日本鉱物科学会年会講演要旨集
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選択された号の論文の197件中151~197を表示しています
R6:深成岩・火山岩及びサブダクションファクトリー
  • 吉田 拓真, 柴田 知之, 杉本 健
    セッションID: R6-P12
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    九州北西部には新生代のプレート内火山が広く分布し、島原半島も分布域の一つである。島原半島に分布する、先雲仙火山の玄武岩と安山岩と雲仙火山の安山岩とデイサイトの起源物質について定量的に議論するため微量元素分析を行い、Sugimoto et al. ( 2005; unpublished )による主成分元素と87Sr/86Sr比とともに解析した。先雲仙玄武岩は軽希土類元素とNbに富み、Pbに正異常な微量元素パターンを示した。このパターンは、停滞スラブ起源の物質がマグマの起源に寄与すると考えられている、中国北東部に分布するプレート内火山と類似している。平衡溶融モデル計算を行った結果、初生的な先雲仙玄武岩の微量元素パターンは90 - 95%の枯渇マントル成分のメルトと5-10%の停滞スラブ成分のメルトの混合で再現することができた。一方で、先雲仙安山岩と雲仙安山岩・デイサイトはLILEに富みHFSEに枯渇した島弧型の微量元素パターンを示した。島原半島ではフィリピン海スラブは到達しておらず、これらのマグマの成因に島弧型マグマの特徴を持つ地殻物質が寄与している可能性が高い。
R7:岩石・鉱物・鉱床一般(資源地質学会共催セッション)
  • 堤 之恭, 谷 健一郎
    セッションID: R7-01
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    We investigated U-Pb age of detrital zircons from accretionary complexes in the Amami Oshima Island. Four samples were from the Amami and Naon complexes which attribute to Shimanto and Chichibu complexes, respectively. Similar age distributions of the samples showed the deposition age and provenances are not so different between the samples. Considering the youngest zircon(s), it is thought to be that the accretionary age of at least a part of the Naon Complex is after late Early Cretaceous.
  • 小河原 孝彦
    セッションID: R7-02
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    糸魚川市にあるフォッサマグナミュージアムは,糸魚川ユネスコ世界ジオパークの中核施設であり,市民に広く開かれた博物館を目指し,海岸などで採集した石の名前の鑑定を窓口で学芸員が行っている.この石の鑑定は近年増加傾向にあり,博物館側では対応に苦慮している.今回の研究では,海岸の礫の写真からヒスイの自動判別ができる機器を開発し,学芸員の代わりとなる人工知能による機械学習を利用した石の鑑定の可能性を検討した.

     本研究では,googleのTensorFlowを利用し,糸魚川の海岸で採取した礫の13,000枚の写真を,ヒスイとヒスイ以外の岩石として,NASNetに転移学習させた.

     NASNetに転移学習させた結果,20,000回の学習で,ヒスイとヒスイ以外の岩石の認識率は約96%となった.教師画像とは別の画像を用いて,認識率の確認をしたところ,20枚の写真を用いたヒスイの的中率は95%であり,13枚の写真を用いたヒスイ以外の岩石の的中率は100%であった.

