、格子定数はa=6.381(2), b =6.870(2), c=4.392(1), V=192.5(1)であり、合成物のYF3と一致した。このような結晶構造を持つ鉱物はこれまで天然で報告されていない。ジャバルタウラ花崗岩には、YF3以外にもユークセナイトやフェルグソナイトなどのNb鉱物が多量に産出しており、これらはマグマ期から熱水期への漸移期に形成されたと考えられる。
  • 森下 智弘, 松枝 大治
    セッションID: R1-P22
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    北海道八雲町館平に位置する館平マンガン鉱床はチャート中に胚胎し、周囲には、角閃岩、火成岩を起源とする変成岩が露出する。これらの岩石は白亜紀貫入の石英閃緑岩と接触して露出する。本鉱床は、新鉱物kanoiteを始め多様なマンガン鉱物が記載されており、その鉱物組合わせから接触変成作用及びそれに続く熱水変質作用があったと報告されている。 本研究は鉱床の形成過程や変成作用の詳細に加え、Ni-Co-Fe-Cu-As-S系鉱物の記載など、不十分な部分を明らかにすることを目的とした。本鉱山の鉱石のREEパターンは、海底火山活動に伴う鉄マンガン酸化物・水酸化物の堆積物のものに類似していることが判かった。また、鉱石と周囲の火成岩(角閃岩及び変成火成岩)のNi, Co含有量を比較すると、鉱石が最も高い。この事と、鉱石の鏡下観察によるrhodonite, gersdorffite, cobaltite, pyrite, chalcopyriteの晶出順序の考察から、Ni, Coは初生的なマンガン鉱床に起源を有し、Cu, Feは接触変成作用後期に付加された可能性が高い。またEPMA分析で得られた本鉱床産Ni-Co-As-S系鉱物の化学組成は、館平マンガン鉱床が少なくとも450~550℃付近の接触変成作用を被ったことを示す。
  • 五十公野 裕也, 中島 和夫
    セッションID: R1-P23
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    山形県米沢市における関根蛇紋岩体から未同定鉱物X, 未同定鉱物Y, orcelite (Ni5-xAs2), violatite (FeNi2S4), pentlandite ((Ni,Fe)9S8), niccolite (NiAs)などのニッケル鉱物が産する。未同定鉱物Xの実験式はNi2.98As2.02(Total原子数=5)となり、その理想式はNi3As2と考えられる。未同定鉱物Yの実験式はFe2.06NiS3.942(Total原子数=7)となり、理想式がFe2NiS4と考えられる。orceliteは国内において2番目の発見となる。実験式はNi4.90As2.00(As原子数=2)となり、orceliteの組成範囲内にプロットされる。これらのニッケル鉱物は、蛇紋岩化した後の熱水により生成したと推定される。
  • 門田 亮, 皆川 鉄雄, 大越 悠数, 濱根 大輔
    セッションID: R1-P24
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    東赤石かんらん岩を切る蛇紋石細脈中に多様なNi-Co-Fe 系の硫化物、元素鉱物が伴われる。硫化物にはmetalloid alloysが認められれ、これまでにorcelite, dienerite, Ni2As, Ni3Sb等が見出された。特にNi2As, Ni3Sb組成の鉱物は、合成物が知られているが天然では産出していない。
  • 秋澤 紀克, 荒井 章司, 上杉 次郎, 田村 明弘
    セッションID: R1-P25
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    オマーンオフィオライトの地殻中で,ユバロバイトやクロマイトなどのクロム成分に富んだ鉱物を含むネットワーク状の脈を発見した.その脈は,まわりにアノーサイト・ディオプシダイト(主にアノーサイトやディオプサイドからなる岩石)を伴い,ガブロへと漸移する.これらは,マントル中でディオプシダイト(ほぼディオプサイドからなる岩石)の脈を形成した高温のフルイドが,下部地殻でガブロと相互反応し,その分化の過程で形成されたと考えられる.変質過程で動きにくい元素であるクロムは,その高温のフルイドによってマントルから下部地殻に運ばれたと考えられる.
