景観生態学
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19 巻 , 2 号
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特集「生物多様性情報を地図化する」
  • 中静 透
    原稿種別: 巻頭言
    2014 年 19 巻 2 号 p. 89-90
    発行日: 2014/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
  • 鎌田 磨人, 安東 純平, 染矢 貴, 浅井 樹
    原稿種別: 技術情報
    2014 年 19 巻 2 号 p. 91-103
    発行日: 2014/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    自然環境保全基礎調査の第6回(1999~2004年)・第7回(2005~2009年)植生調査では,11572地点で現地調査が行われ,それぞれの地点の植生に対して統一凡例が付与されている.この中から20地点以上で分布が確認されている53の森林群集・群落の空間情報を得た.次に,1kmメッシュで入手できるWI(温量指数),CI(寒さの指数),年降水量,最深積雪量,地質区分,最大傾斜角を説明変数としてMaxent解析を行い,それら群集・群落の分布決定要因を抽出した上で,潜在的分布域地図を描いた.そして,国によって進められ蓄積されてきている植生調査データの活用に係る展望と必要性について,意見を述べた.
  • 名取 睦, 杉村 尚, 須藤 健二, 岩城 光, 戸田 光彦, 笹渕 紘平
    原稿種別: 調査研究報告
    2014 年 19 巻 2 号 p. 105-109
    発行日: 2014/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    生物多様性地図は行政,民間,研究者,一般市民など多様な主体の間で合意形成をする際に強力なツールとなる.近年ではオープンソースGISや無償のWebGISサービスなどを使って空間データを収集,管理,解析すること一般的になっている.しかし国レベルの野生生物の分布データはまだ十分とは言えず,将来的にそうしたデータを収集する上での課題も多い.そこで本稿では環境省が2012年に公開した生物多様性評価地図を例に,野生生物のデータ収集に関する現在の課題を議論した.第一の課題はデータの位置精度である.特に過去の分布データの位置情報は様々な異なる形式になっている.また絶滅危惧種の位置情報は保全上の理由から公開されていない事が多い.第二の課題は同定精度である.絶滅危惧種の同定は専門家でないと難しく,また分類学上の変更も多い.第三の課題はデータ更新である.科学博物館の標本収集活動は困難になっており,国の野生生物分布調査も予算規模が縮小されつつある.第四の課題はデータが持つ偏りである.標本,鳥獣捕獲,環境影響評価など異なる情報源からのデータを使った空間解析は生物多様性の地図化に不可欠であるが,データの精度が異なる調査データを標準化するのは難しい.こうした課題解決のためには野生生物のデータを標準化し収集する共通のプラットフォームや,現地調査データの不足を補う予測モデルの開発などが必要である.
  • 角谷 拓, 赤坂 宗光, 竹中 明夫
    原稿種別: 総説
    2014 年 19 巻 2 号 p. 111-119
    発行日: 2014/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    新たに保全地域を設置する場合には,どこを保全候補地域として選定するのが生物多様性の保全の観点からより効率的かという問いに答える必要がある.このような効率性を考えた保全候補地域の優先付けは,それにかかわる概念の整理や手法の開発,さらには実践への適用が近年急速に進展している分野である.特に「相補性」は,保全優先づけを行う上でもっとも重要な概念の一つであり,それにもとづいた相補性解析は保全候補地域の優先付けを行うための手法として中心的な役割を果たすようになっている.相補性解析は,保全地域どうしが相補的に機能するように優先保全候補地域を決める方法であり,多数の分類群や計画ユニットを扱うことのできるツールも実装されている.Marxanはその代表的なものである.Marxanは個々の保全対象(種・分類群や生態系タイプなど)ごとに設定された保全目標を達成するために,保全対象の空間分布データにもとづいて,もっとも効率のよい優先保全候補地域を特定する.「効率のよさ」には,優先保全候補地域の面積や形状,あるいは保全のための費用や労力など,必要に応じて現実的な要素を評価基準として組み込むことができる.Marxanを用いた相補性解析は,環境省・生物多様性評価の地図化事業でも,全国スケールでの絶滅危惧維管束植物の分布にもとづいて効率的な保全に寄与する地域の地図化を行うために活用された.これは,相補性解析を全国規模で実施し,かつその結果が公表されたものとしてはおそらく国内で初めての画期的な事例である.今後,保全のための効率的な戦略を明示的かつ分かりやすく示す地図化の手法が,さまざまな保全対象および国・都道府県・市区町村などのスケールにおいて活用されることが期待される.一方で,相補性解析は,①すべての計画ユニットにおける保全対象となる生物の分布や状態が明らかになっていること,また,②保全対象ごとに設定された保全目標が,実際にその対象の保全を行うのに十分な効果をもっていることを前提としており,それらを満たさない場合の結果の利用には細心の注意が必要である.
