景観生態学
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14 巻 , 2 号
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原著
  • 望月 翔太, 村上 拓彦, 芝原 知
    原稿種別: 原著
    2009 年 14 巻 2 号 p. 109-118
    発行日: 2009/12/31
    公開日: 2012/05/28
    ジャーナル フリー
    近年,野生鳥獣による農作物被害が増加している.本研究では,新潟県新発田市で生息が確認されているニホンザルの群れのうち,「大槻群」を対象群として,その行動圏とコアエリアを明らかにし,その中の森林と農地の空間分布パターンが,サル由来の農作物被害にどのような影響を与えているのかを検討することを目的とした.まず,ALOS/AVNIR-2画像から土地被覆分類図を作成し,畑地や水田を抽出した.次に,固定カーネル法を用いて大槻群のコアエリアを調べたところ,帯状の森林と重なることがわかった.さらに,大槻群による農作物被害に寄与する環境因子を特定するため,ロジスティック回帰分析を行なった結果,重要な環境因子は林縁からの距離であることがわかった.行動圏内のモデルでは集落からの距離と道路からの距離も環境因子として寄与していたが,コアエリアのモデルではそれらは説明変数として選択されなかった.これは林縁に近い農地ほど被害を受けやすいことを示す.最終的に,帯状の森林がサルの農地進出の拠点となり,森林と農地を繋ぐコリドーとして機能していることが考えられた.それにより農作物被害の拡大に繋がることが示唆された.
  • 岡 浩平, 吉崎 真司, 小堀 洋美
    原稿種別: 原著
    2009 年 14 巻 2 号 p. 119-128
    発行日: 2009/12/31
    公開日: 2012/05/28
    ジャーナル フリー
    本研究では湘南海岸沿岸域を事例として,砂丘の開発による海浜幅の縮小と生育地の孤立化が海浜植生の種組成や構造に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.対象地の海浜の面積と分布の変遷を把握するために,地形図を用いて3時期の土地利用図を作成した.また,砂丘の開発が海浜植生に及ぼす影響を把握するために,辻堂砂丘の開発前後の植生を比較した.その結果,対象地の海浜の面積および幅は,1921年から2006年にかけて1/3以下に減少していた.海浜の縮小は,海岸侵食の影響よりも,海浜の市街地化や針葉樹林化といった土地利用の変化の影響が大きいことがわかった.開発以前の辻堂砂丘は不安定帯→半安定帯→安定帯と変化する海浜植生の成帯構造が成立していたが,開発後は成帯構造から半安定帯が消失していた.半安定帯の消失は,砂丘の開発による海浜幅の縮小が主な要因として考えられた.また,砂丘の開発によって,砂防林よりも内陸側で海浜植生の孤立化が生じていた.このような立地では,砂防林の防風効果によって,開発後にビロードテンツキ以外の海浜植物が消失し,帰化植物や内陸植物が優占する植生へと種組成が変化したと考えられた.以上のことから,砂丘の開発は,海浜幅の縮小による海浜植生の成帯構造の破壊,生育地の孤立化による内陸植物や帰化植物の侵入を引き起こすと考えられた.
  • 宗円 典久, 伊藤 哲, 光田 靖
    原稿種別: 原著
    2009 年 14 巻 2 号 p. 129-138
    発行日: 2009/12/31
    公開日: 2012/05/28
    ジャーナル フリー
    九州山地の中山間地域を対象に,1902年以降の土地利用変化パターンを解析し,同一流域内でみられた変化パターンの違いと,これを生じさせる要因を自然的立地条件および社会的な要因の両面から検討した.一ツ瀬川上流部のおよそ13000 haの流域において,1902年,1965年および1990年の地形図から当時の土地利用を把握した.その結果,調査域内で51パターンの土地利用変化が認められた.これらの変化パターンによって対象域を上流部と下流部に区分した.また,土地利用変化のパターンごとに立地選択性を選択度指数によって解析した.その結果,地形特性の異なる上流部と下流部で里山型土地利用の拡大,針葉樹人工林拡大の時期に違いがみられた.1902年から1965年までの期間,下流側では拡大造林政策によって針葉樹人工林が拡大したのに対し,上流側では薪炭林,採草地といった里山型土地利用の拡大がみられた.さらに,1965年から1990年までの期間,上流側で一旦拡大した薪炭林および採草地が下流側に比べ遅い時期に人工林化された.すなわち,1902年以降,低標高の急傾斜地から優先的に人工林化が行われてきたと考えられた.上流部と下流部の土地利用変化の動向が異なった理由として,上流部と下流部における地形特性の違いや入植地の存在が考えられた.拡大造林政策や燃料革命,農業近代化などの社会的条件の変化の影響は標高,傾斜などの自然的立地条件によって異なっており,これが同じ流域内で異なるパターンの土地利用変化を引き起こした要因であると考えられた.