  • 干川 智弘, 荒井 章司, 高橋 奈津子, 三浦 真
    セッションID: R1-P26
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    幌満かんらん岩におけるSDW系列は、クラック中に形成された集積岩であるとされており(Takahashi, 1992)、SDWを解析することで幌満かんらん岩と最終的に平衡であったマグマの化学組成を推定できる可能性がある。 単斜輝石中の微量元素組成から計算された平衡なマグマの微量元素パターンは、島弧ソレアイトや中央海嶺玄武岩のパターンに類似性はあるものの、どのテクトニックセッティングの玄武岩のパターンとも一致しない。これはSDWが、粒間のメルトまたはMHLからの影響を受けたからである。しかし、単斜輝石のモードとの相関から、初生的なメルトはよりLREEに乏しいと考えられる。 SDWは、特徴的に肉眼で黒色を呈している。これは、かんらん石中に存在する黒色の微細包有物に起因している。この包有物は、磁鉄鉱と斜方輝石よりなり、OH基を含むかんらん石からの離溶物の可能性がある。
  • 井上 昌子, 荒井 章司, 田村 明弘
    セッションID: R1-P27
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    マントルかんらん岩は、部分溶融だけでなく交代作用によっても岩相が変化する。レールゾライトはメルト成分枯渇度が低いかんらん岩であるが、斜方輝石を置換する単斜輝石の生成によりハルツバーガイトから交代的に生成されることも知られる。愛媛県新宮のランプロファイアーのレールゾライト捕獲岩を検討した。単斜輝石は化学組成的にグループIIのものと一致し、ハルツバーガイトに単斜輝石が単純に付加してレールゾライトが形成されたことを示唆する。新宮の地下ではグループIIに相当する岩石が密に脈状に形成されており、脈に沿って割れた岩石が捕獲された。脈岩部分がグループII捕獲岩となり、グループI捕獲岩は小型となった。
  • 出口 大輔, 荒井 章司
    セッションID: R1-P28
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    島弧深部の岩石学的構成はマグマ活動により刻々と変化している。西南日本では新生代のマグマ活動により様々な程度に下部地殻~上部マントルが変化していることが捕獲岩から推定されている。最もシリカに乏しい新生代マグマの一つである岡山県加治子山ベイサナイトの捕獲岩を検討した。捕獲岩は通常の グループI、IIの中間的な性質のものが多く、多くは斜方輝石に乏しい。先行するシリカに乏しいマグマにより、地下の岩石が改変され、斜方輝石が消失した岩相となっていた可能性が高い。
  • 松井 智彰, 荒川 洋二, 木股 三善, 西田 憲正, 星野 美保子, 越後 拓也
    セッションID: R1-P29
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    鹿児島県三島村竹島の佐多浦海岸に見られる玄武岩中に,直径が最大約1 cmの灰長石巨晶が発見された。鏡下では,巨晶の最周縁部に僅かに累帯構造が観察されたが,全体としては光学的に均一であり,包有物として融食形をしたカンラン石が見られた。結晶構造はX線回折データから高温型であると推定された。また化学分析の結果,組成的にはほぼ均質な結晶であることが確認された。灰長石成分は94%前後であり,曹長石成分が5%程度,FeAl2Si2O8成分,CaFeSi3O8成分,[ ]Si4O8成分が微量に含まれる。上記の産状及び結晶化学的特徴は,薩摩硫黄島産灰長石巨晶と酷似していることから,同様の生成過程が推定される。
  • 青島 瑛子, 牧野 州明
    セッションID: R1-P30
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    月長石は青~乳白色の閃光(シラー)を放つアルカリ長石類(アノーソクレース)である。Na長石とK長石はラメラ状組織を示し(Fleet・Ribbed, 1963)、青白いシラーの原因は(801(- ))に平行な板状組織内に入射した光が反射と屈折を繰り返すことによっておこる光の散乱(秋月, 1976)だとされている。他にも月長石の組織とシラーの対応関係を推測した報告はあるが、シラーの光学的特性やそのスペクトルは報告されていない。 本研究ではU-stageを用いシラーの光学的方位、シラーのスペクトル分析、光学と電子顕微鏡による組織観察、化学分析によって月長石シラーの特性を明らかにしてシラーと微細組織との対応を考察する。試料にはノルウェーのオスロ地域に産するモンゾニ岩(ラルビカイトと呼ばれる石材)に含まれるアノーソクレースを使用する。
  • 佐藤 永太郎, 牧野 州明, 津金 達朗
    セッションID: R1-P31
