景観生態学
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選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
意見
特集「竹林放置に関する問題とその対策」
  • 鈴木 重雄
    原稿種別: 巻頭言
    2020 年 25 巻 2 号 p. 117-118
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー
  • 真鍋 徹, 柴田 昌三, 長谷川 逸人, 伊東 啓太郎
    原稿種別: 総説
    2020 年 25 巻 2 号 p. 119-135
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    竹林は様々な自然的属性や社会的属性を伴った立地に分布してきたが,竹林の分布とそれら属性との対応関係は研究が行われた地域や年代によって様々であった.1980年代以降の竹産業の衰退に伴い,日本各地で放置竹林の増加や拡大が顕著となった.竹林の拡大は,斜面方位や傾斜角,竹林周辺の土地利用・植生など,様々な自然的属性を伴った立地で起きていたが,竹林拡大状況とそれら属性との関係も地域や年代によって様々であった.一方,竹林の拡大には,竹林や周辺植生の管理状況などの人為的要因が直接影響している場合もあった.竹林の現状に対する住民の意識を評価したところ,竹林の放置は認識しているものの竹林の拡大は気づいていない住民が多いこと,竹林に望む機能は都市部の住民と都市近郊域の住民とでは異なっていることが判明した.放置竹林では,生物の生息・生育地機能や炭素蓄積量といった生態系サービスが低下する傾向があった.このため,放置竹林の生態系サービスを向上させるため,竹材の新たな活用方法や,竹林の立地属性・かつての土地利用履歴などを考慮した効果的な伐竹手法が検討されている.さらに,優先的に管理を行うべき場所を選定する手法,地域の実情に応じた適切な竹林資源管理手法の評価・選択が可能なモデルなども提案されている.しかし,竹林面積が漸増した現在,全ての放置竹林の生態系サービスを改善することは不可能である.従って,竹林をグリーンインフラとみなし,地域の実情に応じた竹林の整備手法を見出し,生態系サービスを最大限引き出せるような維持・管理を長期的に実施する体制を構築することが重要であろう.

  • 相原 隆貴, 小林 慧人, 髙野(竹中) 宏平, 深澤 圭太, 中園 悦子, 尾関 雅章, 松井 哲哉
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 25 巻 2 号 p. 137-146
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    マダケ属のタケ(Phyllostachys spp.)は産業管理外来種に指定され,放置竹林の拡大は日本の里地里山管理で最大の問題点とも言われるが,人口減少や温暖化によって今後さらに加速する恐れがある.本研究では,長野県生坂村で無居住化した集落の一つを対象に,無居住化前後の1977年と2014年の空中写真から植生や土地利用を判読し,その変化を解析した.2017年,2018年,2020年には現地を調査した.その結果,1977年から2014年にかけて集落全体の竹林面積は1977年の3林分0.26 haから2014年の17林分3.52 haへと13.54倍に増加し,年間拡大率は1.073 ha·ha-1·year-1と推定された.現地調査の結果,2014年の空中写真で判読できた17林分はハチクP. nigra var. henonis(14林分)とマダケP. bambusoides(3林分)だった.1977年と2014年で比較可能な3林分の個別の年間拡大率はハチク2林分がそれぞれ1.016,1.056,マダケ1林分が1.036 ha·ha-1·year-1だった.これらの推定値は,西日本のモウソウチクを中心に報告されてきた値(平均1.03)に近く,年平均気温が11.2℃と比較的涼しい地域のマダケやハチクであっても,同程度の拡大リスクがある可能性を示している.

  • 貫名 涼, 張 平星, 小田 龍聖, 井原 縁
    原稿種別: 調査研究報告
    2020 年 25 巻 2 号 p. 147-151
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー
  • Keito Kobayashi
    原稿種別: SHORT COMMUNICATION
    2020 年 25 巻 2 号 p. 153-157
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    I evaluated moso bamboo Phyllostachys edulis growth and wild animal activity in a bamboo stand in Kyoto, western Japan, during 2016-2019. The aboveground biomass increment of the moso bamboo stand, an index of bamboo growth, was consistently negative throughout the study period, presumably due to limitations on the production of new bamboo shoots. Using camera traps, I frequently observed damages to moso bamboo shoots by wild boar Sus scrofa and sika deer Cervus nippon between March and May, which led to growth failure for new bamboo shoot production. This report highlights the possibility that wild animal activity may inhibit moso bamboo growth in naturalized moso bamboo stands in Japan.