     今回の研究から,人工知能を用いた画像の深層学習によって,ヒスイとヒスイ以外の岩石の認識が可能であることが明らかとなった.
  • 大藤 弘明, 福庭 巧祐, 西山 忠男
    セッションID: R7-03
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    近年,日本の九州地方に分布する肥後変成岩および西彼杵変成岩中からもダイヤモンドと考えられる炭素物質が発見され,注目を浴びている.いずれの試料の場合も同定の決め手は,顕微レーザーラマン分光測定において,ダイヤモンドに特有の1330-1332cm-1のピークが認められたことであった.この観察の直後から著者らはそのようなダイヤモンド様の物質の直接観察を目指して,外部からのコンタミの可能性などにも注意を払いながら慎重に観察試料を作成し,電子顕微鏡観察を行ってきた.本講演ではその結果について紹介したい. 観察の結果,肥後変成岩(クロミタイト)中のダイヤモンド様の物質は,クロマイト中に含まれる負晶中に1 μmほどの紡錘形の粒子として観察され,TEM観察の結果,ランダムに集合した径数十~数百 nmの極めて細粒なグラファイトよりなることが分かった.一方,西彼杵変成岩(泥質片岩)中のものは基質を構成するフェンジャイトの空隙部に径約0.6 μmほどの不定形から半自形の粒子として濃集しており,TEM下で電子線回折によって調べたところ,確かにダイヤモンドであるということが分かった.
  • 野坂 俊夫
    セッションID: R7-04
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    八方超苦鉄質岩体の蛇紋岩中から,鉄モンチセライト(またはMgキルシュスタイナイト)を発見した。モンチセライトはこれまでにキンバーライトやスカルンなどから報告されており,稀にかんらん岩にも産するが,蛇紋岩中からはおそらくこれが初めての発見である。
     その化学組成は,酸素数を4.0としたときの陽イオン総計が3.0,Siが1.0,Ca/(Mg+Fe+Mn)が約1.0と,ほぼ理想的組成に近いが,これまでに報告されているモンチセライトに比べて鉄とマンガンがかなり多い。
     八方の鉄モンチセライトは不規則な形態を持って初生かんらん石を置換しており,アンチゴライト±透輝石と共存している。透輝石とかんらん石が直に接することはないことから,かんらん石+透輝石よりもモンチセライト+アンチゴライトの組み合わせが安定であったと考えられる。
     単純化したCMSH系の熱力学的計算によると,モンチセライト+アンチゴライトは450℃以下の温度で,低いシリカ活動度と高いCa2+/(H+)2活動度のもとで安定である。
  • 川本 竜彦
    セッションID: R7-05
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    流体包有物の研究は、鉱床学の研究者によって重宝されてきた手法で長い歴史を持つ。私は、地質学全般にもっと普及しても良い手法と考えるので、この機会に紹介したい。
  • 石丸 聡子, 犀川 雄二, 三浦 真, Parlak Osman, 荒井 章司
    セッションID: R7-06
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    島弧セッティングで形成されたと考えられるトルコ南部のメルシンオフィオライトのマントルかんらん岩について岩石学的記載と地球化学的性質を示し、マグマ生成過程やマントル改変過程について検討をおこなった。マントルかんらん岩類は軽希土類元素に富むH2Oの流入によって促進された、高部分溶融程度の(~35%)かんらん岩であることがわかった。また、上位の層状かんらん岩類はボニナイト的マグマからの結晶集積岩、モホ遷移帯のかんらん岩類は溶け残りかんらん岩とボニナイト的マグマとの反応岩であると推定される。
  • 荒井 章司
    セッションID: R7-07
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    上部マントルかんらん岩中での水(水素)の振る舞いについて黒色ダナイトの解析から提案をする。含水かんらん石が脱水素化すると内部酸化を起こし,磁鉄鉱および輝石が形成される。黒色ダナイトは含水マグマからの含水かんらん石の集積したものが内部酸化することにより形成される。一般的には様々なマントル過程で形成された含水かんらん石は脱水素化し,輝石相,スピネル相を形成しつつ無水のかんらん石に変化する。この過程は地球の水・水素循環に貢献する。
  • 棟上 俊二
    セッションID: R7-P01
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    福岡県宗像市筑前大島では深成岩の記載はほとんどない。この大島の宮崎集落の東100m程の海岸沿いに等粒状組織を有する岩石の露頭が見いだされた。その露頭は白亜系下関亜層群に接しており,概ね1mm大のカリ長石・斜長石(セリサイト化)・石英・普通角閃石・単斜輝石・斜方輝石からなっている。
  • 原 俊介, 大井 修吾
    セッションID: R7-P02
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    滋賀県は琵琶湖を中心に美濃丹波帯と花崗岩体に囲まれており、花崗岩付近の美濃丹波帯は接触変成岩が分布する。本研究は変成温度の推定を目的とし、琵琶湖周辺のホルンフェルスの菫青石の三連双晶の有無に着目した。

    大文字山、大石地域、山女原地域、岳山北部、金糞岳、白谷地域の6地点からホルンフェルスを採取した。採取した岩石から薄片を作成し、偏光顕微鏡、走査型電子顕微鏡により観察した。