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    石材の1つにブラックギャラクシ―という黄銅色の金属光沢のある光を放つ斑レイ岩が存在する。ブラックギャラクシ―には、Cpxの離溶ラメラをもつOpxが存在して、特徴的にCpx(100)ラメラ沿いに板状のイルメナイトラメラが発達している。このイルメナイトのラメラが金属光沢の閃光を放っている原因であることが分かった。しかし、板状のイルメナイトがなぜ黄銅色の金属光沢をつくりだすかは不明である。本研究では黄銅色の金属光沢とイルメナイト関係について解明することを目的とする。 Opx中のイルメナイトは偏光顕微鏡では黄色~茶色の透過色を示し、直線状に配列していた。また、電子顕微鏡下では、はっきりとCpxの離溶ラメラに沿ってイルメナイトラメラが直線状に配置しているのが観察された。  これからはU-stage観察や反射スペクトル、電子顕微鏡像などを用いて、ブラックギャラクシ―の黄銅色の金属光沢とイルメナイトの関係について考察していく。
  • 孫 羽, 廣井 美邦
    セッションID: R1-P32
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    東南極,日の出岬には中期原生代(約1000Ma) の変成トーナライトが産出する。その中には少量の塩基性―中性及び石灰珪質変成岩塊が出現する。変成トーナライトのは化学的にTTGやアダカイトと類似している。最近,石灰珪質岩塊近傍の変成トーナライトから新たに藍晶石が見出された。ここでは,藍晶石およびその周囲の鉱物についての詳細な観察とそれにもとづく藍晶石の関わった反応についての解析結果を報告する。変成トーナライトが石灰珪質岩と反応することによって局所的に組成変化したことを示唆している。藍晶石中の石英包有物は, 藍晶石が成長した時に存在していたことを示している。それは,アダカイト質な変成トーナライトがMORBが高圧下で部分溶融して形成されたと考えられてきたことと調和的である。一方、コランダムやスピネルを含む灰長石が藍晶石を取り囲んでいることは,マグマが上昇減圧して,藍晶石と非平衡の関係になり,反応したことを示唆している。
  • 松山 寛, 篠田 圭司
    セッションID: R1-P33
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    Magnetite:Fe3O4は低温酸化に伴って,六配位席中のFe2+がFe3+へと変化し,そのFeの価数変化に伴う電荷を補償するために空孔が導入されていく.この空孔量は0~1/3の間で連続的に変化する.空孔量1/3の場合,化学組成はFe2O3となり,maghemiteとなる.したがって,magnetiteの空孔量はmagnetiteが受けた低温酸化の指標であると考える事ができる.本研究ではmagnetiteが受けた酸化の程度を見積もるため,Guinierカメラを用いたX線回折法を用いてmagnetiteの格子定数を測定、種々の補正を行い間接的に空孔量を精密測定した. 前年の本学会の発表では様々な産状より得られたmagnetiteを用い,空孔量を測定した.花崗岩中のmagnetite以外は空孔量のかなり多いものもあり,空孔量と産状が相関を持つ可能性に言及した.そこで今回は試料を山陰海岸周辺地域の花崗岩に限定し,産出する地域や,風化の度合いによって空孔量に差異があるかを調べた.結果,花崗岩においては酸化や風化の指標としてmagnetiteのFe2+空孔量が有効である可能性がある.
  • 加藤 丈典, WALLIS Simon
    セッションID: R1-P34
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    造岩鉱物のEPMAによる定量分析では、通常陽イオンのみ測定し、酸素の濃度は化学量論的に推定している。しかし、鉄のような異なる価数の状態が共存しうる鉱物の場合、酸素を測定しない場合にはさらに何らかの条件を仮定しなければ化学組成を求めることができない。しかし、仮定がどの程度確からしいか検証することができないことや、ガラスには適用できないという問題がある。そこで、造岩鉱物中の酸素の高精度EPMA定量分析法を開発した。波長分散型分光器のバックグラウンド測定位置を22の物質を用いて決定した。表面汚染の影響を軽減させるため、液体窒素トラップを使用した。酸素のような超軽元素を含む分析であるため、Merlet (1994, 1995)のdouble Gaussianモデルを用いて補正計算を行った。組成既知の12の物質で開発した分析法を評価したところ、RMS = 1.001という値が得られた。
  • 纐纈 佑衣, 川嵜 智佑, 榎並 正樹
    セッションID: R1-P35
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    石英ラマン圧力計の較正をおこなうため,石英を含むざくろ石斑状変晶の高圧焼きなまし実験を行った.実験条件は,1.5–3.0GPa/800°Cで,実験に用いた試料は,四国三波川帯権現地域に産するquartz-eclogiteである.実験の結果,1.5 GPa/800°Cでの石英の残留圧力は0.6–0.7 GPa,2.5 GPa/800 °Cでは0.8–0.9 GPaであった.3.0 GPa/800°Cでは最大1.2 GPaであったがコーサイトは確認されなかった.実験値と従来の数値計算から得られる値を比較すると,1.5 GPa/800 °Cでは,実験で得られた残留圧力は0.2 GPa程度高かった.一方,2.5 GPa/800°Cでは,数値計算と実験値はよく一致した.今回の実験結果から,従来の石英ラマン圧力計は,1.0–2.0 GPa程度の変成圧力を過大見積もりしている可能性が高い.
