景観生態学
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11 巻 , 2 号
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  • 森本 淳子, 勝野 武彦, 吉田 博宣
    2007 年 11 巻 2 号 p. 63-71
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    ミツバツツジ節自生地における遺伝的多様性に配慮した緑化一針を導くことを目的として, 神奈川県におけるミツバツツジ節の植木の流通の実態を調査した.卸売り市場における調査から, 植木の種名の表示は義務付けられていないこと, 生産地における調査からは, 種苗生産に用いる母樹の生育環境が, 雑種植木の作出を招く可能性があることが明らかになった.また, 自生地, 生産地, 販売地の地理的位置関係の分析から, 研究対象地では自生地から生産地への花粉移入の可能性は低いことが分かったが, 生産地がポリネーターの採餌行動圏内にある場合や, 複数の生産地の配置関係によっては, 自生地と生産地の間で花粉の交換が生じ自生地での遺伝的変異性が変容する恐れがあること, が明らかになった.これらの現状と分析をふまえると, (1) 市場において植木の種が正しく認識されること, (2) 生産地で雑種の植木を生産しないよう配慮すること, (3) 自生地に近接する生産地では栽培する種を制限すること, が課題である.これらの課題を解決するために, 以下のような指針が導かれる. (1) の課題に対しては, (1) 生産地で植木の正確な種同定を行うこと, (2) 生産者が提示した種名を, 卸売市場で公開すること, (2) の課題に対しては, (3) 生産地では母樹の多種混植を避けること, (4) 種苗生産に用いる種子は, 純系の母樹から採取すること, (3) の課題に対しては, (5) 主要なポリネーターであるマルハナバチ類の採餌行動圏を把握すること, (6) 自生地からポリネーターの採餌行動圏を特別な配慮を要する区域とし, その標高帯に自然に分布する種のみを栽培すること, (7) (6) で設定した区域外については他の生産地との配置関係に応じて栽培する種を制限すること, が求められる.
  • 矢内 晃子, 許 琴蘭, 大野 啓一
    2007 年 11 巻 2 号 p. 73-91
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    著者らは, 神奈川県横須賀市の北部地域に残存する緑地を対象に, 総和群集調査法とメッシュ図化法を融合した解析手法を用いて, その組成および構造の解析を行なった.この結果, 市街地景観域の植生景観単位として, ギンゴケーツメクサ群集総和群落区を識別した.また, 斜面緑地景観域の植生景観単位として, クサイチゴータラノキ群集=オニシバリーコナラ群集総和群落区を区分した.市街地景観域および斜面緑地景観域について, 識別された植生景観単位を凡例として植生景観区分図を描いた.さらに, 両景観域の植生景観単位を統合した植生景観単位として, ギンコケーツメクサ群集=オニシバリーコナラ群集超総和群落区を分類した.抽出された超総和群落区の3つの下位単位を凡例に植生景観評価図を作成した.上記の植生景観単位および統合植生景観単位それぞれの数値データを用いて統計解析を行い, 植生景観単位および統合植生景観単位の組成・構造上の特質および分布特性を明らかにした.その結果, 調査地域の植生景観の空間構造は, 市街緑地景観のマトリックスの中にサブシステムとしての斜面緑地景観がパッチ状に分布すると考えられた.
  • 伊藤 麻子, 長澤 良太
    2007 年 11 巻 2 号 p. 93-104
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    This paper discussed about the land use and landscape changes in the rural mountainous area since Meiji era (1890's) by introducing a case study done in Moroga village, Wakasa, Tottori Prefecture. In this study, GIS is successfully applied for the integration of various kinds of data such as aerial photos, topographic maps, vegetation map, forest planning maps, land ledgers as well as field survey records. The geo-spatial landscapes corresponding to each epoch over the past 100 years were reconstructed and mapped by the integrated analysis of the above spatial data, then the historical changes of land use concepts of village people in the mountainous area were depicted on GIS.
