日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2016年年会
選択された号の論文の237件中1~50を表示しています
シンポジウム ちきゅう掘削鉱物科学
  • 氏家 恒太郎
    セッションID: SYM-1
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    Japan Trench Fast Drilling Project (JFAST) は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)においてなぜプレート境界浅部が大きく滑り巨大津波を引き起こしたのか明らかにするために実施された。掘削地点は、地震時に最も大きく(約50 m)滑った宮城沖の日本海溝近くのプレート境界である。JFASTでは、掘削同時検層を行って掘削地点における物性・応力状態を把握するとともに、プレート境界からコア試料を採取し地震性滑りメカニズムと摩擦特性の検討を行った。更に、掘削孔内に温度計を設置して残留摩擦熱を計測し地震時の摩擦強度を求めた。その結果、ひとたび地震時に断層の摩擦強度が低下すれば、深部からの破壊伝播を促進しプレート境界浅部でも大きな滑りが生じる得ること、このような浅部巨大地震性滑りは日本海溝のようなスメクタイトを大量に含む遠洋性粘土層に沿って起こりやすいことが明らかになった。JFASTにより、巨大津波の引き金となったプレート境界浅部地震性滑りの成因を解明することに成功した。
  • 亀田 純
    セッションID: SYM-2
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    南海トラフでは、100~200年周期で繰り返し巨大地震が発生しており、その発生機構の理解が望まれる。「南海トラフ地震発生帯掘削計画」は、科学掘削船「ちきゅう」により海底下を掘削し、南海トラフ地震断層の直接観察を試みる国際プロジェクトである。本講演では、このプロジェクトの概要と現在の到達点、またプロジェクトの中で我々のグループが 進めている地質学的な観点からの取り組みなどについて紹介する。
  • 森下 知晃
    セッションID: SYM-3
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    近年の物理探査の結果から,海洋プレートが沈み込む直前のプレート屈曲部における地形的高まり(アウターライズ)から海溝までの張力場で断層が形成され,その断層を水道として,海洋プレートが上部マントルまで大規模に加水している可能性が指摘されている.海洋プレートの加水作用は,海洋プレートの沈み込みに伴う水などの揮発性元素を含む物質供給やアウターライズ近傍で発生する地震活動解明の鍵となる.これらの背景から,北西太平洋域においてプレート沈み込みに伴う屈曲断層に伴う加水作用に関連した予備掘削提案が国際深海科学掘削(IODP)に申請中である.そこで,本発表では,東北沖での沈み込む海洋プレートに関する物理探査成果のまとめと,海洋掘削計画についての概要を中心に紹介する
  • 秋澤 紀克
    セッションID: SYM-4
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    オマーン掘削プロジェクト(ODP)は,陸上に広がるオマーンオフィオライトを用いて,かつての海洋地殻からマントルまで掘り抜き,新鮮な岩石を得ること を目標としている. ODPが掲げる科学目標は,海嶺での海洋地殻形成過程の理解から,その後の海水・陸上にのし上げてからの表層水との相互作用,さらには生物との関わり合いまでを対象とし,オフィオライト掘削でしか達成し得ない分野横断的なプロジェクトである.ODPで得られる岩石の研究は, 早ければ来年には開始することができる.本発表では,ODPを通してどのような科学的成果が期待できるのかということをできるだけ具体的に紹介していくと ともに,その魅力につて紹介していく.
  • 田村 芳彦
    セッションID: SYM-5
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    2013年11月に始まった西之島の噴火現象は,単なる島の拡大というだけではない。西之島で噴火した溶岩はすべて安山岩であった。「安山岩」と花崗岩は大陸の主要成分であり,海洋底をつくる玄武岩とは成分が異なっている。なぜ安山岩マグマが太平洋のただ中で噴出するのか。西之島の噴火のプロセス及び噴出する溶岩が大陸を構成する岩石の生成プロセスを顕わしており,海洋からの「大陸の誕生」を再現している可能性がある。我々の「たいりくプロジェクト」は,「大陸成因の鍵は深山幽谷ではなく,海底火山にある」という信念のもと,西之島調査や海洋島弧の海底掘削調査により大陸のでき方を明らかにしようという試みである。西之島から見えてきた「大陸のでき方」と大深度掘削IBM-4 (ArcHole)による「たいりく全容解明プロジェクト」の関係を議論する。
  • 海野 進
    セッションID: SYM-6
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    超深度マントル掘削計画“M2Mモホール”は,日米欧が協同で実施している国際深海科学掘削計画(IODP)の最重要課題の一つであり,日本が擁する地球深部探査船「ちきゅう」の能力を最大限に発揮することのよってのみ実現可能な巨大科学計画である.日本が中心となって推進する“M2Mモホール計画”は,深さ6 kmを越える海洋地殻を貫通して,人類史上初めて直接マントル物質を回収し,モホの実態と対流するマントルのダイナミクスを理解するとともに,水の起源と全地球規模の炭素循環を解明し,地下生物圏の限界を探ることを目的としている.科学的要請と技術的制約にもとづいてハワイ北方沖,コスタリカ沖,バハカリフォルニア沖の3カ所に候補地を絞り,その中から最終的な掘削地点を決定するために地下構造探査の準備を進めつつある.