  • 榎並 正樹, 加藤 丈典, 秋元 克美
    セッションID: R1-P36
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    音響光学的可変フィルター (AOTF)を利用した イメージング・ラマン分析装置の詳細について報告する.
  • 渡邊 正和, 加藤 丈典
    セッションID: R1-P37
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    現在のCHIME年代測定法は分解能が数ミクロン程度で、岩石中に含まれる1ミクロン未満の鉱物粒子や領域を測定できない。例えば短期間で大量の鉛を生成する閃ウラン鉱は、非常に若い年代での地質イベントを検出出来る可能性があるにもかかわらず、粒径が小さいものが多いため、これまで年代測定にあまり利用されてこなかった。そこで本研究では、CHIME年代測定法の空間分解能をあげ、より小さい領域でのCHIME質年代測定法の開発を試みた。まず試料中の特性X線の強度と発生領域を調べるために、モンテカルロ法を用いて様々な条件下でシミュレーションを行った。その結果、入射電子エネルギーを5keVに下げると空間分解能は0.86μmとなり、この条件における検出限界は約7Maであることがわかった。これらの結果からサブミクロンサイズでのCHIME年代測定が可能であることが示された。
  • 田中 雅彦, 中村 智樹, 野口 高明, 勝矢 良雄, 松下 能孝
    セッションID: R1-P38
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    我々は微量の鉱物試料から高分解能粉末X線回折データを取得するために半径が955mmの円筒面状イメージングプレートを検出器とするシンクロトロン放射光用大半径Gandolfiカメラを開発し、このカメラにより取得した粉末回折データで対象試料の結晶構造精密化を実施できることを実証した。 我々はこの新開発のGandolfiカメラにて測定の諸条件の変更(1.光学系の設定、2.カメラ半径、3.X線波長、4.測定時間、5.試料粒子径等)が、得られる粉末回折データの回折強度や角度分解能などにどのような質的影響をもたらすかを検証し考察したのでこれを報告する。また、このGandolfiカメラの高分解能特性を生かした地質温度計への適用の試みも報告したい。
  • 須田 雄太, 牧野 州明, 中野 聰志
    セッションID: R1-P39
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    本研究ではアルカリ長石類のOSLの測定を行い、OSLの特徴とOSLカラーについて報告する。 測定には主に有明花崗岩、苗木花崗岩、青木岩、大山閃長岩、野洲花崗岩のアルカリ長石を用いた。各試料に対して紫外線ランプを用い紫外線を照射した。OSLスペクトルの測定にはSEC2000 UV/VIS spectra meterを用いた アルカリ長石のOSLスペクトル測定の結果、強度は異なるが各試料に共通して赤と青の蛍光スペクトルピークが微弱ながら認められる。しかし温度変化に伴うアルカリ長石のOSLスペクトルは温度に対して敏感で温度が高いとと赤色、青色共にOSLスペクトル強度が弱くなり、逆に温度が低いとOSLスペクトル強度は強くなる。このことからアルカリ長石には産状により強度は異なるが赤色OSLは勿論常温では見え難いが青色OSLも存在し、低温下での観察ならば青色OSLも強度測定が可能になる。
  • 谷口 隆文, 篠田 圭司, 小林 康浩
    セッションID: R1-P40
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    Magnetite(Fe3+[Fe3+,Fe2+]O4)は,強い磁性を持つ鉄酸化鉱物で,酸化されるとFe2+席に空孔を導入しながらMaghemite (Fe3+[Fe3+5/3,□1/3]O4 )へと転移する.MagnetiteとMaghemiteの中間鉱物の不定比性Magnetiteの化学式はFe3-xO4で表される. MagnetiteからMaghemiteへの転移は,不定比性MagnetiteのFe2+とFe3+の量比と空孔量,格子定数の変化で特徴づけられる.メスバウアー分光法を用いることで,Fe2+とFe3+の量比の測定ができ,粉末X線回折法を用いることで格子定数を測定できる.本研究では、 Magnetiteの参照物質をいくつか合成し,両者の方法で空孔量を測定した.それぞれの空孔量xを比較することで,どちらの方法がより不定比性Magnetiteの空孔量xの測定に適しているか考察した. 実験の結果、X線回折法から求めた空孔量とメスバウアー分光法から求めた空孔量はほぼ一致したが,全ての試料で誤差がメスバウアー分光法を用いた方が小さかった.X線回折法よりも空孔量の測定に適しているといえる.
