LD研究
Online ISSN : 2434-4907
Print ISSN : 1346-5716
26 巻, 4 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
  • 地域療育センターを幼児期から成人前期まで利用した12事例の場合
    日戸 由刈, 本田 秀夫, 原 郁子, 藤野 博
    2017 年 26 巻 4 号 p. 464-473
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    知的発達に遅れのない自閉スペクトラム症(ASD)児者の小学校期から高等学校期(高校期)までの友人関係の実態,および支援の有無との関係について,地域療育センターを幼児期から成人前期まで利用した事例を対象に,カルテ情報に基づき検討した。横浜市A区で一定期間に出生し,幼児期にB地域療育センターでASDと診断された12例(男7,女5)の5歳時点での平均IQは97.8であった。このうち7例では,小学校期から2例,中学校期から2例,高校期から3例が友人関係を形成していた。ASD児者では,定型発達児者よりも遅いペースで友人関係が発達すると考察された。高校期に特別支援学校に進学した5例全員に友人関係がみられたが,高等学校に進学した7例のうち友人関係がみられたのは余暇支援に継続して参加していた2例のみであった。学齢期の“切れ目のない支援”は,青年期以降のASD児者の友人関係に良好な影響を及ぼす可能性が示唆された。
  • ASD特性を説明する理論にそって
    藤岡 徹
    2017 年 26 巻 4 号 p. 474-483
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    これまでに,自閉スペクトラム症(ASD)の特性を説明しようとするさまざまな理論が提唱されてきた。代表的なものとしては,ASD傾向を規則性に当てはめてものごとを理解する傾向とする共感-システム化理論,実行機能に困難があるためにASD特性が生じるとする実行機能理論,情報を意味のある全体にまとめ上げようとする動因が低い結果として細部に過度に着目するとした弱い中枢性統合(全体的統合)理論,社会的行動をつかさどる脳領域と絡めてASD特性を説明しようとする社会脳理論の4つがある。これらの理論においては,ASD特性は障害ではなく長所と短所を含む認知スタイルとして捉えられるようになってきている。これら理論に基づいてASD特性が深く理解され,彼らの強みが生かされる支援や配慮が提供されることが期待される。
feedback
Top