  • 今西 亜友美, 小谷 侑暉
    原稿種別: 調査研究報告
    2020 年 25 巻 2 号 p. 159-162
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー
  • 久本 洋子, 江上 浩, 鈴木 重雄
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 25 巻 2 号 p. 163-175
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    放置竹林が分布を拡大する問題はモウソウチクだけでなくマダケでも知られており,公益的機能の観点から放置竹林から広葉樹林への転換も望まれる.除草剤を用いたタケの防除は稈の伐採と比較して有効であるが,手法や薬剤の違いによって効果や労力に差があることや,散布場所と周辺環境への悪影響が懸念される.著者らは放置マダケ林において,稈全伐後に稈や枝条を除去して塩素酸ナトリウム粒剤(クロレートS)を土壌散布し,その後毎年再生稈を伐採する方法を試行し,稈発生の抑制効果を調べる実証試験を行った.まず,伐採攪乱後に発芽した植物への薬剤の影響を3か月間の蒔き出し試験により調べた.次に,2013年5月に千葉市の放置マダケ林に設置した試験地において,稈伐採と薬剤を組み合わせた処理区(薬剤区ⅠおよびⅡ;2区の違いは施用量)と薬剤を散布せずに毎年稈伐採のみを実施する区(無散布区)を設け,薬剤の直接的な影響が消滅したと想定される4か月後から5年間の再生稈の発生と植生の変化を調査した.蒔き出し試験の結果,種により薬剤への反応は異なるものの,発芽植物の種数への薬剤の影響は少ないものと推察された.野外試験の結果では,薬剤区ⅠおよびⅡで発生した稈の密度と平均直径は無散布区に比べて小さく,薬剤によるマダケの再生抑制効果が認められたが,伐採のみであっても一定の抑制効果があることも示された.植生の変化については,薬剤区Ⅰでは2013年9月から再生稈の発生が抑えられ他の植物の被度が高まったが,2016年10月以降はアズマネザサの被度が高くなった.薬剤区Ⅱもマダケが抑制されて他の植物の成長が認められた.無散布区では2014年10月までは再生稈が被覆していたものの,毎年の伐採により再生稈が除去されて徐々に他の植物が増加した.3区とも3年目以降になると木本が成長し,5年間で処理区間の種組成の類似度は高くなっていった.また,薬剤処理の有無に関係なく,実生由来の樹木の影響はわずかであり稈の伐採時に極力木本種を残すことが肝要であることが示された.以上から,薬剤を用いても伐採だけを続けたのと同様の植生へ誘導できる可能性が高く,稈伐採に薬剤処理を組み合わせた手法は広葉樹林への転換の選択手法の一つとなりうることが示された.

  • 伊藤 武治, 江崎 功二郎, 小谷 二郎, 酒井 敦
    原稿種別: 調査研究報告
    2020 年 25 巻 2 号 p. 177-183
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    塩素酸系除草剤とグリホサート系除草剤を竹林に施用し,土壌や渓流水の残留量や残留期間を調査した.あわせて,竹林内および竹林伐採後に多く見られる植物種の種子発芽への影響,および除草剤使用後の下層植生への影響を調査した.塩素酸系除草剤は,散布後1ヶ月でほとんど分解された.グリホサート系除草剤では,落葉・土壌・細根からわずかな残留成分が検出された.一方,付近の渓流水からは検出されず,処理区外への流出の可能性は極めて低いと考えられた.種子発芽試験においては,塩素酸系除草剤処理区でカラスザンショウの発芽率が有意に低かった.グリホサート系除草剤を施用した試験では,下層植生の種数が約2倍に増え,植被率も急増し,先駆性樹種や草本が多く見られるようになった.竹林の皆伐後も同様な傾向が示されていることから,タケが枯れることにより皆伐と似たような効果が現れたと考えられた.これらのことから,竹林駆除に使用される除草剤の環境への影響は小さいものと考えられた.