  • 富田 千尋, 篠田 圭司, 小林 康浩
    セッションID: R1-P41
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    磁鉄鉱は低温で酸化されると,六配位位置に空孔が導入される.磁鉄鉱は空孔の増加につれて,マグヘマイトへ変化していくため,試料中の磁鉄鉱の空孔量を調べることにより,その磁鉄鉱がどれだけ低温酸化を受けているかを推定することが可能となる. 本研究では,メスバウアー分光法と粉末X線回折法を用いて天然に産する磁鉄鉱の空孔量を求め,それぞれの方法で算出される空孔量を比較した. 天然の磁鉄鉱には,チタンやアルミニウムが固溶している.メスバウアー分光法・粉末X線回折法を用いて空孔量を測定する際に,固溶原子を含まない磁鉄鉱の空孔量を求める方法に補正を加える必要がある. SEM/EDSを用いて試料に含まれるTiO2,Al2O3量を測定し,その測定結果を使い空孔量の算出の補正を行った. 両測定法から求めた空孔量は1:1に近い相関があった. しかし,空孔量が負の値になる場合があったので,今後補正法を新たに考える必要がある
R2:結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物
  • 永井 隆哉, 佐野 亜沙美, 飯塚 理子, 鍵 裕之
    セッションID: R2-01
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    MMg(OD)2の高温下での構造変化、特に、D原子の挙動を調べるために、高温中性子回折実験を行った。実験は米国オークリッジ国立研究所の実験原子炉HFIRにある日米広角中性子回折装置(WAND)で行った。測定は200から600Kの温度で100度ごとに行い、格子定数などの変化は500Kまでは単調な変化を示したが、600Kのデータは、そのトレンドから外れる結果となった。
  • 越後 拓也, 星野 美保子, 木股 三善, 清水 雅浩, 松井 智彰, 西田 憲正
    セッションID: R2-02
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    灰長石 (CaAl2Si2O8) の結晶構造は、堅固なアルミノケイ酸塩フレームワーク構造と、ケージ内に包摂されるカルシウムイオンとで特徴付けられる。結晶構造中のAl・Siの数が等しいため、四面体席におけるAl/Siの秩序配列の結果、c軸がカリ長石やアルバイトの約2倍の14 Å前後になる。これまでに、Al/Siが完全に無秩序化した灰長石の結晶構造は報告されておらず、アルミニウム排除則 (Al-avoidance rule) が成立する代表例とされてきた。今回、三宅島産灰長石巨晶中に、完全にAl/Siが無秩序化した結晶と、一部秩序化した結晶が共存している組織を発見したので、それらのEPMAによる定量分析結果と単結晶X線回折法による結晶構造解析の結果を報告する。
  • 永嶌 真理子, 今岡 照喜, 中島 和夫
    セッションID: R2-03
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    足摺岬産のTiに富むferriallanite-(Ce)の結晶化学的研究を行った.本試料はTi(∼3.6 wt.% TiO2)とFeに富む(∼21.3 wt.% FeO*; Fe2+/total Fe = 0.6-0.7).X線単結晶構造解析の結果(R1 = 1.50-1.57 %),A1, A2, M3サイトにおいてそれぞれCa, Ce, Fe2+が卓越する.一方,M1, M2サイト中の席占有率はTiの分配によって以下の2通りが考えられる;(1) (Fe0.72Ti0.23Al0.05)M1(Al0.82Fe3+0.18)M2, (2) (Fe0.90Al0.10)M1(Al0.77Ti0.23)M2.M1,M3サイトのAlを大きな陽イオン(主にFe)が置換することによってM1,M3サイトは膨張し,それ伴いSi1-O9-Si2結合角は小さくなる.
  • 永嶌 真理子, Armbruster Thomas, Herwegh Marco, Pettke Thomas, Lahti Seppo, ...
    セッションID: R2-04
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    フィンランドOutokumpu copper mine産のCrとVに富む低結晶性クリノゾイサイト(∼0.89 Cr3+ and ∼0.23 V3+ apfu)の結晶化学的研究を行った.本試料はエメラルドグリーンを呈し,鏡下では明瞭な消光を示すにも関わらず,X線および電子線での観察では低い結晶度を示す.メタミクト化した結晶の特徴を有するが,本試料中にはThやUなどの放射性元素は含まれていない.結晶構造解析の結果,格子体積が組成から予想される値と比べ非常に大きく,加熱とともに体積は減少傾向を示すが,予想される値には達しない.さらに解析で得られたCr+V含有量は化学分析で得られた値と比べ,多いもので約0.4 apfu少ない.加熱前・加熱後のクリノゾイサイトの席選択性に変化は見られなかった.