S1:火成作用と流体
  • 上木 賢太, 桑谷 立, 岡本 敦, 岩森 光
    セッションID: S1-01
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    機械学習の手法を用いて、含水メルトの非理想性を記述する式とパラメーターの決定を行った。  離散的かつ温度・圧力・組成の幅が限られる実験データから広い条件に適用できる式とパラメーターを決定する必要があるため、クロスバリデーション法(交差検証法)を用いた。クロスバリデーション法とは、データセットを2分割し一方を使用してパラメーター決定を行い、もう一方を用いて式の妥当性(汎化性能)の検証を行う手法である。汎化性能を基準として未知データの再現性を評価することで、広い条件を再現する能力を持つ式を客観的に選択することできる。  マントルかんらん岩や玄武岩の融解実験のコンパイルを行い、教師データとした。想定される係数の組み合わせ全種について汎化性能を比較して最も妥当性の高い係数の組み合わせを選ぶことで、モデル式を選択した。特にH2Oに関係するパラメーターに関しては高次の項も想定して検証を行った。  決定されたモデルを用いてフォワード計算を行った結果、新しいモデルは実験的に求められた含水メルトとオリビンの相平衡を良く再現した。
  • 金井 千鶴子, 栗谷 豪, 中川 光弘
    セッションID: S1-02
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    東北本州弧では地球物理学的観測が盛んに行われており、これまで例えば地震波速度構造からマントル温度の三次元分布を描出する試みがなされていが、それらについての物質科学的な検証はほとんど行われていない。本研究では秋田駒ヶ岳の玄武岩を対象に岩石学的解析を行い、マグマの生成条件を推定することによって、マントルの温度構造に制約を加えることを試みる。推定には全岩のMgO量の高い試料を用いた。まず斜長石とメルトとの平衡関係を利用し、マグマの含水量として3.8 wt.%が得られた。そしてカンラン石最大分別モデルを用いて初生マグマの組成を推定し、ソースマントルの部分溶融度は16%、含水量は0.54 wt.%と推定された。マグマの生成場では、0.54 wt.%の含有量をもつ枯渇マントルが16%融解する条件と、初生マグマがカンラン石と平衡共存する条件とが満たされることから、その条件として温度:1298℃、圧力:14.2 kbarが計算で得られた。以上から、秋田駒ケ岳の深さ約45 kmにおける現在の温度条件は約1300℃であるとの制約が本研究で得られた。この温度条件は、先行研究に比べ100℃以上高温である。
  • 栗谷 豪, 中川 光弘
    セッションID: S1-03
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    スラブ深度が300 kmに達する利尻火山のマグマ活動の誘因を理解するために、同火山の玄武岩質溶岩(野塚溶岩)を対象に岩石学的・地球化学的解析を行った。同溶岩で最もMgO量の高い試料を対象に解析を行った結果、マグマの生成を引き起こしたスラブ流体のH2O/Ce比は2000-3000程度であると推定され、850–890°Cの温度条件でスラブから分離したことが示唆された。この温度は数値的手法に基づいた千島弧のスラブ表面の温度推定値よりも100℃以上高温であった。この結果と、最新の地震波トモグラフィの解析結果から、島弧会合部で湾曲したプレートの内部に亀裂が入り、そこに下部から高温のマントル物質が局所的に貫入して、その熱によって異常な量の流体相が生成され、マグマ活動が引き起こされたことが示唆された。
  • 越後 拓也, 西間木 志野, 星野 美保子, 木股 三善, 清水 雅浩, 齋藤 静夫, 西田 憲正
    セッションID: S1-04
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    We examined mineral and melt inclusions in anorthite megacrysts from Ogi Peninsula, Niigata, Japan. The dominant mineral inclusions are Fe-Cu-Ni-sulfides that occur with mafic melt inclusions. In addition, volatile components such as S and Cl were detected in the melt inclusions. These results suggest that the present anorthites have grown in volatile-rich condition owing to the mixing of crustal components into basaltic magma chamber.
  • Perez Americus, Umino Susumu, Yasuda Atsushi, Ishizuka Osamu, Taylor R ...
    セッションID: S1-05
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    We report major element chemistry and dissolved water contents of glassy pillow lava margins from the Troodos Ophiolite. The sampled glasses are basaltic andesites, boninitic basaltic andesites and evolved andesite and dacites. H2 O content of basaltic andesites ranges from 1.5 to 2.5 wt%. Temperature estimates for the primitive boninitic samples are within 1130 to 1190C. Saturation pressures calculated using VolatileCalc at variable CO2 contents are within 300 to 550 bars.
  • 潮田 雅司, 高橋 栄一, 鈴木 敏弘, 浜田 盛久
    セッションID: S1-06
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    三宅島火山において最も未分化な噴出物のひとつである大船戸期スコリアを用い、マグマ溜まりの条件を決定するために高温高圧含水融解実験を行った。 また、大船戸スコリアの噴火過程におけるタイムスケールの理解のために斑晶ゾーニングプロファイルの解析を行った。 大船戸期スコリアの斑晶はかんらん石と斜長石であり、すべて正累帯構造を持つ。大船戸スコリアの斑晶組み合わせ、組成を再現した条件は、圧力がおよそ150MPa、温度がおよそ1100°C、メルト中の含水量がおよそ3wt.%であった。 斑晶リムはおよそ30-50μmの厚さである。斑晶リム組成は、石基の微斑晶組成と近い組成を持つ。マグマが噴火前にマグマ溜まりから浅所に上昇し、脱ガスすることでこのリムが成長したとする。かんらん石のゾーニングプロファイルが拡散によりなまされたと仮定して浅所での滞留時間を求めると、数日から十数日という時間が見積もられた。
  • 吉村 俊平, 中川 光弘
    セッションID: S1-07
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    珪長質マグマの非爆発的噴火を説明するには,浸透流脱ガスとマグマの圧密を組み合わせたフォームコラプスが起こることが必要とされている.しかし,天然のマグマにはフォームコラプスが起きたことを示す証拠は見つかっていない.本研究では,流紋岩質溶岩(新島向山火山)の観察および塩素濃度マッピングを行い,フォームコラプスの痕跡を探した.その結果,気泡に向かって塩素が拡散している様子や,気泡が圧密していることを示す塩素分布が発見された.以上のことから,フォームコラプスが進行していることが明らかになった.
