沙漠研究
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31 巻, 4 号
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原著論文
  • 志水 勝好, Sherif M. A. BASSIOUNI, Bassiouni A. ZAYED, 曹 衛東
    2022 年 31 巻 4 号 p. 77-83
    発行日: 2022/03/30
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル フリー

    ナイルデルタでは上流域の灌漑排水を稲作に使用するため,灌漑水の塩分濃度が高いため,耐塩性を示すイネ品種の育種が行われてきた.そこで現在使用されているGiza 178,Sakha 104およびEHR 1にコシヒカリを加え供試品種として発芽試験を行った.その結果,25°Cで行った0.35,0.7,1.0,1.5および2.0% NaClでの発芽試験ではGiza 178,Sakha 104がコシヒカリよりも早く発芽した.3.0% NaCl区では全ての品種で発芽しなかった.栽培試験ではエジプトのARCのダミエッタ圃場において,エジプトの供試品種としてGiza 177,Giza 178,Sakha 102,Sakha 104,Sakha 105,Sakha 106 EHR 1およびEHR 2)を低EC圃場(6.5 mS cm–1)で,Giza 178,Sakha 104 and EHR 1)を高EC圃場(11.8 mS cm–1)で栽培試験を行った.その結果EHR 1の光合成速度は低EC区よりも高EC区の方が高く,3品種の中で最も高高かった.EHR 1の草丈は低EC区よりも高EC区の方が長く,Giza 178およびSakha 104は両区で差が見られなかった.以上からエジプト品種は塩性環境でも成長を維持できることが明らかとなり,高いEC環境下でも高い光合成速度を維持できる耐塩性機構を有するためと考えられた.

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