短報
  • 横山 恭子, 夏原 由博
    原稿種別: 短報
    2009 年 14 巻 2 号 p. 139-143
    発行日: 2009/12/31
    公開日: 2012/05/28
    ジャーナル フリー
    住宅・宅地開発による影響が生物多様性へ及ぶ可能性を評価するための一つのステップとして,地形による大阪府の宅地開発の特性を経年的に明らかにした.1945年~1990年に,大阪市の市町村営住宅および民間宅地開発地を除く大阪府域において実施された住宅・宅地開発は,17,015 ha(面積の10.2%)であった(大阪府建築部住宅政策課 1990).埋立地を含む低地において実施された宅地開発は,4,176 haで全低地面積の8.2%を占めた,台地においては,3,539 ha(11.6%),丘陵地においては,6,941 ha(40.2%),山地においては,2,359 ha(3.5%)であり,丘陵地での開発面積率が高かった.年代をおってみると,まず,初期には平地,台地での開発が主であったが,1960年代の高度経済成長時に開発面積が著しく増加するとともに,丘陵地,さらには山地にまで及んだ.その後,宅地開発は減少したが,1980年代にも宅地開発面積の増加がみられ,近年の特徴として,丘陵地や山地に大規模開発が集中していた.
調査研究報告
  • 高田 雅之, 北川 理恵, 小野 理
    原稿種別: 調査研究報告
    2009 年 14 巻 2 号 p. 145-151
    発行日: 2009/12/31
    公開日: 2012/05/28
    ジャーナル フリー
    北海道の陸域を対象として,文献資料や現地調査情報など,多様なデータソースを統合し,植物,鳥類,哺乳類,両生類,爬虫類,魚類,陸生昆虫類,水生昆虫類に関する野生生物分布データベースを構築した。位置情報はメッシュデータ(1 km,5 km,10 km)を基本とした。データの総件数は約240万件となり,ひとつの地域としてはアジアでも例を見ない規模となった。これらのデータを用いて,全道を対象に保全地域内外の希少種数の比較,さらに生態系タイプと種数の関係分析を行った。その結果,広域的な生物多様性評価や保全上重要な地域の抽出に寄与する可能性を明らかにすることができた。
  • 司馬 愛美子, 長澤 良太
    原稿種別: 調査研究報告
    2009 年 14 巻 2 号 p. 153-161
    発行日: 2009/12/31
    公開日: 2012/05/28
    ジャーナル フリー
    かつて,わが国には広大な野草地が山間地域に存在し,放牧や草刈場として利用されていた.しかしながら,そうした野草地は,戦後の経済成長や生活様式の変化に伴って,その姿を消していった.本研究では,過去100年間における山間地域における野草地の時空間的な変遷について解析した.この目的のために,時系列的な地形図や空中写真などの地理情報を統合し,GISを用いて空間分析ができるようなデータベースを構築した.結果として,山間草地は終戦直後の頃までは存在したが,1960年代を通じて急速に消失し,針葉樹の植林地へとその姿を変えていったことが明らかにされた.
  • 金子 是久, 三村 啓太, 天野 誠, 長谷川 雅美
    原稿種別: 調査研究報告
    2009 年 14 巻 2 号 p. 163-176
    発行日: 2009/12/31
    公開日: 2012/05/28
    ジャーナル フリー
    This research studied the management situation of different habitats, investigating flora and dividing the grasslands located in Shiroi City, Chiba Prefecture into six habitats (abandoned rice fields, mowed land, sloped, developed land, management -abandoned land, arable and playgrounds). For the species rate of attribute-based classification for each habitat, endangered plants were the most common in mowed land, and were the least common at abandoned rice fields, developed land and arable and playgrounds. Grassland plants were the most common in mowed land, and were the least common in abandoned rice fields. Ruderal plants were over half at 50-60% in all habitats. Exotic plants were the least common in mowed land, and were the most common in developed land. Endangered plants included many species at 17 species for mowed land, and included few species at abandoned rice fields and developed land. In grassland types at each habitat, Miscanthus sinensis and Imperata cylindrical types included many species at mowed land, Zoysia japonica type included many species in arable and playgrounds. With respect to management of each habitat, we found that mowed land and a part of sloped is regularly mowed of about 1-3 times per year, arable and playgrounds are hard mowed over 4 times per year, and in other habitats, although the length of time that has elapsed since abandonment is different, basically, these habitats are abandoned.
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