景観生態学
Online ISSN : 1884-6718
Print ISSN : 1880-0092
ISSN-L : 1880-0092
16 巻 , 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
原著
  • 原田 一平, 松村 朋子, 原 慶太郎, 近藤 昭彦
    原稿種別: 原著
    2011 年 16 巻 1 号 p. 17-32
    発行日: 2011/07/31
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    森林と人々の生活は密接に関わりながら,地域の景観を形成しているが,近代化による人々の生活様式の変化に伴い森林との関係も変化し,森林景観も変遷している.国土利用からみた森林地域の変遷に関しては既に多くの研究報告があるが,これらの研究報告の多くは土地利用変化を社会・経済的な要因から論じたもので,気候的・地形的特徴から定量的な森林変遷を日本全土で分析した事例は少ない.本稿では,1900年(明治・大正期)から1985年(現代)までの85年間にわたる土地利用・土地被覆変化から森林の変遷を把握し,日本全土の植生分布と自然的立地条件(気温,標高,地形)との関係を明らかにすることを目的とする.土地利用データは日本全国土地利用データセットのLUIS(Land Use Information System)を使用した.森林変遷の過程を定量化するために,森林的利用に着目した3タイプの土地利用・土地被覆変化,すなわち,a)1900年から1985年にかけて継続して森林的利用であった地域,b)1900年から1985年にかけて森林的利用から非森林的利用に変化した地域,c)1900年から1985年にかけて非森林的利用から森林的利用に変化した地域,と気温,標高,地形との関係について空間解析を行った.1900年から1985年にかけて森林が変化していないタイプは混交樹林が最も多く,森林が変化したタイプは広葉樹林から混交樹林に変遷したタイプが最も多いことが認められた.1900年から1985年にかけて継続して広葉樹林,混交樹林であった地域はともに250 m~1000 mの山地急斜面に最も多く,気候帯を日本全土でみると冷温帯は広葉樹林,中間温帯,暖温帯は混交樹林がもっとも多く分布していることが認められ,気候や地形に即した潜在的な自然植生が分布していることが明らかとなった.また,森林的利用から非森林的利用に変化した地域の中で,広葉樹林から農地に変化した地域は,冷温帯で250 m以下の砂礫台地及び岩石台地,火山灰砂台地に分布しており,針葉樹林から農地に変化した地域は,暖温帯で100 m以下の砂礫台地及び岩石台地,扇状地および谷底平野に分布しており,気候的特徴,地形的特徴によって異なることが明らかになった.さらに,1900年から1985年にかけて非森林的利用から森林的利用に変化した地域は,荒地から森林に変化した地域が最も多いことが認められた.荒地から森林に変遷した地域の気候帯は冷温帯,中間温帯,暖温帯で,1000 m以下の山地急斜面で広域に分布しており,森林への変遷は混交樹林が最も多かった.
調査研究報告
  • 横山 恭子
    原稿種別: 調査研究報告
    2011 年 16 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2011/07/31
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    生物多様性の保全に向けて,GISを利用し,都市近郊の里山における土地利用の変遷を定量的に明らかにした.対象地全域の面積は,14.7 km2である.顕著であった土地利用の変化は,以下の5つである.(1)昭和22年から平成18年に5.0 km2の針葉樹林が広葉樹林へと変化した.昭和22年の針葉樹林の面積7.6 km2の66%にあたる面積であった.(2)昭和22年から平成18年の間に1.9 km2の森林や田畑などが集落へと変化した.高度経済成長期と重なる昭和44年から昭和52年に,1.5 km2と最も多くの田や森林などが集落へと変化した.(3)昭和22年から平成18年を通じて2.1 km2の主として針葉樹林および広葉樹林がゴルフ場へと変化した.ゴルフ場に変化した針葉樹林と広葉樹林をあわせるとゴルフ場に変化した全土地利用の84%におよぶ.特に,昭和32年から昭和44年に,0.7 km2と最も多くの森林などがゴルフ場へと変化した.(4)昭和22年から平成18年に,3.1 km2の主として針葉樹林および広葉樹林が荒地へと変化した.荒地化が最も進んだのは,昭和52年から昭和61年にかけてであった.調査期間を通じてみても,減反や高齢化などによる放棄田から荒地の変化(0.4 km2)を樹林から荒地への変化(1.1 km2)が上回っていることがわかった.(5)調査期間においては,大幅な田の樹林化は進んではいないと解せられた.
  • 森本 幸裕, 加藤 博之, 今村 史子, 城野 裕介, 徳江 義宏
    原稿種別: 調査研究報告
    2011 年 16 巻 1 号 p. 39-48
    発行日: 2011/07/31
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    愛知県の二級河川逢妻男川では,地域住民が主体となって河川空間に連続した樹林の形成を図る「水辺の緑の回廊」整備が行われている.そうした中,平成22年10月に愛知県でCOP10が開催されたことを契機として,今後は生物多様性に着目した地域づくりの推進が一層求められるようになった.しかし,これまでの植樹活動は緑化に着目するも生物多様性の視点は取り込まれておらず,生物多様性に関する知見の蓄積も不十分である.そこで本研究では,地域の植樹活動の取組みが生物多様性にどんな効果をもたらすのか,生物多様性の「生態系の多様性」「種の多様性」「遺伝子の多様性」の3つの階層の視点から,「河川空間のエコアップ」,「樹林生態系の構築」,「樹林生態系のつながり」の効果を分析・評価した.その結果,植樹による生物多様性への整備効果評価手法の活用の可能性が示唆された.
技術情報
feedback
Top