沙漠研究
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29 巻 , 3 号
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30周年記念レビュー
  • Richard HARPER, Stanley SOCHACKI
    2019 年 29 巻 3 号 p. 81-90
    発行日: 2019/12/25
    公開日: 2019/12/11
    ジャーナル フリー

    Forests can contribute to climate change mitigation through a range of pathways such as reducing emissions through avoided deforestation, increasing carbon stocks through reforestation or afforestation or substituting for fossil fuel emissions through bioenergy production or substituting high-energy building materials, with timber. Forests have played a major role in Australia’s national climate change mitigation responses since it ratified the United Nations Framework Convention on Climate Change in 1994. Reduced rates of deforestation and increased reforestation allowed Australia to meet its first commitment period (2008-2012) target in the Kyoto Protocol (KP) despite significant emissions growth in the broader economy. Forest-related activities, and in particular avoided deforestation and reforestation, will also allow Australia to exceed its KP second commitment period (2012-2020) target.

    In addition to relying on reduced rates of deforestation there has been considerable research and policy innovation in Australia in developing new mitigation options for the forest sector. This has included national legislation to allow carbon mitigation through land-based projects and the development of formal methods for the production of Australian Carbon Credit Units (ACCUs) from avoided deforestation, forest management and reforestation. There has also been considerable work on new approaches to reforestation of farmland including (a) forests established to produce non-traditional benefits such as watershed or biodiversity restoration via carbon sequestration, (b) methods to integrate reforestation into farming systems to reduce competitive effects and increase co-benefits. Although these approaches have been developed within an Australian context they are relevant globally as countries grapple with the issues of reducing net greenhouse gas emissions and also broad-scale environmental degradation.

原著論文
  • 鈴木 伸治, 飯塚 圭子, 真田 篤史, 伊藤 博武, 渡邉 文雄
    2019 年 29 巻 3 号 p. 91-101
    発行日: 2019/12/25
    公開日: 2019/12/11
    ジャーナル フリー

    エチオピア国のリフトバレー(地溝帯)周辺には,火山灰土が分布している.土地管理が不適切であったために,この地域は森林伐採とそれに続く土壌荒廃に見舞われている.そのためこの地域の土壌は強い日射にさらされるようになったが,地温環境についてはよく知られていなかった.火山灰土壌は一般の鉱物質土壌に比べ,特異的な物理性を示すことから,筆者らは,エチオピアリフトバレーの火山灰土地帯も特徴的な温度環境を示すという仮説を立てた.本研究の目的は,エチオピアリフトバレーの土壌の熱的性質(熱伝導率と熱拡散係数)を調べ,それらが地温に及ぼす影響について検討することである.測定の結果,エチオピアリフトバレーの土壌は,固相の熱伝導率が低いこと,また間隙率が多いことにより,非火山灰土に比べて低い熱伝導率を示し,そのため熱拡散係数も低い値を示すことが明らかになった.この性質は,日本の火山灰土の熱的性質に類似していた.このことからエチオピアリフトバレー地域の地温環境の特徴として,強い日射のために地表面では温度が非常に高くなるものの,土壌の熱拡散係数が低いことによって熱が下層まで伝わらず,下層では地温の日変動が非常に小さくなることが明らかになった.

展望論文
  • 中村 洋
    2019 年 29 巻 3 号 p. 103-113
    発行日: 2019/12/25
    公開日: 2019/12/11
    ジャーナル フリー

    モンゴルでは冬から春にかけて,寒さや積雪などの複合的な要因により,家畜が大量死する自然災害“ゾド”が発生する.ゾドは牧民の生業であり,モンゴル国の基幹産業でもある遊牧に悪影響をもたらす.本論文は,モンゴルの牧民がゾドの影響をどのように回避するのか,そして回避できなかった場合には,どのように回復させるのかについて,実証研究を中心とした既往文献をレビューし,進展が望まれる研究を考察するものである.回避行動に関する既往研究から,移動性はゾドによる頭数減少を緩和する有効な行動であることが明らかになっている.飼料,寒さをしのぐ環境,牧民の組織などもゾドの影響を緩和する効果があった.また高齢などの特徴のある世帯が,ゾドの影響を受けやすいことが分かっている.回復行動に関する既往研究から,ゾド前の頭数が多い世帯,金品などの資産を有する世帯ほど,頭数を回復させる行動を取れていた.先進国のカシミヤ需要を背景とした災害に弱いヤギのメスの増加などにより,ゾド後回復できない世帯が生まれていた.また,ゾドで家畜を失うなどして放牧地を離れ,都市や鉱山で働くものの家庭不和などが発生した世帯も見られた.しかし,回避行動として有効性が認められている移動性は,移動した牧民に対する調査が中心である.移動先の放牧地の研究が遅れ,既往研究から,移動してきた牧民を受け入れる側の牧民の変化が報告されている.今後は,移動先の放牧地や牧民を対象とした研究の充実が望まれる.飼料,寒さをしのぐ環境,牧民の組織は一部地域の研究に留まっている.より多くの地域における知見の蓄積が必要である.回復行動に関しては,回避行動に比べて,実証研究が少ない.アフリカにおける既往研究に比べて,サンプル数も少なく,期間も短い.ただし,モンゴルには計画経済時代から世帯ごとの家畜頭数データが蓄積されている.それらを活用し,サンプル数や期間を改善することは可能である.さらにゾドに関する既往研究は,放牧地を対象とすることが多い.しかし,牧民は放牧地と都市を往還しながら生活を営んでいる.ゾド後の生活の安定という観点から,都市も分析対象に含めることが必要である.これらの研究の進展により,オトルなどの移動性が維持されることで,ゾドの影響を回避でき,移動性の低い世帯もいつも使っている放牧地で影響を回避しつつ,もし回避できずに家畜を失い,放牧地で生活が成り立たなくなった世帯は,都市で好ましい生活を再構築できるようになれば,遊牧社会のゾドに対する脆弱性は低減されるものと考えられる.

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