S2:岩石─水相互作用
  • 大柳 良介, 岡本 敦, 土屋 範芳
    セッションID: S2-01
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    本実験では,天然のマントル-下部地殻境界における熱水変質速度を明らかにするために,反応溶液として純水を用いた,かんらん石-石英-水系の水熱実験を行い,反応進行度の空間分布・速度論解析を行った.結果,石英との境界から反応生成物の系統的な変化が観察された.かんらん石の最も石英に近い領域では滑石,離れると滑石と蛇紋石の混合物,より離れると蛇紋石のみが生成した.ブルース石は観察されなかった.かんらん石側において,滑石は石英との境界から約1.0 mm以内に観察された.一方,石英の領域では,かんらん石との境界から約0.5 mm以内に滑石が生成した.
  • 矢野 実, 磯部 博志
    セッションID: S2-02
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    C及びCO2が存在する熱水条件下で硫酸酸性溶液を用いたfayaliteの熱水反応実験を行った。出発物質は,Mnを約18.5mol%含む天然のfayaliteである。粒径50~60μmまで粉砕し,pH1,3の硫酸溶液または,pH7の蒸留水と反応させた。CO2:1.74mg,graphite:1.5mg,fayalite:8mg,溶液:16mgを金キャプセルに封入し,温度150,200または250℃,期間1,4または16週間の実験を行った。 実験生成物の走査電子顕微鏡観察の結果,fayalite粒子表面ではMn、Feが溶け出し,Siに富む層やMn,Siが溶け出してFeに富む溶脱層が形成されていた。二次的な生成物相としてFe-Mn炭酸塩や鉄酸化物,シリカが主に観察された。pH1では特徴的な針状の鉄酸化物微粒子が生成された。炭酸塩の組成はMnに富むものからFeに富む組成へ変化する傾向を示したが,pH3,7の150℃では時間とともに組成範囲が広がっていた。硫酸はケイ酸塩鉱物中のFe2+を酸化して鉄酸化物を作るが,CO2雰囲気下でのCの存在が硫酸による鉄酸化物の形成を阻害したと考えられる。
  • 奥地 拓生, プレジャブ ナランゴー, 柴田 薫
    セッションID: S2-03
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    Hydrogen diffusion may play a key role in dehydration processes of hydrous minerals. It has been desired to observe the dynamics of hydrogen cations or their vacancies moving within the structures of dehydrating minerals. Here we apply high-resolution quasielastic neutron scattering for analyzing time and distance scales of hydrogen diffusion in brucite at temperatures to 330 K. A very mobile nature of interstitial-type hydrogen and its potential role in dehydration are revealed and discussed.
  • 石川 慧, 佐久間 博, 土屋 範芳
    セッションID: S2-04
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    鉱物の粒界やき裂の間隙のような狭い領域に存在する水は、固体表面との相互作用により通常のバルク水とは異なる性質を持つことが知られている。本研究では古典分子動力学(MD)計算を用いて、石英表面の界面水の物理化学特性を、様々な温度圧力条件で評価した。  石英 (1010) 面にシラノール基で終端した表面モデルを作成し、この石英面間が0.5 nmから10 nm程度になるように水を挟み込むシミュレーションモデルを作成した。
    298-573 Kの条件でシミュレーションを行ったところ、厚さ1 nm以下の薄膜水の自己拡散係数はどの温度でも著しく低く、厚さが4 - 5 nmを超える薄膜水ではバルク水とほぼ変わらない値になった。また厚さが5 nm程度の薄膜水において、石英表面近傍の1 nm程度の範囲で水分子が2, 3層の層状構造を形成しており、その範囲で徐々に自己拡散係数が低下していることが分かった。これらの特徴は、高温のシミュレーション結果においても確認された。  
  • 阿部 なつ江, 廣瀬 丈洋, 多田井 修
    セッションID: S2-05
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    大西洋中央海嶺30°Nの海洋コア・コンプレックス(Atlantis Massif)では、海底下1415mまでの海洋地殻掘削(IODP Exp. 304/305)が行われ、約80%の高い回収率で海洋地殻物質を採取した。試料は斑れい岩類で、狭義の斑れい岩(Cpx+Pl)から非常にかんらん石(以下Ol)に富む(>70 vol%)トロクトライトまで多様なモード組成を示し、平均的なOlモードは10%以上になる。またそのOlは、他の鉱物と比べて低温変質(蛇紋石化)率が高い傾向がある。  一方、船上におけるコア試料(2 cm角立方体)の弾性波速度計測値は、岩相の違い如何によらず5.0~6.7 km/sを示しており、斑れい岩の平均的な弾性波速度として用いられる6.0~7.0 km/sや、インド洋において掘削された斑れい岩コア試料(Hole 735B)のそれ(6.0~7.3 km/s)よりも平均で約1 km/s遅い。船上計測・記載データを詳細に解析した結果、同じ斑れい岩でも、そのOlモード量(及び蛇紋岩石化率)が、弾性波速度の多様性に大きく貢献していることが分かった。
  • 西山 直毅, 佐久間 博
    セッションID: S2-06