  • 庄山 紀久子
    原稿種別: 技術情報
    2014 年 19 巻 2 号 p. 121-126
    発行日: 2014/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
原著論文
  • 後藤 明日香, 望月 翔太, 村上 拓彦
    原稿種別: 原著
    2014 年 19 巻 2 号 p. 127-138
    発行日: 2014/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    人と野生動物との軋轢を解消するためには適切な野生動物管理が重要である.本研究の目的は,異なる概念の空間スケール(extent:空間の広がり,grain size:データの最小サイズ)において動物分布と環境因子との関係を明らかにすることである.対象とした野生動物は,ツキノワグマ(Ursus thibetanus),ニホンザル(Macaca fuscata),イノシシ(Sus scrofa)である.ロジスティック回帰分析により各対象種の分布確率予測モデルを作成し,本州スケールと新潟県スケールでextentによる違いを,新潟県スケールにおいて500m解像度と30m解像度でgrain sizeによる違いを比較した.extentの比較では,全ての対象種で最適モデルに選択される環境因子やその寄与するベクトルに違いがあった.ツキノワグマについて,本州スケールでは農業地域の割合,針葉樹林の割合,広葉樹林の割合,積雪深の平均値が正に寄与したが,新潟県スケールでは農業地域は負に寄与し,広葉樹林は最適モデルで選択されなかった.モデル精度は本州スケール,新潟県スケール共に高かった.ニホンザルについては,本州スケールでは農業地域の割合,針葉樹林の割合,広葉樹林の割合,水域の割合が正に寄与し,積雪深の平均値が負に寄与した.一方新潟県スケールでは,針葉樹林の割合と積雪深の平均値が正に,農業地域が負に寄与し,広葉樹林の割合と水域の割合は最適モデルで選択されなかった.新潟県スケールのモデル精度は中程度であったが,本州スケールのモデル精度は低かった.イノシシは,本州スケールでは農業地域の割合,市街地の割合,針葉樹林の割合,広葉樹林の割合,水域の割合が正に寄与し,積雪深の平均値が負に寄与した.イノシシは本州スケールでは高精度で分布を推定できたものの,新潟県スケールでの推定は困難であった.イノシシの分布が拡大中であることが,本州スケールで土地被覆の全クラスが正に寄与したことと新潟県スケールでの分布推定が出来なかったことの理由として考えられる.grain sizeの比較では,最適モデルとモデル精度に大きな違いはなかった.本研究では,extentの違いが野生動物の分布予測に影響を与えた.この結果から,野生動物の分布を予測する際,特に空間の広がりを考慮することが重要であると考える.
  • 生亀 正照, 沼田 真也, 保坂 哲朗
    原稿種別: 原著論文
    2014 年 19 巻 2 号 p. 139-148
    発行日: 2014/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    多摩丘陵で発見された絶滅危惧種タマノホシザクラの分布と多摩ニュータウン(以下NT)開発との関連性を明らかにするために,本種の分布調査を行なった.これまで本種は約100個体が生育すると考えられていたが,八王子市と町田市に多摩市を加えた3市の27個所に177個体が生育していることが明らかになった.うち81.9%がNT区域内に,17.5%が隣接する町田市の片所谷戸の二次林に生育し,NT区域における本種の生育地は全て東京都施行区域であったが,現在の管理者は異なっていた.胸高直径(DBH)と年輪解析をもとに推定した樹齢とNT開発年代の関係をみると,生育地の開発が行われた1980年代には,最も大きなサイズの個体でさえ幼苗か若齢木であったことが示唆された.また,公園管理者の資料には一部の個体がヤマザクラとして記載され,現在も同名の樹名板もつけられていたこと,そして東京都のNT開発資料から,自生地と推察される片所谷戸のような二次林からヤマザクラの稚樹が移植された可能性が高いと考えられた.以上のことから,現在のタマノホシザクラの分布は,自生地が僅かに残っている一方,東京都によるNT開発の際の人為的な植栽が強い要因として働いていると結論づけられた.本種のいくつかの個体群は10年間で消滅していたが,片所谷戸では,近年のボランティアによる二次林管理の再開によって萌芽個体数は増加していたため,タマノホシザクラの個体群の保全と持続可能な利用を維持するには,周期的な伐採や下草刈りなどの二次林の管理を,個体群の生育状況に合わせて適切に行うことが重要であると考えられる.
調査研究報告
技術情報
連載 景観を読み解く(1)
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