  • 長谷川 逸人, 須藤 朋美, 村山 英亮, 伊東 啓太郎
    原稿種別: 実践報告
    2020 年 25 巻 2 号 p. 185-192
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー
原著論文
  • 丹羽 英之, 森定 伸, 小川 みどり, 鎌田 磨人
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 25 巻 2 号 p. 193-207
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    植物社会学とリモートセンシングの融合は,植生図作成におけるリモートセンシング利用の課題である.本研究では,LARS(low altitude remote sensing)とエキスパートナレッジを併用した植物社会学的植生図の作成技術を開発することを目的とした.宝が池公園(京都市左京区)の森林(以下,宝が池の森)を調査対象とした.2019年6月21日から23日にかけて74地点で群落組成調査を実施した.宝が池の森の現存植生を勘案し,落葉樹の落葉が最も進む3月とツブラジイが開花する5月にUAV(unmanned aerial vehicle)を使い空撮した.3月の空撮では近赤外線センサも使い撮影した.エキスパートナレッジにより,アカマツ-コバノミツバツツジ群落,コナラ-アベマキ群落,ツブラジイ群落とスギ-ヒノキ植林に分類した.さらに,アカマツ-コバノミツバツツジ群落は3つの下位群落と1つの移行群落,コナラ-アベマキ群落は2つの下位群落に分類した.オルソモザイク画像,CHM(canopy height model),NDVI(normalized difference vegetation index),アカマツの密度を使い,エキスパートナレッジによる植生分類結果に合致する群落境界を作成した.LARSで得られる高地上分解能画像に深層学習による画像検出を応用することで,群落境界の作成において重要な情報となるアカマツの密度を算出することができた.群落境界の作成において,もう1つ重要な情報となったCHMは,LARSに縮尺1/2500のデジタルマッピングデータ(京都市発行)を加えることで作成した.本研究で開発した方法は,UAVの適時性を活かした2回の撮影,植生の解析に有用な近赤外線センサの利用により,低コストかつ短期間で群落境界を作成することができ,従来の目視判読による方法より客観性や再現性が高い.本研究で作成した植物社会学的植生図は,詳細な立地評価の基盤図となり,正確な植生の評価が可能となる.

  • 末次 優花, 日置 佳之
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 25 巻 2 号 p. 209-234
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    ロードキルとは動物が道路上で車に轢かれ死傷する現象である.ロードキルの抑制は自然環境への影響や交通安全の観点等から重要な社会的課題である.本研究では,ロードキル記録に着目した.ロードキル記録はロードキル多発地点の特定や発生要因の解析,防止対策の提案,動物の生息状況の把握等に利用できるなど,ロードキル問題解決の基礎となる上に,生物情報という観点からも重要である.また,ロードキル記録は,悉皆データであり,多量性,多種性を持つため,記録の体系化は重要である.しかしながら,これまでの研究で,ロードキル記録の内容と体系化に問題があると指摘されている.そこで本研究では,鳥取県を事例研究地として県下全ての道路種別及び動物種におけるロードキル記録の現状と課題を明らかにし,関係各機関が行うべきロードキル記録の改善内容や方法について提案を行った.加えて,ロードキル記録に問題が生じる根本的な原因についても言及し,根本的な解決策の提案も行った.2018年から2019年にかけて,電話,メール,直接訪問により,道路管理者等,警察,県の傷病鳥獣保護窓口,博物館を対象に,ロードキルの記録状況について聴き取り調査を行った.その結果,事例研究地においては,ロードキル記録が無い機関・部署が存在したほか,記録が保管されていても,記録内容に課題があることが明らかとなった.記録不備の原因は,一部(高速道路)を除いて,ほとんどの関係機関にロードキル記録を研究や対策に活用するという認識が無く,実際に活用されていなかったことである.課題解決のためには,各機関にとってのロードキルを記録することの必要性と負担を勘案した上で,ロードキル記録の内容や記録様式を改善することが望ましい.また,ロードキル記録の問題を根本的に解決するためには,新たにロードキル記録システムを構築するとともに,法令等による制度上のロードキルの位置付けを行うことが望ましい.