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    圧力溶解変形は割れ目や断層ガウジの間隙率を減少させ、浸透率の減少・流体圧の増加、ひいては断層の摩擦強度低下につながる。粒間に存在する水を介した物質輸送(拡散)によって圧力溶解変形は進行するため、粒間水における拡散特性の知見は重要である。本研究は分子動力学(MD)計算を用いて、石英粒間水中の溶存SiO2の拡散係数を評価した。
    溶存SiO2の拡散係数は粒間水の厚さに依存し、厚さが0.5 nmのとき、表面のない自由水中と比べて最大で一桁程度小さくなることが分かった。粒間水中の拡散係数の温度依存性は、自由水中とほぼ同じであった。得られた拡散係数を用いて、圧力溶解による砂岩の間隙率・浸透率の時間変化を計算し、圧力溶解を受けた天然の砂岩(北海、ジュラ紀)の測定値と比較した。計算した浸透率は、測定値とおおまかに一致し、得られた拡散係数によって地殻における圧力溶解変形とそれに伴う間隙率や浸透率の変化を予測できる可能性が示唆された。
  • 藤田 和果奈, 中村 美千彦
    セッションID: S2-07
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    In order to investigate the mechanism of fluid expulsion from polycrystalline aggregates, we carried out sintering experiments of quartzite with variable XCO2 (CO2/H2O+CO2). When XCO2=0, fluids were expelled through interconnected networks to the upper part of the experimental capsules within 192 h. When XCO2=0.39-0.79, fluids were retained among the quartzite grains by forming intergranular fluid pockets. These pockets were formed by rearrangement and coagulation of fluid filled pores.
  • 清水 正太, 土屋 範芳, 山田 亮一, 宇野 正起
    セッションID: S2-08
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    在、日本における既存の地熱開発は岩石が脆性的な挙動をする領域で行われている。さらに大きなエネルギーを得るため、本研究では岩石が延性的な挙動をする領域を対象とする。既往の研究から深部地熱資源は静岩圧下で存在すると考えられており、深部地熱開発に向けて静岩圧-静水圧境界のより詳細な知見を得ることが求められている。研究対象地域は秋田県中央部田沢湖複合岩体の東部に位置する大水端・小水端・小波内花崗岩体であり、先新第三紀の花崗閃緑岩からなる基盤岩と、これを被覆している新第三紀の安山岩及び凝灰岩からなる。野外調査の結果、安山岩との境界部の花崗岩類は珪化しており、その境界部分には斑岩がみられた。また、珪化に伴うCu-Moなどの鉱化作用も見受けられた。このほか、数種類の石英脈やガラス質脈、熱水角礫岩脈が存在しており、流体包有物試験によってバイモーダルな均質化温度が得られた。加えて、地質温度圧力計により各鉱物脈が形成したPT 条件を求め、各鉱物脈が形成したプロセスと静岩圧-静水圧遷移を対比し、深部地熱資源の形成モデルを提示する。
  • 田中 寛人, 岡本 敦, 渡邉 則昭, 土屋 範芳
    セッションID: S2-09
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    地殻においてき裂は流路として機能し、熱やエネルギーの移動に大きな影響を与えている。シリカ溶解度の変化は溶解・析出プロセスを支配し、き裂透水率変化において大きな役割を果たしている。しかし封圧存在下でのき裂内部における溶解・析出プロセスは研究例が少なく、不明点が多い。本研究では、新造の流通式水熱反応装置を用いた溶解・析出実験を行った。花崗岩に発生させた引張き裂に純水またはシリカの過飽和溶液を流通させ、高温高圧条件における鉱物の溶解や析出による透水率やき裂構造の時間変化を分析した。溶解実験では、1.室温での封圧下流通実験, 2.350℃での無流通実験, 3.350℃での流通実験 の3つの段階に分けて実験を行った。1、2では、透水率の連続的な減少が見られた。これはき裂導入時に発生したガウジ(花崗岩の粉)が、封圧により圧密された。3においては、ガウジ部分で激しい溶解がおき高速流路を形成していた。析出実験の結果、き裂内部にシリカが析出し、ごく短時間に透水率が大きく下がる様子が見られた。析出はき裂全体で発生し、封圧による透水率減少よりも遥かに強く透水率に影響していた。
  • 最首 花恵, 岡本 敦, 大坪 誠
    セッションID: S2-10
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    Many quartz veins that filled mode I cracks (extension quartz veins) can be observed in the hanging wall and footwall of the Nobeoka Thrust. In this study, the equilibrium and kinetic model of the formation of the extension quartz veins along the Nobeoka Thrust were estimated to consider the relationship among the distribution of quartz veins, the time scale of crack sealing and the cycle of seismic activities.