  • 浜田 麻希, 赤坂 正秀
    セッションID: R2-05
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    メリライトの二つの4配位席(T1席,T2席)におけるFe3+の分布と,イオン置換と変調構造の関係を検討するために,オケルマナイト–FAGeh系(2試料),ゲーレナイト–FAGeh系(1試料)のメリライトを合成した.X線リートベルト解析とメスバウアー分光分析の結果,Fe3+はT1席とT2席の両方に分布し,Fe3+が小さなT2席に入りやすいことが明らかになった.また,T1席とT2席の平均イオン半径と平均原子間距離には相関があり,T1とT2席における遷移金属イオンとFe3+の分布は,TO4四面体の体積とイオン半径だけなく,4配位席における共有結合性と電気陰性度にも依存する.本研究の試料の室温でのメスバウアー分光分析では歪みの違うT1席の存在が明らかとなり,変調構造が認められた.従って,T1席とT2席でイオン置換が起こり,T1O4,T2O4四面体の体積の差が多くなった場合に変調の度合いが強くなり,逆に小さくなったときは弱い変調を示すということが明らかとなった
  • 興野 純, Gramsch Stephen, 山中 高光, 生田 大穣, Ahart Muhtar, Mysen Bjørn, M ...
    セッションID: R2-06
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    クロム鉄鉱(FeCr2O4)の高圧下での結晶構造を単結晶X 線回折法によって13.7GPaまで測定した。単位格子は11.8GPaまで連続的に減少し、四面体席の方が八面体席よりも圧縮されやすいことが判明した。不連続な体積変化が11.8GPaと12.6GPaの間で観察され、この変化は立方体(空間群Fd-3m)から正方構造(空間群I41/amd)への構造相転移であることが結晶構造解析により明らかになった。この相転移によってFeO4四面体のc軸方向の結合角は109.5から106.6(7)に減少し始め、伸長した四面体席の形を発生させた。圧力上昇に伴い、八面体における角度歪み量は連続的に減するすが、四面体におけるそれは相転移の後に劇的に増加した。圧力の上昇により四面体席の二価鉄のヤーン・テラー効果が活性となって、四面体の対称性の低下が引き起こされたと考えられる。
  • Toshihiro Kogure, Eiji Abe, V. A. Drits, I. V. Rozhdestvenskaya
    セッションID: R2-07
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    Charoite is a hydrous silicate mineral with Ca and K as major components beside silica, occurred only at one locality in Siberia. This mineral was described and approved in 1978, but its crystal structure has not been solved more than thirty years. Recently two papers, Rozhdestvenskaya et al. (2010a, 2010b) were published in which the structure models of charoite were proposed. In this presentation, the processes of the structure analysis of charoite described in these papers and their background are reviewed.
  • 野本 哲也, 三宅 亮, 下林 典正
    セッションID: R2-08
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
     中間組成からAn-richの斜長石のC-1とI-1の相境界の再検討実験を行なった。実験は、天然の斜長石を加熱し、回収した試料をTEMで観察し、その電子回折図形から構造を判別した。その結果、斜長石のC1-1⇔I1-1相転移境界はAn75の範囲では1400-1350℃の間であり、An65では1100℃以下の可能性が示唆された。この結果から推測される相転移線の傾きはCarpenter and McConnel (1984)の提案する相境界の傾きより急となり、天然の観察結果(野本ほか., 2010)と調和的である。
  • 奥部 真樹, 吉朝 朗, 王 玲, 仲谷 友孝, 中塚 晃彦, 宮脇 律郎
    セッションID: R2-09
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    XAFS法により、白亜紀ー古第三紀境界(K-T境界)粘土層中の微量元素の局所構造解析を行い、各微量元素の局所構造をXANES法とEXAFS法により配位環境、原子間距離、Debye-Waller因子等を精密に決定した。指標鉱物との比較も合わせ局所環境を議論する。
  • 仲谷 友孝, 平床 竜矢, 奥部 真樹, 武田 隆史, 村井 啓一郎, 吉朝 朗