    大文字山、金糞岳の試料からは菫青石三連双晶が確認できた。大石地域の試料からは、芯と花弁からなる花弁状の結晶が観察でき、菫青石三連双晶が確認できた。山女原地域の試料からは、花弁はピナイト化しているが、先行研究のように菫青石三連双晶からなる芯が観察された。本研究の岳山北部の試料からはピナイト化した結晶しか観察できなかった。白谷地域の試料からも、菫青石三連双晶が観察できた。

     田上・鈴鹿・田上・江若・貝月山花崗岩体との接触部の試料から菫青石三連双晶が観察できたため、滋賀県内の花崗岩体の接触変成部付近において、菫青石の三連双晶は一般的なものであると考えられる。三連双晶の形成条件からの変成温度を推定することが今後の課題となる。
  • 高橋 直樹
    セッションID: R7-P03
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    房総半島嶺岡帯は本邦で最も新しい第三紀のオフィオライト帯である。しかし,当地帯は現世の活動も想定される構造帯であり,地すべりが発達し,露頭状況が極めて不良である。しかし,海岸や河床の転石,礫岩中の礫を観察すると,かなりの種類の岩石が認められる。これらは,小規模ながら,嶺岡帯の起源や発達史を明らかにする上で重要な鍵になると考えられることから,それらのバリエーションを把握し,考察の基礎情報としたい。

     蛇紋岩類では,ハルツバーガイト,ダナイト,レールゾライト,斜長石に富むハルツバーガイト,玄武岩類では無斑晶質のソレアイト質玄武岩・ドレライト,かんらん石や輝石斑晶を含むアルカリ玄武岩,ピクライト玄武岩,ケルスート閃石を含む玄武岩,深成岩類では角閃石斑れい岩,輝石斑れい岩,かんらん石を含む斑れい岩,輝岩(単斜輝岩,斜方輝岩,複輝石岩),角閃石岩,閃緑岩~石英閃緑岩~トーナル岩,さらに,変斑れい岩,曹長岩,透閃石~アクチノ閃石岩などの変質岩も見られる。