  • 石山 悠和, 河上 哲生, 平島 崇男
    セッションID: S2-11
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    沈み込み帯での岩石-水相互作用の理解のため、四国中央部三波川変成帯別子地域の「端出場メランジュ帯」の記載岩石学的研究を行った。本地域では、蛇紋岩や石灰質片岩が泥質片岩中にレンズ状に産し、岩相境界に反応帯が形成され、電気石濃集層が存在する。そこで本研究では、電気石濃集層を用いて、含ホウ素流体流入のタイミング制約を試みた。電気石濃集層が存在する試料と存在しない試料の比較から、泥質片岩中の非濃集層の電気石は、濃集層の電気石よりも高温で形成され、濃集層の電気石が成長した際には、顕著な温度変化はなかったことがわかった。アクチノ閃石岩中の濃集層の電気石に包有される角閃石の組成や、濃集層の電気石が東西方向にブーダン化していることなどから、含ホウ素流体は、本地域の変成ピーク後、かつ主片理Ss形成後に流入し、その後もDs変形が続いたと考えられる。カリ長石脈が電気石を一部置換することは、電気石を溶解させるアルカリ性流体が、岩体上昇の最後期に流入したことを示す。カリ長石脈がDs変形によって形成された圧力溶解へき開を持つことから、Ds変形は従来考えられていたよりも低温・低圧まで続いていた可能性がある。
  • 岡本 敦, 清水 浩之
    セッションID: S2-12
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    沈み込み帯における累進変成作用により放出された水は、高ポアソン比として観測され,地震を引き起こす原因とも考えられているが、流体圧や流体移動の実態は明らかではない.本研究では,高圧変成岩のざくろ石組織と離散要素法モデリングにより、脱水反応による流体圧変化と流体流動について検討した.四国三波川帯のざくろ石帯のメタチャートには、多量の石英包有物を含む,スケルタルざくろ石が存在する.石英包有物は、パンケーキ状の形態を示し,ランダムな結晶方位を示し,ざくろ石成長時に,粒界で割れながら取り込まれたことを示唆する.一方,泥質片岩中のざくろ石は自形的で包有物をほとんど取り込んでいない.破壊-流体流動-反応を組み込んだDEMモデルにより,ざくろ石のスケルタルのような破壊組織は,(1)反応が正のクラペイロンカーブを持ち、(2) 無反応のマトリックス鉱物で囲まれ、(3) 粒界が割れやすい場合にのみ,形成されることが示唆される.このような反応条件はまれであり、多くの場合、流体圧は上昇しにくい。また、反応時の差応力と透水率の異方性についても検討する.
  • 川本 竜彦
    セッションID: S2-13
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    沈み込み帯マントルウェッジから捕獲されたカンラン岩と、沈み込みチャネルの高圧変成岩の中に存在する流体包有物の塩濃度を測定している。沈み込み帯流体の塩濃度に関して、これまでに測定した例と、従来報告されている研究例を総括し、沈み込み帯流体が海洋からサブダクションチャネル、マントルウェッジを経て火山へ循環する仮説を提案する。
  • 宇野 正起, 岡本 敦, 土屋 範芳
    セッションID: S2-14
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    To investigate the controlling factors of reaction-induced stress and strain during hydration reactions, the reaction-induced stress and strain were directly measured in CaSO4–H2O system. The results show that reaction-induced stress and strain are primarily controlled by the competitions between reaction rate and deformation rate. This competition determines fracture generations and permeability enhancement, and thus can contribute to the fluid distribution within the wedge mantle and crust.
  • 平野 伸夫, 青島 聡, 岡本 敦, 土屋 範芳
    セッションID: S2-15
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    これまで.我々の研究グループは高温高圧環境下にある岩石試料に対し,それよりも低温の流体を接触させた場合,あるいは,高温高圧環境下からの急減圧にともなう流体の沸騰によって,岩石試料に熱応力が主因と考えられるき裂が発生する事を報告してきた.この現象は,鉱物脈の形成メカニズム,あるいは地熱開発における新たな技術開発へ応用できる可能性がある.花崗岩に設けた模擬ボアホールを用いて,高温高圧環境からの急減圧をおこなった結果.ボアホール周辺へのき裂発生や空隙率の増加,P波速度の低下などが観察された.これらの結果からこの現象は,地熱貯留層開発や地下深部掘削に適用できる可能性があるといえる.
  • 吉田 健太, 桑谷 立, 中村 仁美, 原口 悟, 風早 康平, 高橋 正明, 岩森 光
    セッションID: S2-16
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    近年,温泉水の地球科学的特徴を沈み込み帯の物質循環と関連させる研究が注目されつつある.従来の研究では,深部流体の特徴は酸素水素安定同位体組成や特定の鍵となる元素(Li-B-Clなど)に注目して行われてきたが,水の化学組成は10を優に超える元素のデータを含む本質的に高次元のデータセットである.このような高次元データが保持する情報をなるべく損なわずに,特徴を抽出することを目的として,日本全国の温泉水・地表水の化学組成をまとめた大規模データベース(高橋ほか,2011,産総研深層地下水データベース)に対して,主成分分析(PCA)および独立成分分析(ICA)を適用した.発表ではPCA・ICAの相違点や,採水地地質との関連などを議論する.