  • 日置 佳之, 長澤 良太
    2007 年 11 巻 2 号 p. 105
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 日置 佳之
    2007 年 11 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    日本全国を網羅する現存植生図の応用面から見た課題ついて, 植生図作成の歴史を振り返りながら検討した.1969年には文化庁によって日本全国を対象に縮尺20万分の1の現存植生図が作成され, 1973年に開始された自然環境保全基礎調査では, 環境庁 (当時) によって縮尺20万分の1の植生図が作成された.これらの植生図の作成は, 高度経済成長によって急速に損なわれつつあった国土の自然環境の現状を診断するとともに, 緊急に保全すべき植生を特定することに焦点が置かれていた。これに続く第2回・第3回自然環境保全基礎調査により, 1980年代には日本全国を網羅する縮尺5万分の1の現存植生図が完成し, 第4回・第5回調査において植生改変があった場所について衛星データを用いて更新が行われた.縮尺5万分の1現存植生図は, 地域計画や環境アセスメントに資することを念頭に作成されたが, 実際にもっともよく使われたのは, 自然環境保全地域の指定のための資料としてであった.第6回自然環境保全基礎調査からは, 全国を網羅する縮尺2万5千分の1現存植生図の作成が開始された.用かし, 調査・作図の作業量が膨大であるのに対して, 各年度の予算が十分ではないため, 完成に長年月を要することが懸念されている.近年, 現存植生図には, エコトープ図の作成や動物の生息環境評価のための基礎図などの新たな役割も期待されているが, 現状はそれに十分応えるものにはなっていない.今後は, 当面, リモートセンシングデータを用いた即時的な植生区分図の提供によって実用への要求に応えるとともに, リモートセンシングとエキスパートナレッジを併用した植物社会学的現存植生図の作成技術を開発することなどにより, 植生学的な情報の質の保持と短期間・低コストによる図化を両立させ, 現存植生図の自然環境基盤情報としての地位を確固たるものにすることが強く求められる.
  • 松林 健一
    2007 年 11 巻 2 号 p. 113-124
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    現存植生の分布を正確かつ迅速に大縮尺図化する方法の検討を目的として, 現存するブナ群落域の図化を鳥取県の氷ノ山, 扇ノ山山域を事例地として行った.まず標高, 傾斜, 斜面方位, 地形凹凸, 土壌乾湿度, 日射量, 積算温度を10m解像度に内挿補間したGISデータのレイヤを用いてブナ群落分の分布予測モデルを構築し, 潜在的にブナ群落が成立する領域を図化した.次に, 15m解像度のAsterセンサのリモートセンシングデータから作成した広葉樹林・針葉樹林レイヤにより広葉樹林域を抽出・図化し, 両者の重ね合わせによって現存のブナ群落域を図化した.作成したブナ群落域について, プロデューサー精度, ユーザー精度の2つの評価尺度を用いて精度評価を行ったところ, その精度は両者とも50%程度であった.ブナ群落およびその代償植生の広葉樹林域を比較対象とした場合のユーザー精度は70.5%であった.これらの精度検証から, 本研究の図化手法は, 現存ブナ群落の抽出・図化の精度は必ずしも十分とは言えないものの, 現存ブナ群落およびその代償植生の現存広葉樹林域の大縮尺図化には十分な精度であると考えられた.
  • 伊藤 史彦, 喜多 晃平, 長澤 良太, 日野 彰彦, 浅井 樹, 中島 尚子
    2007 年 11 巻 2 号 p. 125-132
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    植生図の作成を目的としたALOSAVNIR-2衛星の利用可能性について検討を行った。画像分類の方法として, ピクセルベールの最尤法とオブジェクトベース分類の2つの方法を採用するとともに, 比較の対象としてLandSat ETM画像に対しても同様の作業を実施した.結果として, ALOS AVNIR-2のオブジェクトベース分類により作成された分類画像が, もとの教師となる空中写真判読によって作成された植生判読図に最も近似するものとなった.Kappa係数を用いた精度検証の結果でも0.606という最大の値を示した.これは, ALOS AVNIR-2の空間分解能10mが対象地域の複雑詳細な土地被覆オブジェクトをうまく抽出した結果と考えられる.これにより, 本手法が従来の空中写真による相観植生判読図とほぼ同等の図化精度を持ち, 植生図作成のための基図となり得ることが明らかとなった.
  • 井本 郁子, 増澤 直
    2007 年 11 巻 2 号 p. 133-143
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    土地被覆図や植生図をはじめとした自然環境情報図を使用して動物の生息地を推定し, 地図化することで自然環境の保全や土地利用の計画に反映しようという試みは世界的には欧米をはじめ, 各国ですすめられている.日本においても植生図の全国的な整備が1970年代より環境省を中心にすすめられ, その結果, 植生図が自然環境情報図の重要なテーマ図のひとつとして考えられるようになった.さらに1990年代半ば以降GISの利用とデータ整備が急速に進むと同時に, 動物の生息地を推定し地図化しようとする試みが, 様々な種や環境を対象に行われている.本論では各地での陸上動物を対象とした研究事例について, 植生図の縮尺や解像度, 凡例の取り扱い, 使用したデータなどについて項目ごとに, さらに評価の対象による違いについて整理した.これらの結果を踏まえながら, 応用場面での植生図の使用と植生図の課題について, 縮尺 (解像度) と更新頻度, 植生区分 (凡例) の統合と再区分, 面積・形状・隣接性などの解析, 全国的な整備と公開のあり方の4つの項目について考察した.
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