    セッションID: R2-10
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    数十GPaを超える超高圧の環境(マントル内部)では、ペロブスカイト構造は非常に一般的な構造である。TiO6八面体と金属Rで構成されており、 TiO6 八面体は金属Rとの相互作用により容易に歪み、対称性の低い斜方晶や正方晶に相転移する Ti原子が局所的に歪む(オフセンター)ことで分極し、強誘電性を持つものもある。この時の歪みのモデルには二つの歪みのモデルがあり、ひとつはオフセンターによる歪みと、もうひとつが 格子振動による歪みである。 常誘電体におけるTi原子の歪みについてと、強誘電性メカニズムにおいて、温度変化、圧力変化による歪みの変化について議論の余地があるXANESを用いた広い温度範囲で強誘電性ぺロブスカイトの局所的な歪み、電子構造を解析し、これまでの研究結果と比較することで、強誘電性の温度変化と圧力変化の関係、Ti原子の歪みについて再検討を行う
  • 薛 献宇, 神崎 正美
    セッションID: R2-11
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    29Si MAS NMRはケイ酸塩鉱物におけるSi-Al分布の定量的解析に最も有効な手段である。テクトアルミノ珪酸塩鉱物においては一般的に特定のTサイトに対して、nSi(4-n)Al(n=0-4)と連結するSi(Si(nSi))に対応する最大5つの29Si MAS NMRピークがありうると考えられてきた。本研究では5GPa, 800˚C合成した29Si濃縮したK-cymrite (KAlSi3O8.H2O)高圧相のNMR結果を報告する。K-cymrite は(Si,Al)O4四面体(Q4)からなる2重層構造を有する。しかし、一つのTサイトにもかかわらず、5つ以上の29Si MAS NMRピークが観測された。2次元J結合を利用したNMR測定により、これらはK-cymrite中のSi(nSi)(n=1 to 4)に対応し、Si(3Si) と Si(2Si)はそれぞれ二つのT-O-T角の存在により二つのピークを示すことが分かった。
  • 野口 直樹, 阿依 アヒマディ, 小竹 翔子, 亀形 菜々子, 小松 一生, 鍵 裕之
    セッションID: R2-12
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    これまでに顕微ラマン分光法によって固相包有物周辺の残留応力が測定されている。残留応力はホスト鉱物と包有物鉱物の熱膨張率と体積弾性率のギャップによって、包有物捕獲からの減圧・降温過程において生じたと考えられる。そのような残留応力場は包有物鉱物とホスト鉱物の方位関係に依存して大きな異方性があると考えられるが、これまでに残留応力の成分(法線応力と剪断応力)を定量的に決定した例はない。そこで、本研究では近年応力成分の分光学的な評価法が確立されつつあるコランダムに着目し、天然コランダム中の包有物周辺の残留応力成分を顕微蛍光・ラマン分光測定を使って決定・可視化した。 サンプルとしてオーストラリアのKings Plain corundum mineで産出した火山岩起源のコランダムを用いた。Cr,Ti,Feを微量に含んでおり、内部には結晶形がはっきりした曹長石とルチルの包有物が散在している。それらの包有物のなかには放射状のクラックが見られるものや、消光位で包有物の周りに歪みに起因するハローを示すものが多数見られる。これらの包有物周辺を5μm間隔で3次元マッピング分光測定した。 測定の結果得られたCr3+に由来する蛍光スペクトルのR2線のピーク位置から残留圧力値を、R1線とR2線とピーク位置から法線応力成分をそれぞれ見積もり、可視化した。また、コランダムの格子振動に起因するラマンバンドのシフトから剪断応力成分を見積もり可視化した。
  • 西戸 裕嗣, 草野 展弘, 槙尾 雅人, 蜷川 清隆
    セッションID: R2-13
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    マグネサイト(Brumado産)のカソードルミネッセンス(CL)を解析した。室温において強い赤色のCLを発現し、650 nm付近をピーク波長とするMnイオンの単一バンドスペクトルを示す。カルサイトでは620 nm付近に発光ピークがみられるが、マグネサイトは大きく長波長側にシフトしている。CaサイトよりMgサイトの方が置換したMnイオンに配位する酸素との距離は短く結晶場(Dq)は大きくなり、輻射遷移に関係する最低励起準位と基底準位とのエネルギー差が小さくなったことによる。各温度でのCLスペクトルをガウス関数を用いてピークフィティングを行い、得られた発光効率からアレニウスプロットにより活性化エネルギーを求めた。-100 ℃から50℃にかけて温度消光を示したが、50℃以上では温度増感に転じた。Mott-Seitzモデルを仮定して求めたこれら過程の活性化エネルギーは各々同程度の値を示した。
  • 大藤 弘明, 竹内 洋貴
    セッションID: R2-14
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    グラファイトからの六方晶ダイヤ単相試料の合成に適した圧力温度条件を実験的に模索し,さらに相転移のメカニズムに関してより詳細な検討を行った.