  • 磯部 博志, 鳥井 真之
    セッションID: S2-17
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    2016年4月16日未明の平成28年熊本地震により,阿蘇中央火口丘群西麓の比較的緩傾斜の地域において地すべり災害が多発し,甚大な被害をもたらした。緩傾斜地における地すべりの発生と,火山性堆積物の風化・変質生成物の関係について予察的調査を行った結果を報告する。南阿蘇村河陽のなだらかな丘陵地周辺部で発生し,被害をもたらした複数の流動性地すべりについて,すべり面とその周辺の泥質火山灰層試料について粉末X線回折法による解析を行った結果,これらは降下火山灰の変質生成物であり,膨潤性粘土鉱物であるハロイサイト(10Å)が卓越していることが示された。地震直前1週間に降雨はほとんど無かったこと,平滑なすべり面が草千里降下軽石層付近の複数の層準で生じていること,明瞭な降下軽石層が存在しない領域でも起こっていることは,本地域での大規模な地すべりが強い地震動によって変質火山灰層に起こった流動化が引き金となって起こった可能性を示唆している。
  • Mindaleva Diana, 宇野 正起, 岡本 敦, 東野 文子, 土屋 範芳
    セッションID: S2-P01
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    Hydration is one of the important process involves fluids movement causes changes in the mass balance and redistribution of elements, as well as formation of new minerals. Pyroxenite that are partly hydrated along veins was collected from Mefiell, East Antarctica. By using hornblende-plagioclase thermometer and Al in hornblende geobarometer formatting conditions of hydrated minerals were estimated to be ~ 6 Kbar, 650±50°C, which was equivalent to the metamorphic conditions of the pyroxenite.
  • Hamdy Mohamed, Gamal El Dien Hamed, Morishita Tomoaki
    セッションID: S2-P02
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    Studied peridotites have subject to a series of serpentinization and carbonation. It was estimated that the peridotites were serpentinized mostly through interaction with magmatic and metamorphic fluides and sbjected to carbonation by magamtic and basaltic oceanic crust carbon.
  • GHOSH Biswajit, MORISHITA Tomoaki, TAMURA Akihiro, SODA Yusuke
    セッションID: S2-P03
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    Titanian andradites up to 15.14 wt.% TiO2in chromitite from Nagaland ophiolite, India have been investigated. They are euhedral, complexly zoned and occur typically either as veinlets or in granular aggregates within serpentine-rich veins traversing the chromitites. Major element analysis and elemental mapping across the grains demonstrates several titanium pulses during their growth. Trace element analysis indicates sharp positive europium anomaly and negative strontium anomaly.        
  • Torabi Ghodrat, Morishita Tomoaki, Arai Shoji
    セッションID: S2-P04
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    The Jandaq ophiolite
    has suffered different types and phases of metamorphism. In this ophiolite,
    gabbroic dikes and plugs cross cut the mantle peridotites. Minerals of metagabbros
    are clinopyroxene, amphibole, plagioclase, titanite, prehnite, epidote,
    magnetite and calcite. Joints and cracks of gabbroic intrusions are filled by hydrothermal
    minerals. These hydrothermal veins are consist of clinopyroxene, garnet,
    epidote, prehnite, chlorite and calcite, and are light in hand specimen.
  • 曽田 祐介, 横山 寛紀, 水上 知行, 森下 知晃
    セッションID: S2-P05
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    ウェッジマントル-沈み込む海洋プレート境界部に形成される,アンチゴライト蛇紋岩について,四国中央部の東赤石岩体のものを例として,岩石学的解析を行った.アンチゴライトの化学組成とクロムスピネルの変質には,(1)Al-Crに富むアンチゴライトとCrに富みFe3+に乏しい変質クロムスピネルの形成,(2)片状構造をつくる比較的ピュアなアンチゴライトと磁鉄鉱に近い変質クロムスピネルの形成の2つの段階に分けることができる.硫化鉱物組は,(1)から(2)になる過程で,ペントランド鉱が酸化によって分解している.磁鉄鉱は,(1)の段階では形成されておらず,このときの還元的な状態は,低温型蛇紋石で言われるような蛇紋岩化時の還元流体の痕跡ではなく,もともとのかんらん岩の還元状態である.