  • 末次 優花, 菅井 理恵, 日置 佳之, 田中 一郎, 土居 克夫
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 25 巻 2 号 p. 235-257
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    オオタカ(Accipiter gentilis Linnaeus 1758)は,環境省が公表しているレッドリスト2019に準絶滅危惧として記載されている希少猛禽類である.これまで,オオタカの生息環境については日本国内及び海外の事例を基に,多数の基準等や生息環境である針葉樹人工林の管理方法が示されている.希少猛禽類の保全については生息環境をより良好に保つことが必須であり,そのためには放置型の管理ではなく,状況に応じて積極的に管理する必要がある.しかしながら,オオタカの営巣する森林において,実際に積極的に施業を実施し,好ましい生息環境の維持・改善を試みた事例はほとんど見られない.本研究では「鳥取県立大山オオタカの森」を事例研究地として,施業前後の人工林の環境を植生と鳥類の2側面から比較・評価し,森林管理のあり方について提言した.具体的には,2003年度に日本野鳥の会鳥取県支部及び鳥取大学により実施された第1回調査の結果に基づき提案された管理(アカマツの間伐及び亜高木層に達する広葉樹の除伐)が5年間施業された後,2011年度に第2回調査が実施された.その結果,オオタカは,営巣木としての大径高木が多数存在し,営巣林として林内に飛翔空間が広がるアカマツ林を選択していた.また,事例研究地周辺には田畑や伐開地など多様な環境が広がっており採餌可能域は良好であった.すなわち,農地と森林がモザイク状に分布した里地里山の景観がオオタカの営巣及び採餌環境として利用されていた.①営巣木として利用できる大径高木の育成,②林内の飛翔空間の確保を目指す森林管理は,オオタカの生息地保全と用材林育成の両方にとって適切であることが明らかとなった.

短報
  • 阿野 晃秀, 武田 智詞, 森本 幸裕
    原稿種別: 短報
    2020 年 25 巻 2 号 p. 259-264
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    グリーンインフラ(G.I.)の普及啓発には,美しさや楽しさなどの感性的な訴求要素も重要であることが指摘されている.その好例として,本研究で「雨樋アート」と定義する事例がある.雨樋アートとは,貯留浸透を意図した施設へ雨水を移動させる機能はそのままに,意匠を工夫することで美しさ,楽しさ,教育・啓発効果などの付加価値を加えた雨樋のことである.書籍等で幾つかの事例が紹介されているが,まとまった調査報告はない.そこで,日本における応用の可能性を探ることを目的に,雨樋アートの画像をオンラインにより収集し,その種類や分布などの概況を整理した.その結果,総計351枚の画像が見つかった.設置場所が判明した画像162枚の内,119枚が米国であり,ポートランド市などG.I.の導入に先進的な地域に分布が集中していた.雨樋の改変部位等を基準に雨樋アートの形態分類を作成し,分類ごとに集計した結果,鎖樋や雨樋の流出口のみを改変したタイプが全体の64%を占め,比較的施工が容易なものが取り組まれ易いことが分かった.また,全体の27%が治水や自然環境の保全と関わりの薄い意匠であり,多様な興味関心からなる取り組みを包容してきたこともG.I.の推進に寄与している可能性が示唆された.

調査研究報告
  • 夏原 由博, 篠崎 紗季
    原稿種別: 調査研究報告
    2020 年 25 巻 2 号 p. 265-270
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

    生態系サービスとしての山菜は過疎地域を活性化する資源となりうる.道の駅での山菜販売量は,山菜を入手するための(半)自然地と居住地とが隣接するモザイクな土地利用があり,同時に都市から訪れる購買者によって決まると考えられる.土地利用のモザイク性が高いほど山菜の種類が豊かである一方,都市から距離の離れた山間地では購買者数は減少するだろうという仮説のもとで,地理的条件が道の駅での山菜販売に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする.

    愛知県と岐阜県の道の駅22駅について,2016年1-7月に販売された山菜の品目別販売数を調査票によって調べ,品目組成と販売数に影響を及ぼす地理的条件を単相関分析および一般化線形モデルGLMにより解析した.

    その結果,33種類の山菜が販売されていた.道の駅あたりの販売数は,山菜の品目数,利用者数と正の相関が,近隣大都市である名古屋市(人口重心地点)からの距離と負の相関があった.利用者数は近隣大都市からの距離と負の相関がみられた.利用者あたり販売数を応答変数としたGLMによる解析では,説明変数に品目数のみを含むモデルがAIC最小のモデルであった.一方,品目数は土地利用の多様度や人口密度など地域属性との有意な相関が認められなかったが,GLMで都市からの距離が115 km程度で高い2次曲線のモデルが選択された.

    山菜販売数は,利用者数と販売品目数によって影響を受けることが明らかとなった.前者は主に都市からの距離の影響を受けるため,改善は難しいが,後者は道の駅や販売者の工夫によって改善できることが期待できる.

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