  • 中牟田 義博, 藤 昇一
    セッションID: R2-15
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    Goalparユレイライト隕石中よりダイヤモンドでは現れない反射を示すn-diamondの電子線回折パターンを得た。このn-diamondはグラファイトから固相変化したダイヤモンドやロンスデル石と伴っている。これらの鉱物との関係から,n-diamondは2.08オングストロームの間隔でABCの3層に積層した炭素シートからなるが,各炭素シートはダイヤモンドのようにうねってはおらずより平面的な構造を持っていると考えられる。
  • 伊神 洋平, 三宅 亮, 瀬戸 雄介
    セッションID: R2-16
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    Al2SiO5の多形の一つであり、温度・圧力の指標となるため地質学的に非常に重要な鉱物である珪線石の高温での相変化については、多くの研究が行われてきた。しかし、珪線石が高温で変化することは知られているが、それがどのような変化であるか、どの温度でそのような変化が現れ始めるかは明らかになっているとはいえない。本研究では、珪線石の組織の有無を明らかにすることによりを高温での振る舞いを明らかにすることを目的とした。 高温で長時間保持した試料のTEM観察・分析により、珪線石に特徴的な反射(l=奇数反射)が出現する領域に加え、この反射の出現しないムライト相が存在する領域が観察できた。この領域ではさらにSiO2-richな析出物が観察され、電子線回折からこの析出物はガラスであることが分かった。以上から、ある温度以上の高温で、「珪線石→ムライト+ SiO2-richメルト/amorphous silica」の反応が起こることが明らかになった。
  • 小畑 正明, 小澤 一仁, 吉田 英人, 上田 匡将
    セッションID: R2-17
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    ロンダかんらん岩中に産するざくろ石輝岩のケリファイトをEBSDを用いて調べた結果を報告する。岩石はざくろ石、Cpx,斜長石(Pl, A60)と少量の石英からなる。ケリファイトはOpx, Sp, Plと少量のCpxからなる。この岩石のように,かんらん石がない場合は,ケリファイトはざくろ石単独の分解反応:   Grt → Opx + Cpx + An + Sp で形成すると考えてよい。ケリファイト内部では、Plと紐状のOpxが非常に小さいスケール(1μ以下)で絡み合ってできた放射状構造のマトリクスの中にOpx-Spシンプレクタイトがパッチ状に散在する。このパッチは平均的にはマトリクスの線方向に伸びるように配列する。このOpx-Spシンプレクタイトのパッチのサイズはケリファイトの外側に向かってしだいに大きくなり、最外縁部ではパッチは横方向に連結して、斜長石は存在しなくなる。EBSDを用いて見出された結晶方位関係は次の通り:(1)ざくろ石はケリファイトを構成する鉱物,Opx, Sp, Plとは決まった方位関係にはない,(2)Pl, Opxの結晶方位は広い領域で一定しており「ドメイン構造」を形成する。(3)スピネルの{111} のいずれかがOpxの(100)に一致し、スピネルの{110}のいずれかがOpxの(010)に一致する。(4)Opxが外側のprimary Cpxに隣接するところでは、両者は(100) ,(010) , [001]を共有する。
  • 牲川 菜月, 北村 雅夫, 下林 典正, 三宅 亮
    セッションID: R2-18
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
     オストワルドの段階則に従う結晶化過程の解釈を目的に、結晶相の出現条件に関する一般的理論を構築し、検証実験を行った。準安定相と安定相の関わる結晶化において起こりうる、6つの核形成過程(3次元均一核形成、不均一核形成、均一核成長)を想定し、それぞれの自由エネルギー障壁の大小を比較して、任意の準安定相と安定相の化学ポテンシャル変化の値に対して起こりうる過程を求めた。その結果から、各条件における晶出相と晶出形態を表すダイヤグラムを作成した。得られたダイヤグラム上に系が辿る化学ポテンシャル変化の経路を重ねると、与えられた条件での結晶の形成過程が予言可能となる。逆に、結晶形成のシナリオから、その実現に必要な条件をダイヤグラムを利用して導くこともできる。これから、オストワルド段階則に従う結晶形成に必要な条件を得た。さらに、議論をもとに氷結晶の作製実験を行い、天然に見られる雪の砲弾集合の再現に初めて成功した。
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