  • 飯田 健介, 安東 淳一, 大藤 弘明, Das Kaushik
    セッションID: S2-P06
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    アンチゴライト蛇紋岩はマントルウェッジにおける上部マントル岩石の対流や温度構造などに大きな影響を与えていると考えられている。本研究では、海洋プレートの沈み込みに伴って塑性変形した記録を有するアンチゴライト蛇紋岩の変形微細組織を観察し、その塑性変形特性を解明することを目指している。
    本研究において蛇紋岩試料が採取されたErro-Tobbioカンラン岩体の変形履歴は次のように考えられている。変形時階1:ジュラ紀にヨーロッパプレートからアドリアプレートが分離した際に剪断変形を受けながら上昇し、海洋地殻中で含水作用により蛇紋岩化した。変形時階2:白亜紀にヨーロッパプレートとアドリアプレートの収束に伴って沈み込み帯が形成され、海洋プレートの一部として剪断変形を受けながら沈み込む。変形時階3:大陸プレート側に付加され、地表へと上昇に転じる。ここで重要な点は、各変形時階の変形は限られた領域に集中し、それ以外の領域では古い変形時階において形成された変形組織が保存されていることである。本研究では、変形時階1と2中に形成された組織を残す領域から試料が採取され、各々の変形履歴に対応した組織を観察した。
R1:鉱物記載・分析評価
  • 北脇 裕士, 久永 美生, 山本 正博, 岡野 誠, 江森 健太郎
    セッションID: R1-01
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、中国で製造された宝飾用のメレサイズの無色HPHT合成ダイヤモンド45石の物性評価を行い、天然ダイヤモンドとの重要な識別特徴について検討した。これらはすべてラウンドブリリアントカットが施された裸石で、重量は0.0075~0.023ct(およそ直径1mm~2mm)であった。標準的な宝石学的検査においては、金属溶媒に由来する包有物や磁性の存在、短波紫外線下における明瞭な燐光が識別の手掛かりとなり、PL分析や紫外線ルミネッセンス像の観察において確実に識別することが可能となる。これまで合成ダイヤモンドの宝飾用への利用は限定的であった。しかし、最近になって中国で製造されたメレサイズのHPHT法合成ダイヤモンドがセッティングされたジュエリーから発見される事例が急増している。個々の合成石は標準的な宝石鑑別手法とラボラトリーの分析を組み合わせることで看破は可能である。ダイヤモンドの出所に関する正確な情報開示と適切なスクリーニングが重要である。
  • 江森 健太郎, 北脇 裕士
    セッションID: R1-02
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    アメシスト等の水晶類は合成石の流通量が多い宝石素材であり、天然・合成の判別の困難な合成石が多く、より精度の高い鑑別法の確立が求められている。本研究において、LA-ICP-MSを用いて 7Li, 9Be, 11B, 23Na, 27Al, 39K, 45Sc, 47Ti, 66Zn, 69Ga, 72Ge, 90Zr and 208Pbの定量分析を行い、線形判別分析を行った結果、天然・合成を判別するよい指標になることが判明した。
  • 三宅 亮, 伊神 洋平, 瀧川 晶
    セッションID: R1-03
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    SEM像とEBSPから得られた結晶方位との関係が正しくない場合があるという問題が指摘されている。我々は、この問題の対応策の検討を行い、正しい方位関係は、先に述べた取得後のデータ・画像を変換する方法、多くの場合はSEM像を紙面に垂直に180度回転、以外に、EBSP取得時にサンプル傾斜方向・検出器方向のパラメーターを正しく入れることによっても、得られることがわかった。我々が提案するSEM像とEBSDで得られる方位を一致させるサンプル傾斜方向・検出器方向のパラメーター(Sample tilt, Detector orientation)は、通常の反射法によるEBSD法において、 Sample Tilt (degree)= -70 Detector Orientation (degree) = (180,90(102),0) である。
  • 長瀬 敏郎, 野崎 達生, 石橋 純一郎, 山田 亮一, 高井 研, 川口 慎介, 栗林 貴弘
    セッションID: R1-04
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    IODP Exp. 331の掘削により沖縄トラフ伊平屋北海丘には複数の人工熱水孔が形成され,ここではチムニー (Zero-age chimney) が急速に成長している様子が観察されている.これまでの研究により,この試料中にはウルツ鉱が普遍的に見いだされている.形成時期がはっきりとし再結晶作用を受けていないチムニー中のウルツ鉱を観察することは,準安定条件下でのウルツ鉱の形成過程を知る上で非常に重要である.形成過程ならびに成長機構を推測するために,このウルツ鉱試料の組織について結晶学的な解析をおこなった。
  • 白勢 洋平, 上原 誠一郎
    セッションID: R1-05
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    リシオフォライトは理想化学組成(LiAl2)(Mn4+2Mn3+)O6(OH)6ので示され,MnO6八面体シートと(Al,Li)(OH)6八面体シートからなる層状鉱物である。長垂ペグマタイトから産する塊状-膜状のリシオフォライトは,直径1 µm,厚さ500 nm前後の微細な円盤状結晶の集合からなっていた。その化学組成は(Li1.00Al2.00)Σ3.00(Mn4+2.00 Mn3+0.86Fe3+0.03Al0.11)Σ3.00O6(OH)6であり,格子定数はa = 2.921(5),c = 28.44(5),V = 210.1(7)となった。TEM/STEM観察の結果,STEM-HAADF像よりMnO6八面体シートと(Al,Li)(OH)6八面体シートが交互に積層した構造を確認できた。また,HRTEM像では[110]方向への1.47 Åと,その三倍の4.40 Åの周期があり,(Al,Li)(OH)6八面体シート内での秩序配列が生じていると考えられる。c軸方向へは局所的に秩序配列しているものの積層不整も多い
  • 浜根 大輔, 皆川 鉄雄
    セッションID: R1-06
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    神南山東側中腹には愛媛県西部では最大の銅鉱山となる大久喜鉱山がかつて在り,その支山が山中に点在している。それら支山の調査を行ったところ,鉄・マンガン鉱石を主とする鉱床を発見し,鉱石を切る石英脈中に黄褐色葉片状の鉱物を見いだした。その多くはバナジウムアルデンヌ石/Ardennite-(V)であったが,一部には多量のCaが含まれ,それは新鉱物に相当することが判明した。産地である神南山にちなみ,名前を神南石/Kannanite (IMA2015-100)と命名し,2016年2月に国際鉱物学連合の新鉱物命名委員会より新種の承認を受けたのでその詳細を報告する。神南石はバナジウムアルデンヌ石のCa置換体に相当する。
  • 坂野 靖行, 山田 滋夫
    セッションID: R1-07
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    和歌山県飯盛鉱山産石英片岩中のMnに富む角閃石のEPMA分析を行った.角閃石は不均質で,M4席のMnは0.00から1.81 apfuまでほぼ連続的に変動し,その組成範囲は苦土リーベック閃石 から末野閃石(マンガノカミントン閃石)に及ぶ.