     以上を総合すると,ホットスポットを含む海洋底のほか,島弧地殻を起源とする岩石もかなり混じえていると推定できる。
  • 濵田 麻希, 瀧川 哲也, 奥野 正幸
    セッションID: R7-P04
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    石川県羽咋郡志賀町の富来鉱山は能登半島のほぼ中央部にあり,鉱床タイプは金山に典型的な鉱脈鉱床である.しかし産出する金鉱物および銀鉱物に関する情報は極めて乏しく,金や銀を含む鉱物種とその産状は不明であるため,本鉱山で産出する金鉱物および銀鉱物の同定と産状の解明を目的とし研究を行った.富来鉱山東郷三番坑の坑道の母岩である輝石安山岩は熱水変質を受けており,斑晶の輝石および斜長石は緑泥石,雲母類,白チタン石に変質しているか,交代されている.母岩中全体に自形の黄鉄鉱,石英脈と母岩との境界に他形の黄銅鉱が産出している.これらの変質鉱物と硫化鉱物は鉱床形成に伴う熱水作用によって生じたと考えられる.金・銀鉱物を含む石英脈を伴う試料の主な鉱石鉱物は黄鉄鉱,黄銅鉱,ほぼ純粋なZnS組成の閃亜鉛鉱である.閃亜鉛鉱とともに産出が報告されることの多い方鉛鉱の産出は見られない.エレクトラムは赤褐色石英脈中の間隙中に他形鉱物として産し,およそ47 mol.%程度の銀を含む.アグイラ鉱,自然銀,未同定鉱物の集合体は石英脈間隙中のエレクトラム周辺に他形の鉱物として産する.
  • 中島 優樹, 五十公野 裕也, 中島 和夫
    セッションID: R7-P05
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    大広鉱山は羽越地域の田川酸性岩類に胚胎している。本格的な採掘実績はないが、Pb, Cu, Zn, Bi等を産する。羽越地域の調査中に深度300mのボーリングコアを入手できた。
     XRDの結果、セリサイト化変質(e.g., Lowell & Guilbert, 1970)を広く受けていた。
     本鉱床が生じた要因には次のことが挙げられる。
    ・酸化的な花崗岩質マグマが地下浅所(約100 MPa以浅)に貫入した。
    ・貫入固結のP/Tは約700℃、100 MPaとなり、さらに分離した流体が静岩圧から静水圧に変化することで沸騰を起こし、高塩濃度流体を生じた。
  • 鈴木 智裕, 中島 和夫
    セッションID: R7-P06
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    栗橋花崗岩体は、北上山地中央部に位置する深成岩体の一つであり、岩体南部には唯一の金属鉱床として金スカルン鉱床を胚胎している。栗橋岩体を構成する岩石は、主に花崗閃緑岩~トーナル岩に分類された。これらの岩石に含まれる石英には流体包有物が見られ、斜長石にはアルバイトリムと呼ばれる組織が見られた。本研究ではそれらの鉱物組織の観察に加え、鉱物化学組成、全岩化学組成の分析結果から、栗橋岩体の冷却環境と鉱床形成との関連性について検討した。その結果、栗橋岩体は岩体全域が同源マグマから分化し、その大部分は高圧下で固結したため鉱床をほとんど形成しなかったが、岩体南端部は例外的に熱水の影響を強く受けたため、岩体で唯一の金属鉱床が形成したと推定された。
  • 黒澤 良太, 五十公野 裕也, 中島 和夫
    セッションID: R7-P07
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    本研究は東北日本各地のペグマタイトから産した電気石について化学組成を比較し, 電気石の形成環境および起源の解明を目的としている. EPMAを用いた化学分析の結果, 本研究試料の電気石の多くは花崗岩質ペグマタイトに一般的な組成を示した. しかし, 手代木地域(TSG)の電気石はMg-rich, 宮守地域(MYM)の電気石はMg, Ca-richであり一般的な花崗岩質ペグマタイト産電気石とは異なる化学組成が見出された. TSGは超苦鉄質岩類の影響を被ったと考えられる. 一方MYMの電気石, 並びにペグマタイトは花崗岩質とは異なるマグマを起源としている可能性がある. MYMのゾーニングをもつ電気石はコアからリムにかけ組成が急変しており, 電気石を生じるペグマタイトメルトに何らかの作用が加わった可能性を示唆すると考えられる.
  • Tamir Battotokh, Yasuhito Osanai, Nobuhiko Nakano, Tatsuro Adachi, Jar ...
    セッションID: R7-P08
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    Targets of this study are to reveal the REE mineralization, and geochemical and geochronological characteristics of REE occurrences in north-west Mongolia; Ar gol, Alag erdene, Khujirtiin Davaa REE and alkali plutonic rocks in Bulgiin uvur and Suul tolgoi areas are also investigated. REE minerals of eudialyte, britholite, bastnasite, synchisite are found in Ar gol occurrence, only eudialyte mineral found from other two REE occurrences. Ar gol and Alag erdene REE occurrences reveal good potential for REE prospect criteria.
  • 角替 敏昭, George Belyanin
    セッションID: R7-P09
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    太古代ジンバブエクラトンのリンポポ岩体との接触部に位置するブフワグリーンストン帯の新たな岩石学的データから、グリーンストン帯の変成度がリンポポ岩体に向かって上昇することを明らかにした。角閃石の2.0 GaのAr-Ar年代から、カラハリクラトンの形成時期は27億年前でなく20億年前の可能性が指摘される。
  • 長岡 昂吉, 安東 淳一, 廣瀬 丈洋, 鍵 裕之, 大藤 弘明
    セッションID: R7-P10
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    鏡肌は断層のすべり運動によって形成される光沢を有する微細組織であり、断層表面に普遍的に存在している。鏡肌の形成過程を明らかにすることは、鏡肌を伴う断層運動の素過程を理解する上で重要である。本研究では、天然に露出する鏡肌の特徴と、鏡肌の再現実験及び回収試料の微細組織の特徴から理解できる鏡肌の形成過程の詳細について報告する。
  • Kazuyasu Shindo, Masogo Kefilwe
    セッションID: R7-P11
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/16
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    This study shows Silicate inclusions (SIs) observed in a chromitite in northeastern part of Botswana. The chromitite is mainly composed of chromite and chlorite. Texture relationship shows that the chromite aggregate is altered by later hydrothermal fluid which led to form chlorite. Chemical compositions of chromite have chemical zoning. SIs are mainly amphibole and talc. Compared with previous researches, these minerals are typical for inclusions in chromitite.
R8:変成岩とテクトニクス
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