沙漠研究
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27 巻 , 2 号
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原著論文
  • 加藤 茂, 木代 深, 横佩 おさむ, サバイヤン ヴィジャナン, 里川 重夫, 小島 紀徳
    2017 年 27 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/27
    ジャーナル フリー

    大規模植林は,地球温暖化対策として最も有効な方法である.高吸水材は,半乾燥地及び乾燥地で植林された樹木の生存と生育に効果的とされている.水吸収を目的とした吸水材は化学的合成法で製造されているが,安定で分解され難い特徴がある.

     著者らは,大規模植林のための生物分解性を備えた高吸水性保水材の合成を目的とした.本研究では反応開始試薬Cerium ammonium nitrate(CAN)と架橋結合試薬N-methylenebisacrylamide(MBA)を用い,Chitosanの分子構造へAcrylic acid monomerを接合した.著者らは,Chitosanを新生物分解性保水材合成の基礎物質として使用した.合成した物質の特性は,赤外分光光度計(FTIR),13C核磁気共鳴装置(NMR), 走査型電子顕微鏡(SEM),示差走査熱量測定(DSC)で検討した.また,合成した物質の保水能は乾湿計(Psychrometer)で評価し,熱安定性については示差走査熱量測定(DSC)で評価した.

  • 平田 昌弘, 鬼木 俊次, 加賀 爪優, Berhe Melaku
    2017 年 27 巻 2 号 p. 75-89
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/27
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,エチオピア北部中高地のアファール牧畜民を対象に,1)アファール牧畜民の現在の食糧摂取のあり方とその特徴を把握し,2)食料摂取の視座から牧畜の生業戦略を考察し,3)社会・経済の変化が食料摂取や牧畜の生業戦略にどのような影響を及ぼしているかについて考察することにある.食糧摂取パターンの特徴は,1)朝にラクダの生乳を摂取する傾向にあること,2)コムギ粉を用いた料理が多用され,3)コムギ,生乳,酸乳,バターオイルが重要な食材となっており,4)肉と野菜は日常では全く,もしくは,ほとんど利用しておらず,5)近年では食事内容が多様化し,6)食事は親戚や友人と共食することが常であることである.栄養摂取量の特徴は,1)エネルギー摂取量的に約70 %が外部から供給されたコムギ粉などの食料であり,2)自給した食料のほとんどは生乳・乳製品によっており,特に脂肪とタンパク質の半分ほどが生乳とバターオイルから供給され,3)コムギ粉と生乳・乳製品に大きく依存した食体系ではあるが,必要なエネルギー量,タンパク質と脂肪は充足しているとまとめることができる.アファールの農牧民や遊牧民の事例は,家畜を飼養する目的が,家畜を殺して,肉を食べることにではなく,家畜を生かし留めて乳を得て,生乳・乳製品を摂取することにあることを示している.牧畜という生業の本質がここにある.以前は,乳・乳製品への食料依存度は80%ほどであった.今日,流通が盛んになり,近郊の市場で大量の食料品が販売されるようになって,外部からの購入食料に大きく依存するように変化してしまった.流通整備と経済の自由化という社会・経済の変化が,家畜を屠殺せず,生かし留めながら,その乳を利用し,必要最小限を外部社会に依存する牧畜から,家畜は交換材としての傾向を強め,多品目の外部購入食料へと大きく依存する生業構造へと変化させてきている.

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