  • 宮島 宏
    セッションID: R1-08
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    長野県松本市安曇地区(旧安曇村)の白骨温泉は、江戸時代前期、将軍徳川綱吉の時代に開湯した、著名な温泉である。温泉の湧出口の周囲に炭酸カルシウムが沈澱して高まりをなす噴湯丘と、湧出口付近の湯だまりにできる球状(直径1-10mm、最大40mm)の炭酸カルシウムである「球状石灰石」は、その特異な形態から古くから注目され、1923年に国の天然紀念物となり、1952年には国の特別天然記念物に指定されている。 しかしながら、その岩石鉱物学的な性質はほとんど明らかにされていなかった。今回、松本市教育委員会の委嘱を受け、特別天然記念物保存管理計画策定委員となり、環境省と文化庁の許可を得て調査することができたので、その結果について報告する。
  • 橋本 諭, 森下 知晃, 田村 明弘, 曽田 祐介, 針金 由美子, スノウ ジョナサン
    セッションID: R1-09
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    本発表ではガッケル海嶺から採取された深海性かんらん岩試料の記載岩石学的特徴を報告する.かんらん岩試料は,プロトグラニュラー,ポーフィロクラスティック,マイロナイト組織を呈するものまで様々である.試料中にはスピネル-斜方輝石から成るシンプレクタイト組織が認められる.単斜輝石の希土類元素パターンでは,他の海域からも観察される軽希土類元素に枯渇するパターンと,軽希土類元素の減少が見られないフラットなパターンが認められた.フラットなパターンを示す単斜輝石を含む試料の特徴としては,スピネルの粒径が他のサンプルと比べ比較的大きいことが挙げられる.また別のサンプルではZr、Tiの減少が見られない微量元素パターンも認められた.このサンプルの特徴としてはスピネルが最も多く見られ、単斜輝石に乏しいという特徴が見られる.本発表では,マイロナイト中の鉱物化学組成の成果も含めて,これらのパターンの多様性について議論する.
  • 門馬 綱一, 松原 聰, 宮脇 律郎, 佐野 貴司, 重岡 昌子, 堀内 弘之
    セッションID: R1-10
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    ブラジルミナスジェライス州アラシャのアルカリ・カーボナタイト複合岩体のNb鉱床から、特異的なパイロクロアが見いだされた。Ceに富む部位とBaに富む部位は、それぞれ、(□,Ce,Ba)2(Nb,Ti)2O6(OH,F)と(H2O,Ba,Ce)2(Nb,Ti)2O6(H2O)の化学式で表され、現行のパイロクロア超族の分類定義に依れば、後者はhydropyrochloreの空孔が少なくBaに富む変種であるが、前者に相当する鉱物種は無いので、新種として定義されるべきものになるただし、パイロクロア超族の命名基準が確立されているので、必然的に”hydroxylkenopyrochlore”と呼ばれることになる。結晶構造解析の結果は、それぞれhydrokenoelsmoreite [□2W6+2O6(H2O)]とHydropyrochloreの既報の解析結果と調和的である。
  • 宮脇 律郎, 門馬 綱一, 松原 聰, 重岡 昌子, 岡本 鑑吉, クリスチャンセン ロイ
    セッションID: R1-11
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    ノルウェイ産のBを伴う興安石類縁鉱物は、対称性の低下がダトー石成分の増大に伴う固溶体でも生じることを示した。このREEとCaの秩序化がCaによる置換が顕著な興安石やその類縁鉱物で必然であるかどうかが問題となる。
  • 篠田 圭司, 小林 康浩
    セッションID: R1-P01
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    2014年日本鉱物科学会年会において、顕微メスバウアー分光器の製作と比例検出器を用いたガンマ線焦点サイズの検討を行った。今回は比例検出器に比べてエネルギー分解能のよい半導体検出器を用いて顕微メスバウアー分光器のガンマ線焦点サイズ評価を行ったので報告する。
  • 瀬戸 雄介, 松本 恵
    セッションID: R1-P02
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    Electron diffraction is one of the most powerful tool for mineral phase identifications and crystal orientation analyses on nanometer scales, although its application requires a certain degree of crystallographic geometry and diffraction theory. In the present study, an algorithm of semi-automatically indexing for electron diffraction pattern were developed. It enables us to index complex pattern from multiple crystalline phases.
  • 藤田 陽平, 奥寺 浩樹
    セッションID: R1-P03
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    ガンドルフィカメラは微小かつ希少な結晶試料の相同定に古くから用いられてきた。一方で、各々の粒子から得られるディフラクトグラムは、一粒あるいは数粒の粒子から収集されるパターンを使用する際に正確に予測しなければならない。一つのブラッグ点から形成される回折円錐を、散乱ベクトルとカメラの回転2軸のうちの一方(A”軸)との間の角度の関数として、予測することに成功した。ブラッグ反射のうち一つはA”軸上、その他はA”軸から60°離れたブラッグ点におけるブラッグコーンを予測した。

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